・カフェ文化が街を変え、日本を変える
入川氏の視点は、カフェ店舗のみのプロデュースに留まらない。カフェを中心とした、エリア一帯の街づくりにまで及ぶことが多い。先述した豊洲然り、アークヒルズも同様だ。
アークヒルズでは、「ARK HiLLS CAFE」以外にも、店内で行われるライブを始めとする各種イベントやパーティ、プロモーション、隣接するギャラリースペースでの様々なイベントをプロデュースするとともに、毎週土曜日にカラヤン広場で開催される朝市「hills marche(ヒルズマルシェ)」をサポートするなど、地域コミュニティを創造し、賑わいを創出するために様々な取り組みを行っている。
カフェや隣接するギャラリーでの企業プロモーションなどもプロデュース。
「お正月には、門松を飾りました。コミュニティを文化的に盛り上げるのが目的でしたが、懐かしがってくださったり、外国人の方は珍しがって、皆さんとても喜んでくださいました。」立地やターゲットを的確に捉えるためには、「物事を知ること、歴史を知ることが大切。」と語る入川氏。ベースがあってこその、トータルプロデュースなのである。
いいカフェがあればそこから活気が溢れて、いい街ができる。地域に寄り添うカフェ文化が、その地域や日本に果たす役割は大きいと考える同氏が、昨年秋から発行しているのが「CAFE-BON(カフェボン)」である。これは、カフェを愛する人たちをサポートしていきたいと、様々なカフェ、その経営者、コンセプトの紹介、カフェをプロデュースしてきた方の対談などを掲載した、カフェづくりのヒントが詰まったフリーマガジン。
「ARK HiLLS CAFE」で開催されるライブイベント。
また、数年前から、大学やビジネス系スクールで講師として授業を受け持ち、講演も行う。カフェビジネスに興味がある人たちに対して、「Cafeを通した街づくり」の手法を伝える活動を行っているのだ。
「日本全国のカフェのネットワークを作っていきたいですね。例えば、i-Phoneのアプリを作るなどして、ITとリアルな場をつなぐクロスメディアを作りたいと思っています。」メディアを使った新たな取り組みも構想中のようだ。
「現在も計画中の新しいプロデュース案件がいくつかあります。ありがたいことに多方面からお声を頂くので、組織体制も整えました。」
体制も整い、入川氏によるプロデュースはますます加速していきそうだ。カフェによって街に活気が出る。そんな街が増えて日本全体が元気になっていく。そんな「カフェが持つ大きな可能性」に期待したい。
■入川秀人(いりかわ ひでと)
商業開発プロデューサー、入川スタイル&ホールディングス株式会社 代表取締役。1957年生まれ。兵庫県出身。1999年LDKを玉田敦士氏(現代表取締役)と共に創業。2001年コミュニティ&ストアーズ(現カフェカンパニー株式会社)を楠本修二郎氏(現代表取締役)と共に創業。2005年に入川スタイル研究所、2007年には入川スタイル&ホールディングスを創業。2010年より株式会社生活スタイル研究所会長も兼任。事業開発から業態開発、街づくりや企業・街のブランディングまで、幅広い分野を手がける。
→入川スタイル&ホールディングス株式会社