フードリンクレポート


「リゾートワールド・セントーサ」1月、「マリーナ・ベイ・サンズ」5月オープン。
〜シンガポールの日本食は深化。本格ブーム始まる。〜(6—1)

2010.7.4
セントーサ島とマリーナ・ベイの2ヶ所にカジノリゾートが誕生し、その周辺でさらなる開発が続き、好景気に沸くシンガポール。金融、医療だけでなく観光でも世界中から注目を集める国となった。特に、中国からの観光客が急増している。そんな中、タクシー運転手も「日本食が好きだね。ちょっと高いけど」と言うほど、日本食文化が浸透している。そして、さらに深化を始めた。6回シリーズ。レポートは安田正明。


「マリーナ・ベイ・サンズ」 外観。遠方からでも目立つ。

「リゾートワールド・セントーサ」1月、「マリーナ・ベイ・サンズ」5月オープン

 シンガポールは、2008年9月に世界をかけめぐったリーマン・ショックからの立ち直りが早かった。国民1人当たりの国内総生産GDPは2009年で3万7千ドル。アジアではカタール、日本に次いで3位。2010年の金融センターランキングでは、ロンドン、ニューヨーク、香港に次ぐ世界第4位。東京を抜いた。

 立ち直りの原動力の一つが、大規模開発。海外、特に中国の富裕層を狙った観光資源開発を盛んに行っている。

 シンガポールの南端にあるセントーサ島。水族館や博物館を始め様々なアクティビティが詰まり、島全体がテーマパークとなっている。この島の北側、本島に面した34万平米に、今年2010年2月にユニバーサル・スタジオ・シンガポール、シンガポール初となる大型カジノがオープン。さらに、米国のハードロックホテルなど6つのホテル、計1800室以上の客室が開業。「リゾートワールド・セントーサ」と呼ばれる。カジノのオープン日は、中国の旧正月初日である2月14日。中国人観光客への期待度が伺える。運営はシンガポールの上場レジャー会社、ゲンティン社。


セントーサ島に渡るモノレールから見える「リゾートワールド・セントーサ」。


「ハードロックカフェ」の運営する「ハードロックホテル」のファサード。米ラスベガスにあるカジノ付ホテル。


フロントにはロックスターの絵。


ロビー中央には円形のカウンターバー。


ロビーの椅子もリラックスできる。


シンガポール最大の屋外プールを併設している。


「リゾートワールド・セントーサ」内商業施設には、「京都吉兆」 三代目徳岡邦夫のレストラン「kunio tokuoka」も出店。


ミシュラン3つ星シェフとして徳岡邦夫氏を紹介する看板。

 そして、島東部のウォーターフロントに、米ラスベガス・サンズ社による東南アジア初の高級総合リゾート「マリーナ・ベイ・サンズ」がカジノ付きで開業。今年4月に一部ソフトオープンし、6月24日に大部分がオープンした。約5千億円を投資。客室数は2560室。55階建てのホテル3棟の上に、豪華客船を乗せた奇抜なデザインが車からも目を引く。その屋上部分は「スカイパーク」と呼ばれ、展望台やレストランの他に、屋外プールが設置されている。世界一の高さにあるプール。シンガポールの高層ビルを一望できる。


「マリーナ・ベイ・サンズ」ファサード。


ロビーは巨大な吹き抜け。


実質57階となる「スカイパーク」のプール。


プールから眺める夜景。プールには淵がないのでスリルがある。


「スカイパーク」展望部分


「マリーナ・ベイ・サンズ」の周辺ではまだまだ開発が続く。

 大型リゾート開発だけではなく、街中に商業施設も続々と誕生している。シンガポールの蒸し暑さもあり、商業施設にお客は吸い込まれていく。そこでは、日本食、日本文化がキーテナントとなっている。


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年6月24〜27日取材