・「出過ぎる杭は打たれない」さらなる新業態開発への取り組み
「年内に「よしかつ」を直営5店舗、FC5店舗くらいまでにもっていけたらいいですね。まだオープンから1ヶ月経っていないので分かりませんが、月の売上目標は1600万円。これは「けん」の一号店の1ヶ月目と比べてもかなり大きい額です。」と意気込みを語る中村氏。150席という店舗で1600万円。好調ぶりが伺える。
実は、今回オープンした「よしかつ」は「けん」蒲生店を業態変更した形。狭いエリアに「けん」が密集し過ぎたことによる方向転換だ。同社にとっては初の業態変更というだけあって中村氏の心中は複雑だったようだが、「負けた気はしない」と攻めの姿勢は変わらない。
「黒豚ヒレカツ」(1995円)。
同社は、「ふらんす亭」経営再建を請け負っているが、2店舗を「けん」へ業態変更し、両店ともに売上を以前の約2倍に伸ばす業績を上げている。「スタッフ含め、もとはいいものを持っている、力のある店でした。ただ、会社からの指示が正しく出されていなかった。人も金もきちんと整理することで、適正値へ持っていく。それだけのことです。」建て直しの手腕も発揮している。
8月には、「ステーキハンバーグ&サラダバー ふらんす亭」という「ふらんす亭」のブランドと同社のサラダバーを組み合わせた新たな業態をオープンさせる予定。付加価値を付けることで「ふらんす亭」より単価をさらに200円程度プラスしたアッパー版を想定している。今の時代、単価を下げて成功するケースは多いが、逆は難しい。しかも、同社の強みであるロードサイドへの出店で展開を考えている。ロードサイドでアッパー版となるとハードルは高いが、「当てます」と中村氏は気合いが入る。
「出た杭は打たれますが、出過ぎた杭は打たれないと思うんです。大きく出たら打てないですよね。今後もメイン+サラダバーという形態で新たな挑戦をしていきたい。そして、自分ではなく他の人ももっと業態開発をして出て来てもらいたいです。「けん」や「よしかつ」に続くブランドを出していきたい。」この攻めの姿勢が新たな業態、店舗を増やしていく。
■中村 嘉利(なかむら よしかず)
株式会社エムグラントフードサービス 取締役営業本部長。1974年生まれ。千葉県出身。大学卒業後、1996年にハナマサ入社。外食事業部で12店の店長を歴任。2001年にチコマートに買収され移籍。06年、井戸実氏が設立したエムグラントフードサービスが営業権を取得し、同時に営業本部長を経て現職。
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