フードリンクレポート


2業態目「日本焼肉党」。
〜「鳥番長」「日本焼肉党」2業態で業界騒然。ラムラから解き放たれた業態開発のスペシャリスト〜(4−3)
岩田浩氏 株式会社バイタリティ 代表取締役

2010.9.15
押しの強いネーミングと、作り込まれた業態として「鳥番長」(馬喰町、上野昭和通り)と「日本焼肉党」(浅草橋)の3店を展開するバイタリティが業界の注目を集めている。地方にも模倣店舗ができ、その業態の力強さを物語っている。同社代表の岩田浩氏は、株式会社ラムラ出身。当時ヒット業態「韓豚屋(ハンテジヤ)」「土古里(トコリ)」などを生み出した業態開発のスペシャリストだ。4回シリーズ。レポートは安田正明。


「日本焼肉党」(浅草橋)。

2業態目「日本焼肉党」

 今年8月にオープンした2業態目、大衆肉酒場「日本焼肉党」は浅草橋で10坪の2階建て物件。山形牛1頭買いがウリ。計20坪で初月1090万円を売った。


座敷席。


テーブル席。

「売上は凄いですが、原価がどれくらいかまだ分からなくて怖いです。メニューにカルビ、ロースと書くとカルビばかり売れる。結局、売れる部位を別に仕入れなきゃいけなくなって、1頭買いのメリットがなくなってしまう。ラムラの時もそうでしたが、なかなか1頭買いは続かない。どうすれば、1頭買いのメリットを出せるか考えました。」

「焼肉というイメージじゃなく、肉酒場。『鳥番長』の牛版と考えた。盛り合わせにして、今日の盛り合わせはコレですと売る。残った赤身をランチに、牛のたたき丼、牛かつ定食として売る。その2品が出るよう、メニューにバーンと大きく載せました。今度は逆に赤身が足りないくらい。サーロインとかいい部位も残った。それを盛り合わせに含めるとお客が喜んでくれる。何でこんなの1500円でいいの、となる。狙い通りです。」


メニュー。「特選山形牛」1,500円。


ランチメニュー。一頭買いで残った赤身をランチに。

「20日で2頭目を仕入れ、今は3頭目。盛りが良くて、大丈夫かなと思っています。牛を買う時にセリに行って、いくらで落としたか見れば値段が分かるじゃないですか。月に一度、買いに行きますよと当初は話していましたが、忙しくて行けてない。1500円で原価50%も掛ってます。だから、昼で儲けないと。」

「『日本焼肉党』というのは名前から先にありき。政権交代の時に思いつきました。最初は選挙事務所のイメージ。店内は蛍光灯で、事務所っぽいデスクがあって、達磨や神棚があって。でも、何かつまらないな。選挙事務所で焼肉を食べているのは何かおかしい。デザイナーから、海の家で焼肉を食べてるイメージを提案され、今の流行りに合ってるかなと。」


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年9月6日取材