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最新は横浜「ハマ横丁」。続く今秋オープンは「新橋ワールドミートセンター」。
〜ちょうちん、すだれ・・どこか懐かしい路地裏の横丁。横丁文化の歴史と進化を追う。〜(7−6)

2010.8.23
「横丁」という言葉と文化は韓国のソウルで発達したともいわれソウルにはその名残が多い。古くからの食文化を守り続けている店も少なくないこの街で、伝統ある飲食店は表通りから一本奥に入った路地裏に集まっている。大通りを貴族が馬で通っていた頃(朝鮮王朝時代)、庶民だけが気兼ねなく通れる細い路地が大通りを避けて作られ、そこに「庶民の憩いの場」として飲食店が軒を連ね人が集まり横丁は出来上がっていった。東京都内にも50年以上の時を経てそのままの形で残る横丁がいくつかあり今も賑わいをみせる。一方で近年、商店街再生事業をひとつの目的とした「横丁ブランド」と称される「プロデュース型横丁」もオープンラッシュが続く。「横丁」のもつ「魅力」と「味わい」は何なのか、そして人はなぜ横丁に集まるのか。7回シリーズ。レポートは国井直子。


「ハマ横丁」 外観。

最新は横浜「ハマ横丁」。続く今秋オープンは「新橋ワールドミートセンター」

 最新の浜倉氏プロデュース横丁は横浜駅きた西口徒歩3分、鶴屋町にオープンした「ハマ横丁」。一棟3階建て、全て地元横浜の飲食店経営者から成る9店舗が集結。コンセプトは東京にはない「古き良き横浜」をイメージし年配の方から若者にも使い易い斬新な店舗まで幅広い客層にあわせた使い易い店の集合体となっている。入口のネオンサインは「派手にして正解!」と浜倉氏も納得の眩しさ。店内にはなかなかお目にかかれない、とっておきのレトロアイテムがいくつも見られる。

 一階は「昔の野毛」がコンセプトとなっている。新鮮な鶏・豚・牛を焼きあげワインがウリの「Grill&Wineヤミツキ」、店前の通りを歩いていてもバーベキューの風景が食欲をそそられる「海鮮BBQ 浜印水産」、A4・A5ランクの国産牛グリルを中心にダイニングとバーを融合させた空間でいただく「Grill Dining Bar 饗」、鮮度抜群の旨い魚が揃う「炙塩旨魚 勢」の4店舗が入る。


「海鮮BBQ 浜印水産」の料理。

 2階は「昔の本牧」をイメージした。アメリカンテイスト漂う老舗バー「PARTY ANIMALZ」、馬肉を刺しでも焼きでもいただけて日本酒が揃う「馬肉料理とおでん お富さん」、四角い本牧ピザに横浜発祥のスパピザがウリの洋食レストランバー「うえちゃん」、豊富な焼酎や日本酒、話題の「快眠活魚」を提供する「焼酎&カクテルバーROCKWELLS」、横浜一押しの鉄板グルメ「横濱モダン焼」が楽しめる「横濱モダン焼き 重」の5店舗。


2階「PARTY ANIMALZ」。

 3階は生ライブが楽しめる「SOUND BAR 電気クラゲ」の1店舗。1-2階と全く違う雰囲気が漂う。テーブルチャージは1人300円でライブのある時はテーブルチャージ込みの2,000〜3,000円。ジャズ・ソウルを中心とした懐かしいライヴが定期的に催される。


3階「SOUND BAR 電気クラゲ」。

 4階は屋上スペースで季節限定オープンテラス「メリケン波止場」。今の季節は日替わりの衣装に身を包んだハマジャンガールが出迎えてくれる。


4階「メリケン波止場」。

 全体を見渡せて真ん中の通路を横丁感覚で歩き回る「恵比寿横丁」や「神田ミートセンター」に比べると施設全体には仕切りがある程度あり、また違うスタイルにのようだ。個店それぞれのカラーがより顕著に感じられ、その日の連れや使い勝手にあわせお客自身のニーズで使う店を選ぶ。BBQを大勢で楽しむも、ゆったり囲われたプライベート感のある個室を利用するも、又カウンターでひとり気ままに飲むもよしといったところだ。

 今後の浜倉氏プロデュースの横丁は、「新橋ワールドミートセンター」が10月オープン予定となっている。


【取材・執筆】 国井 直子(くにい なおこ) 2010年8月12日執筆