・米国本家のグルーポン、クーポッドを買収し日本進出
「ピク」、「カウポン」などといった日本のフラッシュマーケティングの盛り上がりを受けて、本家本元のアメリカ・グルーポン社も、日本進出に乗り出した。
グルーポン社は、日本のフラッシュマーケティングサイト「Q:pod(クーポッド)」を運営するクーポッド(本社・東京都渋谷区渋谷)を8月18日に買収。グルーポン・ジャパンを立ち上げ、今後のデザインにおける米国サイトとの統一、サイト名を「Groupon(グルーポン)」に変更することも含めてリニューアルしていくという。
グルーポンは2008年11月の創業という若い会社だが、起業して数年は赤字を計上する多くのIT企業に対して社歴1年足らずで黒字化。2年に達しないうちに年商約300億円、年間推定利益約45億円とたいへんな勢いで伸びている。
8月30日付の日本経済新聞電子版による、創業者でCEOのアンドリュー・メイソン氏インタビューを読むと、「グルーポンは世界29ヶ国200都市以上で展開中。社員数は世界で約2000人。クーポン情報を配信しているサービス利用者は1500万人。毎週100万人ずつ増えており、これまで1000万件以上のクーポンを販売した」そうだ。
事業の志としては「レストランや店舗など地域に根付いたビジネスの有益な情報を効果的にその街の住民に届けることで、人々が家から飛び出して街を楽しむためのきっかけになりたい」と、「グルーポン」の共同購入型クーポンは、街を楽しむきっかけをつくるメディアでありたいと強調している。
また、グルーポンはクーポッドと共にロシアの「Darberry」も買収。その国のトップシェアー企業を傘下に治めて世界展開をはかる動きを加速している。
ところで、クーポッドは6月4日に創業し、7月2日にサービスを開始したばかりの会社だ。その7月にいきなりフラッシュマーケティングサイトの売上日本一となり、今回のグルーポン買収につながった。「iTunes」カードを80%オフで1万人に販売したのが売り上げに貢献した。買収は資本提携によるもので、グルーポンの出資比率が高くなったということだ。
クーポッド ホームページ。関東、愛知、近畿、九州に展開中。7月の売上約1600万円でフラッシュマーケティングでは月間日本一。
クーポッドは、モバイルを中心としたコンテンツ事業と通販事業などを行うパクレゼルヴ(本社・東京都渋谷区渋谷)と、独立系ベンチャーキャピタルのインフィニティ・ベンチャーズLLPの共同出資で設立され、パクレゼルヴ専務の瀬戸恵介氏が社長に就任している。増資の取りまとめは、インフィニティ・ベンチャーズLLPが動いた。
クーポッド広報によれば「アメリカ、ヨーロッパの事例をかなり研究してサービスを始めた」とのことで、レストラン、美容、スクール、クルージングなど、幅広い分野のクーポンを基本的に50%以上の割引でユーザーに提供していきたいのだという。
1エリア・1日・1商品限定で、全国10都市で展開。エリアは順次拡大して行く方針で、「たとえツイッターのフォロー数が少ない地域でも、思わず口コミで伝えたくなるような地域にとって魅力ある商品ならばニーズはあるはず。クーポンを発行したお店の9割からは、また利用してみたいとリピートを考えているアンケート結果をもらっている」と、ツイッター、SNSといったソーシャルメディアが普及していない地域でも、「クーポッド」は通用しリピート率も高いはずだと全国展開への自信をのぞかせている。
日々同様なサービスが雨後の筍のように誕生し、もう既に30とも50とも言われるフラッシュマーケティングサイトであるが、利用者側となる飲食店にしてみれば、経営者のヴィジョン、技術力はもちろん、ベンチャーキャピタルが背景にあるなど資本力の裏づけがある、長くつきあえるサイトを選びたいものだ。中には営業力が伴わず、クーポンが途切れがちのサイトもある。
分野に特化した共同購入を募集するサイトもある。ハニーインターナショナル(本社・東京都渋谷区恵比寿南)が展開する焼肉専門「焼きニクーポン」、点灯夫(本社・東京都目黒区鷹番)が準備中のネットショップ専門「百式クーポン」といったようなユニークなサービスも始まっている。
焼ニクーポンのツイッター。焼肉専門をうたっている。