フードリンクレポート


ツイッターと連携して集客ツール、売上管理に活用する。
〜座談会:話題のiPadで外食をブラッシュアップする〜(3−3)

2010.7.2
5月28日の発売日には長蛇の列ができるほどの盛り上がりを見せた、アップルのタブレット端末「iPad」。起動が早く、直感的に使えるところが人気の秘訣のようだ。では、その「iPad」を使って外食はどんなことができるか。売り上げアップにつながるか。「iPad」ファンである4人のアイデアマンに集まってもらい、座談会を開催した。3回シリーズ。レポートは長浜淳之介。
<出席者>
・金澤拓也氏(店舗デザイナー、株式会社カームデザイン 代表取締役)
・佐藤晃一氏(株式会社インサイド 代表取締役)
・宮田正秀氏(株式会社関心空間 代表取締役社長CEO)
・河内哲也氏(株式会社ダイヤモンドダイニング 執行役員企画開発部長)
<司会>安田正明(株式会社フードリンク 代表取締役)


金澤氏の経営する「しろワイン酒場コンロ」(大阪市西区北堀江2-17-2)では、7/2(金)からカウンター席にiPadを常設する。

電子メニューにミニゲームや厨房の動画を連動させる

●安田
「iPhone」もですが、「iPad」はツイッターとの相性も良さそうです。最近、私の周囲の飲食業の人たちでは、ツイッターを始める人が多いのですが、ツイ割のようなツイッターを使った割引クーポンのようなものだけでは、面白くないです。何かもっとないのでしょうか。

●金澤 
 飲食店で今、一番困っているのは何ですか?顧客の属性や何回リピートしているかは調べないのですか。

●河内 
 そりゃ、困っているのは集客でしょう。

●安田
 単価1万円くらいの高級店ならともかく、あまり顧客の属性やリピート数までは全般に気にしていないでしょうね。

●河内 
 簡単に言いますと、「ぐるなび」、「食べログ」の次の集客装置を探している段階です。ツイッターはその候補として、すごく魅力があります。

●金澤
 ウチの「しろワイン酒場コンロ」では、常連のお客様がお店のアカウントのツイッターでつぶやいてもらって、その時ひまな人が集まってきています。ツイッターの効果は出てきていますね。


「しろワイン酒場コンロ」でiPadを使ってツイート。

●安田
 なんか、スナックみたいな感覚ですな(笑)。

●宮田
 ウチが開発した「ランブリン」という、ツイッターと位置情報を結びつけたサービスでは、お店のページが持てるんです。そこでお客さん同士が、ツイッターでコミュニケーションできるようになっています。やりとりしていて、そろそろ行ってみようかなということになって、お店に集まるというイメージです。

●金澤
 そこで、さらに数字も分析できたら、いいかなと。

●宮田
 ツイッターをやっているお客様については、その人が飲食ではどんな場所に行っているかを、アカウントから分析できたらいいと思うのです。個人情報を詳しく取らなくても、気軽な感じでツイッターから行動パターンが分析できます。ツイッターが好きなコアな常連のお客様さえつかんでおけば、全員のデータを取らなくても大丈夫ではないでしょうか。

●佐藤
 「iPad」とグーグルのプラットフォームとツイッターを連動させた、スピード勝負に強い、店長側が見るようなスタッフポータルの売上管理システムを考えました。月の売上目標値と、週や日々の売上がビジュアル化されて、達成度のレートが出てくるわけです。レジ連動で、店長がレジを締めて更新すると、直ちに情報が上書きされて本部も同時に見れるようになっています。本部のほうでは毎日、日付、曜日、天気、テレビ番組表などを見ながら、お店にとって有用な情報をツイッターに書き込みます。その情報がどんどんお店に流れてきて、店長のほうでは、たとえばちょっと今月は足りないから、条件を見てサービスを強化しようかという判断ができるわけです。

●宮田
 このシステムでは店長さんに数字を知ってもらって、頑張ってもらうといった意味合いが強いですね。

●佐藤
 店長さんが本部の言いなりでなくて、エンジンがかかってくると売り上げも伸びるという考え方です。

●安田
 集客と計数管理が、ツイッターを使ってうまくリンクしていけば、面白いですね。

●河内
 ウチとしては、まずは飛び出すメニューブックの代わりにできないか、検討していきたいです。あと、「iPad」ができたおかげで、図面のチェックがとてもしやすくなった。見積もりを見れますし、これは企画をする者からすれば大きいです。地図も大きくて見やすいですね。

●金澤
 まずは8台を追加で発注しました。カウンター席で貸し出して、クイズのコンテンツの反響が見たいです。

●佐藤
 「iPad」は情報収集に適していると思います。ひまつぶしとしてもとても面白い。そこを考えながら、飲食店の集客に活かしていく方法を探っていきます。

●宮田
 ツイッターの時代は、毎日あの辺に勤めている人が、突発オフ会のような感じになると思うのです。きちっと日時を決めた宴会、飲み会もなくなりはしませんが、集客の仕方も変わってくるのかなと。それを基本にお役に立てるコンテンツをつくっていきたいです。

●安田
 本日は長い時間、貴重なご意見をありがとうございました。「iPad」という新しいツールで、外食がより魅力的な産業に発展できるヒントがいただけました。


【取材・執筆】  長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年6月10日開催