・直近の3ヶ月に生まれた「ニュー」キーワード 6つ
1) iPad
世の中の流行にもっと外食も乗れば、今まで来てくれてないような客層も集客することができる。最新の話題が、iPad。お客が喜ぶ楽しいメニュー作りや、お客とのコミュニケーションが容易に取れるツールになりそう。
動画を利用したり、動くメニューを作ることができ、楽しさだけでなく、食の安全・安心を分かり易くお客に伝えることもでき、様々な用途に活用できる。ただ、機器が今のところ高額なので、外食では爆発的な普及は難しいが、今後価格が下がることが予測される。ソフト制作費も同様に下がっていくと思われ、将来性が高い。
2)スーパードライエクストラコールド
スーパードライエクストラコールドBar(東京・銀座)では連日行列。
アサヒビールのスーパードライエクストラコールドが人気。既存のスーパードライ樽生を使い、ディスペンサーを3台連結させた専用装置で注出する。通常の樽生ビールは5〜6度で提供されるが、この装置によりマイナス0度(氷点下)以下となる。このショールームとなる店舗が銀座に5月に誕生。連日行列が出来ている。このエクストラコールド扱い店は全国で僅か100店。希少価値もあり、集客動機となっている。
今年夏のビールの話題を独占。但し、設置コストがかかり、積極的に扱い店を増やすことが難しい。ただ、冬場でも人気が続くのか未知数。 他社も追随すると、“氷点下ビール”ブームが起きる。
3)グローバルダイニングからレインズへ
レインズからの独立者が活躍し始めた。
1980年代後半から90年代前半の人気業態は、グローバルダイニングが生み出してきた。同社の強みは、アルバイトでも時給は青天井。3千円以上稼ぐつわものもいた。店長は1千万円プレーヤーがごろごろ。独立心が強く、外食企業経営者を次々に生み出してきた。同社の株式公開で得た上場益で出店した人も。ところが、最近は、レインズインターナショナル出身の若い経営者が増えてきた。
多店舗展開を目指すためには、創業の段階から多店舗を念頭に置いた戦略が必要。最初から外食で企業を大きくしたいと考える若者は、レインズインターナショナルを学びの場と位置付けている。接客が好き、外食が好きで独立する人が多いが、冷静にビジネスととらえる若手経営者が出て来たことは外食市場拡大の為には有益と思われる。 レインズの店長クラスが、独立予備軍。
4)おひとり飲み
あらゆる業態で“おひとり飲みが進んでいる。
“おひとりさま”という言葉が流行り、女性が夜、飲食店で一人食事をする光景もよく見かけるようになった近頃だが、最近は食事をするというよりは、飲むために店に行く女性がじわじわ増えている。一人で飲むことを楽しみ、自分らしく自分の時間を過ごす。 女性の“おひとりさま飲み”には、大きく分けて2パターンある。一つは、「誰かとコミュニケーションをとりたいパターン」。もう一つは、「一人の時間を過ごしたいパターン」。
年齢が上がると、気軽に誘える友人が減ってきて、責任あるポジションから解放され誰にも気を遣わず飲みたいという希望が強くなるようである。人目を気にするよりもその希望は強く、何もしない時間を堂々と楽しめる落ち着きを求める。
バーのような店に一人で通う女性は、東京以外でも増えている。 女性客が女性客を呼ぶ循環になっており、一度来た女性客の満足度を上げることが重要。トイレなどアメニティー面での充実も必要。
5)ノー残業デー
ノー残業デーのある会社は3割。(アイシェア調査)
労働時間の短縮や経費の削減の一環として“ノー残業デー”を毎週水曜日に導入する企業が増えている。ネット通販の売上が水曜日に伸びている。早く帰宅し、自宅のパソコンの前で過ごす時間が長くなっている。東京ディズニーリゾートは4月から45歳以上を対象に、通常よりも700円割引になる「おとなの水曜日パスポート」を販売。週末消費型の企業ではサーフィン映画にちなんで「ビッグ・ウェンズデー」と呼んで、水曜日を注目している。外食への影響をヒアリングすると、売上が下がる店、上がる店、が併存しまだら模様。
現在のところ、水曜日に売上が下がるという店舗は一部。早々と帰宅したり、趣味に時間を使うなど、外食に立ちよらない消費者がじわじわ増える可能性がある。 料理やワインなどの趣味の習い事をからめたイベント開催で、ノー残業デー客を集客することもできる。
6)フリー
芋・麦・米の焼酎が何杯飲んでもタダ、「居酒屋革命」。
『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(クリス・アンダーソン著)という本が売れている。タダからお金を生み出すというと、錬金術のように思われるかも知れないが、ネットブックを無料で配りモバイル端末を分割料金で売るというような販売方法は、今日では普通に行われている。つまり、何かの利益をあえて犠牲にすることで、集客力をアップさせて、さらなる利益を上げる。外食でもこの手法を取り入れる店が出てきた。
フリーは話題性があり、店の知名度が上がり、集客に繋がる。フリーのメニューもあるが、減る売上を他のメニューで取り返すという手法であり、トータルでは安くない場合が多い。ただ、使い方によっては安くなり、店側にはリスク。それを広告費と捉える必要がある。
次回は、7〜9月の3ヶ月間の外食キーワードを10月に発表します。