フードリンクレポート


趣味のカフェ経営と言われたくない。
〜外食を超える悪ふざけ文化を創造する!IT上場社長が仕掛けるカフェビジネス〜(4−2)
家入一真氏 株式会社パーティカンパニー 代表取締役社長

2010.6.15
家入氏は個人向けレンタルサーバー事業を行う株式会社paperboy&co.(以下、paperboy&co.)を2001年10月に創業。08年12月にジャスダック市場に上場。IT経営者の間であこがれの存在だ。そんな家入氏は、今、IT産業から、正反対とも思われる外食産業に進出している。現在カフェ、レストラン6店を展開し、6月に渋谷1店、7月に渋谷1店と江の島で海の家を出店する。4回シリーズの第2回目。レポートは安田正明。


自分の名を冠したレストラン「入iri」(東京都渋谷区上原1-25-11 電話03-5790-2233)。2号店。2009年オープン。

趣味のカフェ経営と言われたくない

「ハイスコアキッチンをやってみて、現場に戻ろうと思い始めました。僕はもともと手を動かす人間です。社長業をやってはいたけど、物作りという立場で社内外に発信することが多かった。上場して株主や投資家の前で話す機会が多くなっていったけど、僕は緊張してしゃべれなくなるんです。自分はあまり向いてないなぁと思いました。適材適所を昔からモットーとしてきたので、自分より経営に向いてる人がいるなら代わって、自分は現場に行った方がいいな、と。上場後に社長を代わって、現場に1年間いて、その後で次の事やるかと。」


カフェ&ダイニング「ie」(東京都目黒区青葉台1-16-12 サクレピエス1F 電話03-5428-3434)。3号店。2009年オープン。

 家入氏は、2009年にpaperboy&co.の代表取締役を退任し、取締役に就任。現在も、同社取締役を兼務している。

「FLという言葉も知らないでカフェを始めました。本は一杯買って読みました。ITで上場して1つの会社だけやっていて辞めると、引退モードで趣味に走ってるねと言われるんです。趣味のカフェと言われる。現場の店長やスタッフには数字を教えて自分で考えながらやってきたのに、それを趣味の一言で片づけられるのは厭です。現場も救われない。カチンときたので、じゃ、カフェを増やしてやろうと決めました。IT業界の感性が、違う業界で通じるか 自分に対してチャレンジです。」

「僕自身、カフェが大好き。インフラとしてはカフェが一番適してると思います。スタッフもお客さんも肩に力が入らない。その空気感が好きです。フラットに展開できる。料理に関しても、昨日はエスニック、今日はイタリアンと混ざってもいい。それが出来るのがカフェの良さ。」


【取材・執筆】  安田 正明 (やすだ まさあき) 2010年6月1日取材