・不景気の時こそ出てくるカフェ業態
近年、話題のスポットを次々とプロデュースしてきたカフェ・カンパニー株式会社(以下、カフェ・カンパニー)であるが、楠本氏によれば、不景気だとカフェ業態が多く出てくるという。「客単価が低く、立地も2流立地が適しているので、決して儲かる業態ではありませんが、不景気になり経済要件が下がってくるとうまく回る業態なんです。」
「WIRED CAFE360°」(原宿)。
かつて、同社がカフェビジネスを始めた頃がそうだった。1997年、山一證券が経営破たんした、いわゆる“山一ショック”の際、不景気に陥り、あちこちで不動産に空きが出た。その場所を使って、カフェを始めたという。
「不景気になるというのは、あるモデルに限界が来ているということ。全てにおいてリノベーションが必要になるんです。そんな、何かが終わりを迎えている時こそ、新しい価値を提供できるチャンスだと思っています。」
5月27日オープンしたJR渋谷駅新南口直結の「PUBLIC HOUSE CAFE & LOUNGE」。
そんな時こそ、人々の文化的なつながりが多くなる。その中で、次世代の礎になることができたら、街の中で意味のある存在になれると楠本氏。「不景気のときこそ、新しい転じ方を提案しなければならない。それは、必ずしも“新しいものをつくる”ことでなくてもいい。大切なのは“リスペクト”し、見直さなければならないということです。そのためには、周りの街や社会が変わる空気を感じなければならないのです。」それが地元に根ざしたコミュニティを再生させることであり、新たな価値を提供することにつながっているのだろう。