フードリンクレポート


客層を広げるために「大阪カルビ」「ほまれ」スタート。
〜低価格「大阪カルビ」がヒット。高価格焼肉にも逆張り。〜(4−3)
緒方 智氏  株式会社さかい 代表取締役社長 

2010.6.23
「焼肉屋さかい」など154店(直営83店、FC71店)を展開する株式会社さかい。BSEで業績は苦しくなったが、2007年から業績が回復し、昨年4月に開発した低価格焼肉「大阪カルビ」がヒット。不振店を次々と業態転換させている。さらに、低価格トレンドに逆張りした高価格焼肉「ほまれ」を3月に東京・自由が丘にオープンさせた。マーチャンダイジングに差別化を求める緒方氏を取材した。4回シリーズの第3回目。レポートは安田正明。


夜も煌々と明るい「大阪カルビ」。

客層を広げるために「大阪カルビ」「ほまれ」スタート

「早い時間、遅い時間帯に来てもらうには、一度イメージを落としたエリアでは今のさかいのブランドでは難しくなると考え、去年4月に大阪カルビを始めました。苦しい中でも客層を広げようと。客単価1800円。さかいより500円安い。さかいから大阪カルビに転換すると客数が2倍、客単価は75%で売上高は150%になります。ちょっといいファミレスは1500円なので、ファミレスに行くか焼肉に行くか という対象になります。肉は冷凍物を使っていますが、種類を限定して1〜2品でもチルドを入れたいですね。」


「大阪カルビ」 大阪カルビ 税込209円。


「大阪カルビ」 たこ焼き5個 税込367円。

「さかいのイメージのままなら広げづらい客数とターゲットを広げるために単価を下げました。駐車場に並ぶ車も違います。社長が社員8人連れてくるというシーンもあり、焼肉では難しい6人、8人卓も効率良く席が埋まります。さかいからの業態転換と、焼肉店の居抜きで、14店から今期中に20店に拡大したいです。」

 さらに今年3月、東京・自由が丘に「焼肉酒楽 ほまれ」をオープン。焼肉店の居抜き。さかいのBSE前と以上に、上質なチルド牛肉に拘り、徹底した品質管理の下、毎日店で手切りをしている。客単価4000円と、今の低価格風潮に敢えて逆張りした。


「焼肉酒楽 ほまれ」 ファサード。


「焼肉酒楽 ほまれ」 厚切り牛タン 税込1260円。

「客単価4000円の層は今後、必ずあります。10数年前に焼肉の大ブームがありました。その時20〜30代の方が、今は30〜40代。彼らはチェーン店の焼肉屋に行かなくなっている。個人店に行ってます。叙々苑で自腹は高すぎる。自腹のギリギリのラインで肉を知った人が食べ、ちゃんとお酒も飲める店がほまれです。その需要は確かにあります。関東は特にそうですね。サラリーマンが同僚と行っても4500円が限界。5000円でおつりがくる。」 

「さかいが経営していますが、チェーン店の発想はなく、店でテールスープを作らせるなど何でもやらせています。スタッフにも、チェーン店が経営してるけど個人店だと思ってやってくれ、と話しています。」

「さかいだけだと、そのビジネスモデルに立地が合うか考えます。低価格の大阪カルビと高価格のほまれを合わせて3つのコンテンツがあればこの物件にどれが合うだろうと考えることができる。焼肉屋の居抜き出店を狙っているので、まず物件ありきなんです。」

 さらに、コンテンツを増やすために、東京・神田の繁華街立地に「大阪カルビ」を今年5月にオープン。

「ビルイン、繁華街立地をさかいでは確立出来てなかった。神田の大阪カルビは飲み中心です。内臓メニューを増やして、カルビも199円から。どんどん飲んで下さい、という業態です。」

 さかいは、全業態合計154店(直営83店、FC71店)。関東、中部、関西は直営し、その他エリアはFCで展開している。

「さかいのブランドイメージは各県により違います。特に、山陰、山陽、和歌山はFCさんがしっかりしていてイメージが凄くいい。リクルーティングでも良い人材が来てくれます。」


【取材・執筆】  安田 正明 (やすだ まさあき) 2010年6月7日取材