フードリンクレポート


今の若者は車をほしがらない。
〜若者は今なぜ「グローバルダイニング」に行かないか?居酒屋化する恵比寿「ZEST」、トレンドを制したブランドの今〜(6−4)

2010.6.21
「権八」「ZEST(ゼスト)」「モンスーンカフェ」「ラ・ボエム」などの有名店を運営するのは言わずと知れたグローバルダイニング(本社:東京都港区南青山)。その店舗名は今の20-30代の若者でも一度は聞いたことあるであろう。先日恵比寿のゼストに行った際、サラリーマンが多く新橋の居酒屋に近い雰囲気さえ感じ驚いた。トレンドを制し「お洒落な店」の代名詞であったグローバルダイニングの店舗。今なぜ若者はグローバルダイニングに行かないか、その背景に迫る。6回シリーズの第4回目。レポートは国井直子。


「権八」西麻布店のバースディ。外国人客が多い。

今の若者は車をほしがらない

 「今の若者は車をほしがらない」このことは昨今共通して言われている。マスコミを通してこの話題を耳にしたことのある人は多いはず。確かに若い人たちにインタビューをすれば現実主義的な様相が伺える。

 飲食に特に多く消費しない若者は、飲み会は「和民」を筆頭にチェーン店で充分だという。色々選べてたくさん飲めて、3000円でおつりがくる。ちょっとよくても3000円台までで充分ということだ。男性が店を前もって選び、女性をエスコートするような感覚もない。「たまにはそういうの(デートらしい店選びやチェーン店ではない目的来店など)も行かなきゃと思っているがそのままになっている」という男性陣の声が多い。歩いていて適当に入るのが当たり前であるし、男性も女性も「外食」にサプライズを求めていない。

 生活の安定している大手企業に勤めるOL達からは「和民」という名前は少ないが、飲み会の利用店舗のポイントはというと、共通しているのが「個室」ということ。ぐるナビ利用も変わらず高く、検索ワードが充実していて利用し易いという声。「個室」と次に重視されるのが駅から徒歩圏内の行き易い店という立地の部分。携帯があたりまえの今の時代はばらばら集合が多いく若者の間では当たり前のこと。時間を決めて全員がその時間に集まりいっせいに乾杯でスタートできる飲み会なんて今は少ない。後からでも迷子にならず合流し易いことを考えると、また帰り易さもかんがみ、ビルインや駅近の店舗が当たり前のように利用される。それらの理由から若者にとってはグローバルダイニングの店が行くべき店となりにくい一面がある。

 30代前半の女性の話ではこういった声も聞かれた。バブルを少しでも経験した男性と、そうでない男性とではデートや飲み会で大きくスタンスが違うという。具体的に話されたのはバブルを経験したリクルート出身の男性についてで、皆一度はご一緒したことがあるという話題になった。かなり限定ではあるがその男性は必ず多めに払うかおごるか、ざっくりと気前がよいという認識で一致していた。バブルの後の男性陣についてはそのあたりが逆に気前が悪いという認識で、男性陣もそれを(気前が悪いこと、それが女性からそう見られていることを)意識していない。


4ブランドが揃うG-ZONE(銀座一丁目)店内。


【取材・執筆】  国井 直子 (くにい なおこ) 2010年6月12日取材