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カフェプロデュースの原点、ニューヨークのカフェに見たもの。
〜独自の手法で人気のカフェを次々とプロデュースし、「カフェを通した街づくり」を実践する〜(5−1)
入川秀人氏 入川スタイル&ホールディングス株式会社 代表取締役

2010.8.25
カフェブームの先駆けとなるキャットストリートのWIRED CAFEを始め、これまで数多くのカフェを創造するとともに、「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」やユニクロの新業態である「UT STORE HARAJUKU」の店舗プロデュース、東急電鉄沿線の街づくりの他、業態開発や店鋪開発から企業ブランディングまで、幅広い分野のプロデュースを手掛ける入川氏。新たにオープンし話題となっている、豊洲の「CAFE;HAUS」、六本木一丁目の「ARK HiLLS CAFE」を例に、カフェを通してコミュニティを創造し、街を変える、そのプロデュースの手法とカフェづくりに対する思いを聞いた。5回シリーズ。レポートは村田麻未。


入川秀人氏(入川スタイル&ホールディングス株式会社 代表取締役)

カフェプロデュースの原点、ニューヨークのカフェに見たもの

 カフェのプロデュースに留まらず、多岐に渡る業界での新規業態開発、店舗デザイン、商業施設や建築・街づくりのプロデュースなど、生活に身近なあらゆる分野のプロデュースを手掛ける入川氏であるが、その原点はニューヨーク、マンハッタンのカフェにあった。

 20年程前、当時大手人材派遣会社の系列企業の社長だった入川氏は、ニューヨークと日本を行ったり来たりしていた。90年代初めのニューヨークは、経済の発展の傍ら、エリアによってはまだ治安が悪かった時代である。

 入川氏は、マンハッタンでも特に人種が混在し、アーティストやゲイが多く集まるイースト・ビレッジのエネルギーと面白さに惹かれ、よく足を運んでいたという。その中でも特に興味を惹かれたのが、カフェの存在。街の中で“重要な役割”を果たしていたという。


今年5月にオープンした、入川氏プロデュースの「CAFE;HAUS」(豊洲)。

 「そこにあったカフェは、毎日地元の住民が集まっては、それぞれが自然と自分たちのビジョンを語り始めるような場所でした。そこでは、ライフスタイルがそのまま出せるし、カフェは彼らの考えに寄り添うような存在。そこへ行けば、自分の生き様の再確認ができ、生き方のヒントをもらえたりもします。ヨーロッパのトラディッショナルな敷居の高いカフェともちょっと違います。そこから新しいことが始まる、新しいムーブメントの核になるのがカフェでした。」

 そして、カフェがあることで街が変わっていく光景を目の当たりにした。「地域のコミュニティのハブになるようなカフェがあることで、街が良くなっていったんです。治安的にも、文化的にも。それまで危険だったエリアも、カフェができることで様々な活動が起こり、活性化し、安全になりました。その様子をつぶさに見ていたら、自分たちもそんなことがしたいと思いました。」

 その後、入川氏は仲間と共に、ニューヨークで新業態の飲食店をオープンさせるとともに、国内でもいち早くインターネットカフェやトラベルサロン&カフェをオープンさせるなど、「カフェを通した街づくり」につながる活動を行っていったのである。


【取材・執筆】 村田 麻未(むらた あさみ) 2010年7月23日取材