フードリンクレポート


「一風堂」にシャンデリア、ラーメンは若い女性客で賑わい。
〜シンガポールの日本食は深化。本格ブーム始まる。〜(6—3)

2010.7.7
セントーサ島とマリーナ・ベイの2ヶ所にカジノリゾートが誕生し、その周辺でさらなる開発が続き、好景気に沸くシンガポール。金融、医療だけでなく観光でも世界中から注目を集める国となった。特に、中国からの観光客が急増している。そんな中、タクシー運転手も「日本食が好きだね。ちょっと高いけど」と言うほど、日本食文化が浸透している。そして、さらに深化を始めた。6回シリーズ。レポートは安田正明。


「一風堂」外観。通路は閑散としているが、店内は賑やか。

「一風堂」にシャンデリア、ラーメンは若い女性客で賑わい

 2008年3月、ニューヨークに海外初出店した「一風堂」が海外2号店目に選んだのがシンガポール。オーチャード通りに面したマンダリン・ギャラリーという商業施設の4階にある。多数の商業施設が林立し、どちらかと言えば集客の弱そうな物件。4階の大半は物販で、レストランコーナーは一部。そこに「一風堂」は店を構えるが、その集客力は素晴らしい。15時頃でも、席の7割方が埋まっており、途切れなくお客が入ってくる。隣の店はランチタイム後の閉店で通路は閑散としているが、「一風堂」の店内には人がいる。しかも、そのお客の中心は若い女性。彼女達はスープまで全て飲み干す。


店内にはシャンデリア。


「一風堂」を紹介する漫画が壁に掲げられる。


カウンターには丼と蓮華をディスプレイ。


お客は若い女性が中心。


ラーメンメニュー。15ドル(1,050円)〜とやや高い。


「白丸元味」15ドル。日本で食べるのと同じ味。

 そして、前出のアイオン地下4階の「青葉」も繁盛店だ。アジアで人気ブランドとなっている“北海道”を前面に打ち出し成功している。


「青葉」外観。トロ箱が積み上げられ、「北海道ラーメン」と謳う。


サンプル棚を設け、人目を引く。


こちらは客層が幅広い。壁には日本語。日本語が本格感を演出している。


メニュー。ラーメンは10〜20ドル。1.9ドル追加で寿司が付く。


塩ラーメン10.8ドル(760円)。一風堂より安い。味は日本と比べて悪くない。


ラーメンのセットとなる「明石焼き」。これはちょっといただけない。


「青葉」はシンガポールで3店展開。日本には3店しかない。

「青葉」をシンガポールで展開するのは、ジャパン・フーズ・ホールディングJapan Foods Holdings。シンガポールで「味千ラーメン」のFCを展開している企業。シンガポールの新興市場カタリストに上場している。お好み焼き「ぼてじゅう」もシンガポールで6店運営している。


「味千ラーメン」イルマ店。

“北海道”はアジア、シンガポールでは人気のブランド。アジアの伊勢丹を巡回して催事で北海道物産を販売している株式会社山丁長谷川商店(函館市)では、オーチャード通りの伊勢丹スコッツ店で6/18〜28日の11日間の催事で4千万円も売り上げるそうだ。


長谷川勲氏(株式会社山丁長谷川商店 専務)

 欧米人が多く住むロバートソンキーには、タンタン麺「一番亭」がある。ラーメンなど直営・FC75店を展開する株式会社ダイム(三重県伊勢市)の直営店。


「一番亭」外観。


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年6月24〜27日取材