フードリンクレポート


さかいは、USチルドビーフをブロックで仕入れ店内でスライス。
〜低価格「大阪カルビ」がヒット。高価格焼肉にも逆張り。〜(4−2)
緒方 智氏  株式会社さかい 代表取締役社長 

2010.6.22
「焼肉屋さかい」など154店(直営83店、FC71店)を展開する株式会社さかい。BSEで業績は苦しくなったが、2007年から業績が回復し、昨年4月に開発した低価格焼肉「大阪カルビ」がヒット。不振店を次々と業態転換させている。さらに、低価格トレンドに逆張りした高価格焼肉「ほまれ」を3月に東京・自由が丘にオープンさせた。マーチャンダイジングに差別化を求める緒方氏を取材した。4回シリーズの第2回目。レポートは安田正明。


「焼肉屋さかい」は、ロードサイドのファミリー向け焼肉屋。

さかいは、USチルドビーフをブロックで仕入れ店内でスライス

「焼肉屋さかい」は、ロードサイドで小さい子供がいるファミリー向け焼肉屋として伸びてきた。

「今のさかいのイメージは、そこそこの値段でそこそこの焼肉が食べられる店。良くもなく悪くもなく普通の店。客単価は2300円。混んでる所を並んで入る店でもない。混んでるから、早い時間に行こうか遅い時間に行こうかという店でもない。」


カルビ 税込620円。


熟成極カルビ 税込662円。

「さかいが悪くなった理由はBSEです。もともと他社と違うビジネスモデルでした。社員は全員肉が切れます。ブロックで入れて店で切るのが特徴でした。USビーフをチルドのまま店に入れる。だから美味しい肉が食べられるというビジネスモデルだった。BSEで米国産牛肉が2003年に止まって、チルドビーフも止まりました。その後、6年間、自分たちが出したい肉が出せなかったんです。」

「苦肉の策で、サムギョプサルなど何でも焼く店を作りましたが上手くいきません。オーストラリア産牛肉をチルドで買おうとすると、大きなブロックでしか買えません。モモとか焼肉で要らない部位が付いてきます。BSE前を100とすると肉のレベルは今85くらいまでしか戻っていません。でも、今年の4/15から、カルビとロースはチルドで出せるようになりました。牛タンも米国産に戻しました。」

「客数が減り続けていたので、客数を戻すためにも適正な客単価に戻そうと、昨年7月に100品の値下げをして、12月から客数100%に戻りました。ところがここに来て、3月から肉の相場が悪化しています。韓国が凄く買って需給のバランスが崩れました。このままでは厳しいと直談判しに、先日渡米し今年11月分まで今の価格で確保しました。」

「国際獣疫機関(OIE)は来年2011年5月にBSEについて米国を安全国と認定すると言われています。そして日本も現在の20ヶ月ルールが撤廃にせざるを得なくなる。将来ちょっと明るそうです。」


【取材・執筆】  安田 正明 (やすだ まさあき) 2010年6月7日取材