
・焼きそばともつ料理はB級ご当地グルメの2大スター
B級ローカルグルメの見本市として定着した感のある「B-1グランプリ」であるが、来場者の投票結果を見ると、票が入る料理に一定の傾向があり、出展者もその傾向に合わせて郷土の味を出してきている。
今回、第5回の神奈川県厚木大会で、第一勢力として目だったのは何と言っても焼きそばだ。
過去焼きそばは、第1回青森県八戸大会、第2回静岡県富士宮大会で、富士宮市「富士宮やきそば」が連覇。第4回秋田県横手大会では「横手やきそば」が優勝している。

「富士宮やきそば」。
第2回の「富士宮やきそば」、第4回の「横手やきそば」は地元開催の有利さがあったが、「B-1グランプリ」というと焼きそばのイメージが浸透したことは間違いない。
優勝経験のある、富士宮やきそば学会と横手やきそば暖簾会は、投票の対象から外れたが、代わって富士宮、横手に続けとばかりにやきそばの新勢力が登場してきている。
まずは2位シルバーグランプリ獲得の「ひるぜん焼そば」。岡山県の山間部鳥取県との県境にある真庭市の蒜山地区で結成された、ひるぜん焼そば好いとん会が出展した。

「ひるぜん焼そば」ブース。

2位に入った、ひるぜん焼そば好いとん会。
ジャージー牛乳で著名な蒜山高原であるが、現在の人口は約5000人。日本の田舎の例に漏れず過疎が進んでおり、まちおこしのため2008年12月に同会が発足。昨年横手大会で3位に入賞した、隣接する津山市「津山ホルモンうどん」の津山ホルモンうどん研究会のアドバイスも受けつつ、準備を進めてきたという。初出場で2位に入ったのは快挙だ。

「津山ホルモンうどん」ブース。
現在同会が公認する「ひるぜん焼そば」の店は、真庭市蒜山地区に10店ある。
「ひるぜん焼そば」は50年前からおじいちゃん、おばあちゃんがつくっていた蒜山のソウルフードで、味噌をベースにした秘伝の甘辛ダレが特徴。かしわ肉と歯ごたえある蒜山高原キャベツと味噌ダレが、もっちりした麺に絡むインパクトある焼きそばだ。
7位に入った「黒石つゆやきそば」は、青森県黒石市の名物。ソース焼きそばに和風ダシをかけ、揚げ玉とネギをトッピングする、地元民以外は未体験の味だ。

「黒石つゆやきそば」ブース。
10位の「オホーツク北見塩やきそば」は、生産量日本一のタマネギ、オホーツク海産の肉厚のホタテが入った、北海道北見市のご当地グルメ。味付けの塩ダレは北見産タマネギと天然ホタテのエキスを、オホーツク海の天然塩で仕上げている。

「オホーツク北見塩やきそば」ブース。
実食した感じ、これは地元の食材を生かし非常に旨いので、今後伸びてくると予想している。
上位入賞を逃したが、福島県浪江町「なみえ焼そば」は、いわきの塩でつくった極太麺を豚肉とモヤシの具で炒めた、50年前に考案されたご当地B級グルメ。フルーティーで濃厚なソースに、フルーツ王国である福島県の面目が感じられる。

「なみえ焼そば」。
浪江町の女子中高生で結成した、「なみえ焼そば」宣伝のためのご当地アイドル「NYTS(ナイツ)」が、AKB48ばりの衣装を着て特設ステージで歌い踊るなど、パフォーマンス面でも注目を集めた。

なみえ焼そばPR隊のNYTS。
群馬県太田市「上州太田焼そば」は、特徴的な太麺とソース、具はキャベツ、青のりと紅しょうがをトッピングした、いかにも懐かしい感じのシンプルな焼そば。

「上州太田焼そば」。
宮城県石巻市「石巻焼きそば」は、生麺を長持ちさせるため二度蒸し法を採用し、香ばしさと吸水力を増した麺でつくる独特なソース焼そば。魚系の節のダシで仕上げる。
神奈川県湯河原町「湯河原名物たんたんたぬきの担々やきそば」は、湯河原温泉はタヌキが見つけたという伝承に基づき、2年前に新規開発された。なので、地元で伝承されてきた味とは異なるが、ピリ辛味の新名物として既に町内50店が提供している。地元で採れた柑橘系と、温泉玉子系の2種類の系統がある。

「湯河原名物たんたんたぬきの担々やきそば」。
隣接するコナモン鉄板焼分野では、今回4位に健闘した岡山県津山市「津山ホルモンうどん」、焼きそばの麺の代わりに干しうどんを茹でた福岡県北九州市「小倉発祥焼うどん」。

「小倉発祥焼うどん」。
さらには、ジャガイモと牛スジとコンニャクが入ったお好み焼である兵庫県高砂市「高砂にくてん」、牛と豚のミンチを使ったお好み焼の広島県府中市「府中焼き」、ふわったした玉子の食感と鰹ダシがきいたタコ焼である兵庫県明石市「あかし玉子焼」とあり、これらを合わせれば、一大勢力を形成している。

「高砂にくてん」。

「府中焼き」。

「あかし玉子焼」。
焼きそば、焼きうどん、鉄板焼恐るべしである。
鉄板焼全般に対象を広げると、8位に入った醤油ベースの甘辛ダレで牛バラ肉を大量のタマネギと炒めた青森県十和田市の「十和田バラ焼き」、ニンニクと一緒に濃い目のタレでソテーした豚のステーキである三重県四日市市「四日市とんてき」、鶏肉を味噌や醤油で味付けた岐阜県郡上市「めいほう鶏ちゃん」があり、牛肉・豚肉・鶏肉のソウルフードが揃い踏みになった。

「十和田バラ焼き」ブース。

「四日市とんてき」。

「めいほう鶏ちゃん」。
付け加えれば、既に全国区の知名度を得ている静岡県浜松市「浜松餃子」も当然、鉄板を使う。焼きそばをはじめ、B級グルメは鉄板のイメージが強くあると言えよう。

「浜松餃子」。
焼きそば、鉄板焼と並んで「B-1グランプリ」で強いのは、もつの分野だ。
まず、今回の開催地で第3回久留米大会優勝の「厚木シロコロ・ホルモン」が挙げられる。受賞したのはまちおこし団体の厚木シロコロ・ホルモン探検隊で、地元厚木の食肉センターで処理された豚の大腸、シロを味噌ダレに漬け込み、網焼きでじっくり焼いた料理。焼き上がるとコロっとシロが丸まるので、名称どおりシロコロって感じである。

「厚木シロコロ・ホルモン」。
「厚木シロコロ・ホルモン」は昨年の横手大会でも行列の長さは一番だったと記憶するほどで、票は意外に伸びなかったが注目度の高さがうかがわれた。
今回は殿堂入りとなって投票対象ではなかったが、行列の長さは相変わらずで、地元でもあり仮に投票になっても優勝を争ったことは間違いない。
そして今回の覇者「甲府とりもつ煮」も、もちろんもつ料理である。内臓料理が浸透している厚木市民に、特に積極的に受け入れられた可能性がある。厚木から西北へ丹沢の山を越えると山梨県であって地理的にも近く、有利な面もあったようだ。

「甲府鳥もつ煮」ブース、接客風景。
4位に入った「津山ホルモンうどん」は、岡山県津山市内の鉄板焼店など50店で提供されているメニュー。醤油ベース、味噌ベースなど味はさまざまだが、牛のホルモンを使っている。
ホルモン系のB級ご当地グルメに共通するのは、ビールに合うということ。和牛、豚、鶏の産地で食肉センター、食鳥センターがある場所なら、ホルモンを使った地域独自の料理がまだまだ眠っている可能性がある。
今後の地域まちおこし団体の発掘に期待である。