フードリンクレポート


「立鉄(たちてつ)」で来店頻度アップ。
〜鉄板焼のカジュアル化進む。立ち飲み、ワンコイン。〜(4−3)

2010.7.21
「鉄板焼」という業態はホテルのトップフロアに昔からあったように「高級業態」として位置づけられてきた。今でも特にアッパークラスのリゾートホテルなどではその土地の素材をそのまま焼き、シンプルな味つけで食べさせるという部分で変わらず健在。他の国からステイをする者にとっても「素材そのまま」「シンプルな味つけ」「目の前で調理」という点で「安心してセレクトできる業態」として万国共通で認識されている。近年ではこの「鉄板焼」に別の切り口を掛け合わせた新しい鉄板焼業態が街なかで人気を集めているという。その現況について探った。4回シリーズ。レポートは国井直子。


「立ち飲み+鉄板焼き ちゃぼうず」。

「立鉄(たちてつ)」で来店頻度アップ

「立ち飲み」「せんべろ(「千円でべろべろ酔っ払える」の意味)」はそれについての店舗を紹介する専門書籍が出されているほど価格も滞在時間も「気軽な飲み」という部分で時流にのっている。ここ「立ち飲み+鉄板焼き ちゃぼうず」(運営:中里有限会社)は、「立って飲むのがルール」とそれを全面に押し出し、又支払いもキャッシュオンデリバリーのスタイル。「立ち飲み」にすることは前述の業態の特徴でもある「来店頻度の低さ」を払拭する戦略になり得る。同店は銀座6丁目に2010年6月にオープンしたばかりの新店。


店内。


キャッシュオンデリバリー。籠の中に各人が札を入れる所から始まる。

 フードの提供は、鉄板で料理されたお料理をアルミホイルに包みそのまま卓上のお客の皿にアルミホイルごと乗せていく。


料理の提供スタイル。

 洗いものや食器の上げ下げのオペレーションを軽減し、狭いテーブルを有効に使える点で非常に合っている。フードメニューの数は名物としている「鉄板焼きとり(茜鶏使用)」が1串100円から5種類、鉄板焼きの一品料理も300円からの5種類、その他前菜などをいれても全体的に少な目だがそれぞれは面白い。

 たとえば「豆腐ステーキ」は鉄板で焼いた豆腐の上に納豆の固形状のものをちらしてあって、山葵でいただく。デザートではカスタードであえたフルーツにチーズをチラシ溶かして熱々のグラタンに仕上げた「フルーツグラタン」など。

 ワイングラスは底の占有面積がせまく、又安定感がありながらも雰囲気のあるデザインを採用していたりちょっとした工夫が随所にみられる。


鉄板焼きとり(1本100円から各種)。


豆腐のステーキ300円。


カスタードフルーツグラタン350円。


底面積の少ないワイングラス。


【取材・執筆】  国井 直子(くにい なおこ) 2010年7月12日執筆