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ユニオン スクエア トウキョウで昨対130%を実現させた施策。
〜上場廃止という選択。既成事実に縛られない経営体制で再スタート。〜(5−4)
林 祥隆氏 株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長

2010.8.12
現在20業態、63店舗を国内外に展開する、業界大手の株式会社ワンダーテーブル。東証二部上場企業として事業を展開してきたが、今年4月、上場廃止の決断を下した。廃止に至った理由とその後の反応、そして、現在の業態展開や海外進出について、代表取締役社長の林氏に聞いた。5回シリーズ。レポートは村田麻未。


2007年に六本木ミッドタウンにオープンした「ユニオン スクエア トウキョウ」。

ユニオン スクエア トウキョウで昨対130%を実現させた施策

 多くの業態を展開するワンダーテーブルだが、現在どんな業態が好調なのだろうか?

「海外からのブランドが好調です。バルバッコア、ロウリーズ・ザ・プライムリブ、ユニオン スクエア トウキョウ(以下、ユニオン スクエア)など。ユニオン スクエアに関しては、昨対130%を記録しました。」


「ユニオン スクエア トウキョウ」のテラス。

 業界全体が苦戦する中、130%という好調さの裏にはどんな取り組みがあるのだろうか?

「ユニオン スクエアは2007年のオープン当初、大変な注目を浴び、観光客的カスタマーが押し寄せました。5000〜6000万を売り上げる月もありました。しかし、それが落ち着くと、いきなり売上が大幅ダウン。オープン時点から好調だったので、改善を迫られても突然できるわけがない。低迷が続きました。」

 そこから130%までの改善。どんな施策を打ったのだろうか?打開策の大きな柱となったのは、“リピーターを作る”ことだった。

「まずは、顧客を分類するところから。予約時や来店時に来店回数を確認し、新規のお客様を“ニュー”、来店が1〜2回のお客様を“リピーター”、3回以上を“レギュラー”、常連を“ロイヤル”とし、顧客管理を始めました。そして、どうやったらそれぞれのお客様がまた来たいと思うのか、新規のお客様がリピーターに、リピーターのお客様がレギュラーに、レギュラーがロイヤルにどうやったらなるのかを考えました。そして、そのカテゴリー別にサービス内容を変え徹底させたのです。」

 昨年から始めたその施策の結果が最近出始めたのだという。


ユニオン スクエア トウキョウで人気の「USTバーガー」(2800円)。

「不況、不況と言いますが、お金を使える人は確実にいます。その人たちをいかにつかまえるか、それがポイントです。例えば、ユニオン スクエアでは、2800円の「USTバーガー」、和牛を使ったハンバーガーが人気です。2800円のハンバーガーは高いと思いますが、他ではなかなか無いので(そのターゲットの人には)人気が出るわけです。」


【取材・執筆】 村田 麻未(むらた あさみ) 2010年7月23日取材