・馬を釜で焼き、肉屋の飲食業態を開発&パッケージ化
今から4年8ヶ月前最初にオープンさせた店舗は、「仕事馬」。馬肉と釜焼き料理が売りの店。今でこそ馬肉を扱う店が増えたが、その当時はまだ珍しく、ましてや洋風の馬肉料理を出す店はほとんどなかった。そんな店を出すきっかけとなったのは、下遠野氏の海外の経験からだ。
「仕事馬」(水道橋)
「仕事馬」店内。
「友人から300万円もするピザ釜を貰ったんですよ。でも、ただピザを焼いていては面白くない。イタリアでは、ポルケッタいう、豚肉を釜のおき火で焼く料理があるんですが、それがとにかくうまい。そこで肉を焼きたいなと。そして、日本ではあまり食べられていないけど、ヨーロッパではよく食べられている馬肉を焼こうかと思ったんです。特にフランスではよく馬を食べるんですよね。でも、フランスっぽく出す店は日本にはない。ちょうど友人が肉の卸しをやっていて、会津産の馬肉を扱っているというので。何より自分が肉が好きですし。」
下遠野氏の修行時代の経験と知識が実を結び、「馬肉を釜で焼く」という新しいスタイルが誕生した。
馬肉は、流通量が少ないので、肉屋とのつながりが大切になってくる。特に最近は、馬肉を扱う店が増えたのと、主要産地であるカナダの馬肉の生産量が減っているために、いい部位の取り合いが起きている。
「仕事馬」の「桜肉の刺身」。
そんなつながりの中で、実は肉屋に飲食店をやりたいとニーズがあることを知る。「食材だけでなく、店舗を持つというエンドまでやりたくなるのでしょうね。でも、表に出るとクライアント(飲食店)と競合してしまう。そこで、うちが肉を扱う飲食店をパッケージ化して提案することになったんです。このやり方にはこちら側にもメリットがあって、メニュー開発までお手伝いするケースでは、肉屋ならでは肉の使い方を教えてもらって、自分たちの店のメニュー作りにも活かせるからなんです。」
肉を扱う業態を集めた横丁「新橋ワールドミートセンター」では、新たな設備として施設内に肉の熟成スペースとストックスペースを合体させたミートセラーを作り、そこで肉を販売することができるという仕掛けも。卸しも直接商売ができ、ストックスペースとしても活用できるという。
新たなパートナー、業態モデルは身近な所にあり、それに気付いてうまく形にしてきた同氏である。