・ファミレス、持ち帰り寿司の市場を回転寿司3強が奪う
こんなにも、回転寿司3強、あきんどスシロー(「スシロー」ブランド主力)、くら寿司、かっぱ寿司が支持される理由について、外食に詳しいアナリスト 、いちよし経済研究所企業調査部第一企業調査室長・主任研究員の鮫島誠一郎氏に、聞いてみた。
「回転寿司は105円均一の3強のみが伸びて、あとは苦戦続きと見ていいです。これは、店のつくり、清潔感、商品のクオリティの高さ、ファミリー対応、駐車場といったようなトータルのQSC(品質、サービス、清潔さ)が、他を圧倒しているからです。
100円で出てくれば安くていいでしょという時代は、3、4年前に終りました。100円寿司のお店が増えて、消費者が選べる時代になって、3強はそれ以上の付加価値の追求を怠らなかったのに対して、他のチェーンは進化できなかったと言えるでしょう」。
たとえば、3強の店に行けば、ハンバーグ、ミートボールのような変わり寿司のメニューがある。天むすのような天ぷらが乗った寿司もある。これらは、子供にも回転寿司を楽しんでもらおうという狙いだ。デザートでケーキやフルーツをレーンに流すだけでなく、寿司そのもののネタにも、ファミリーで楽しんでもらう工夫が必要なのだ。
かっぱ寿司の創作寿司 とろたく。
また、チェーンによってやり方は違うが、わさび抜きをタッチパネルで選べたり、わさびの付いたものと抜いたもので皿の色を分けたり、基本的にわさび抜きをレーンに流して、顧客のほうでお好みでテーブルにてわさびを付けてもらう方式を取ったりしている。
天ぷら、うどん、たこ焼き、茶碗蒸しなど、サイドメニューも和食チェーンに迫るほどに充実させてきている。
「寿司というものは大人が食べるものといったイメージを、3強は崩しました。ファミリーで子供も楽しめる業態に、回転寿司のステージを上げたと評価できます」と鮫島氏。
その結果、ファミレス、スーパーの寿司コーナー、持ち帰り寿司の市場を、回転寿司3強が奪っている。
ファミレスは最近、サイゼリヤ、餃子の王将、ステーキハンバーグ&サラダバー けんのような専門店が強いが、回転寿司3強もその一角に食い込んでいる。3強の店舗は概してロードサイドの郊外型で、客席数も200〜300席を超える規模。省人化による店舗効率も高い。
また、スーパーの寿司コーナーが縮小気味であったり、持ち帰り寿司が最近全般に不振なのは、メニューにバリエーションがなく、面白みに欠けるからだ。3強はテイクアウトにも力を入れており、5〜600円からメニューがあるので、価格的にも持ち帰り寿司に負けていない。
あきんどスシローの店内で調理するシステムや、創作炙り寿司、海老レタスサラダのようなメニュー開発力。くら寿司の無添加にこだわる姿勢やエンターテイメント性のある「ビッくらポン!」、かっぱ寿司の「特急レーン」などは、まさに独自性に属する領域であり、他の追随を許さない。
この3強といえども今年に入って既存店の前年割れが目立つが、鮫島氏は「去年が伸び過ぎただけで、調整段階にあり、心配していない」とこれからも回転寿司をリードしていくと見ている。
あきんどスシローは創業以来25年間連続増収で、年商は約745億円(2009年9月期)となっている。店舗数は273店(2010年4月)。
くら寿司を展開する、くらコーポレーションは、年商は約674億円(2009年10月期)
で、店舗数は239店(2009年12月)。
かっぱ寿司を展開する、カッパ・クリエイトは、年商は約876億円(2010年2月期)。店舗数355店(2009年11月)。
店舗数では、首位のかっぱ寿司を、あきんどスシロー、さらにくら寿司が追う形となっている。3社は年商1000億円が視野に入ってきたと言えるだろう。