フードリンクレポート


1、2位を初出場組が独占。新参の有望B級グルメ台頭。
〜首都圏初開催の 第5回B-1グランプリ。入場者数最多の43万5千人〜(5−3)

2010.9.29
9月18日(土)・19日(日)の両日、神奈川県厚木市で開催されたB級ご当地グルメの祭典「第5回B-1グランプリ」(主催:愛Bリーグ、B-1グランプリin厚木実行委員会)は、首都圏で初の開催ということもあり、入場者数は43万5000人を数え、昨年の26万人を大幅に更新して過去最高となった。参加団体も過去最多の43、うち18団体が初出場とフレッシュな顔ぶれも増えた。来場者の割り箸投票数で決める優勝のゴールドグランプリには、山梨県甲府市「甲府鳥もつ煮」を提供した「みなさまの縁をとりもつ隊」(土橋克己会長)が輝いた。5回シリーズ。レポートは長浜淳之介。


長崎県大村市の「大村あま辛まっ黒!カレー」。

1、2位を初出場組が独占。新参の有望B級グルメ台頭

今回の第5回「B-1グランプリ」厚木大会の特徴は18もの団体が初出場したことで、まだまだ地域には中央に知られていないご当地グルメが眠っていることを印象づけた。

 上位に入賞した、1位山梨県甲府市「甲府とりもつ煮」、2位岡山県真庭市「ひるぜん焼そば」、5位神奈川県三浦市「三崎まぐろラーメン」、6位愛知県豊川市「豊川いなり寿司」、8位青森県十和田市「十和田バラ焼き」、10位北海道北見市「オホーツク北見塩やきそば」は、新参といえども常連組と同等、あるいはそれ以上の入場者の支持を集め得ることを証明した。


「甲府鳥もつ煮」ブースはかなり派手な演出。

 上位には入れなかったが、他の12団体も全国に地域の味を広める機会となり、地域活性の第一歩となっただろう。

 他の12の料理は、長崎県大村市「大村あま辛まっ黒!カレー」、長崎県雲仙市「小浜ちゃんぽん」、神奈川県湯河原町「湯河原名物たんたんたぬきの担々やきそば」、福島県浪江町「なみえ焼そば」、宮城県石巻市「石巻焼きそば」、広島県府中市「府中焼き」、神奈川県南足柄市「足柄まさカリー 黄金のポット」、兵庫県明石市「あかし玉子焼」、岩手県北上市「北上コロッケ」、岐阜県郡上市「めいほう鶏ちゃん」、島根県出雲市「出雲ぜんざい」、三重県四日市市「四日市とんてき」、といった面々であった。


「小浜ちゃんぽん」。


「出雲ぜんざい」。

 目立つのは神奈川県での開催でもあり、神奈川勢の大挙しての進出である。「厚木シロコロ・ホルモン」に続けとばかりに、「三崎まぐろラーメン」、「湯河原名物たんたんたぬきの担々やきそば」、「足柄まさカリー 黄金のポット」と3つのご当地グルメが登場した。これら3つはまちおこしのために新規開発されたもので、いわゆる昭和の時代から地域に伝えられた食文化とは異なる共通点を持つ。


三崎まぐろラーメンは、お好みでまぐろらー油を垂らして食す。

 2回目の富士宮大会でも、静岡県の新規出店が目立ったが、それに次ぐものだ。富士宮大会で初登場の静岡勢は、静岡市「静岡おでん」、浜松市「浜松餃子」、袋井市「たまごふわふわ」、裾野市「すその水ぎょうざ」と4つもあった。


「静岡おでん」。


「袋井宿たまごふわふわ」ブース。


「すその水ぎょうざ」ブース。

 このうち「たまごふわふわ」は江戸時代に袋井宿で食されていた料理を2006年に再現したとされ、「すその水ぎょうざ」はモロヘイヤ入りであり明らかに「B-1グランプリ」用に新規開発されたものである。

 神奈川と静岡は、郷土料理ではない新名物が多すぎる。そこで地域の商工業者が団結していればいいが、まちおこしの美名のもとに一部の業者だけが得をする仕組みになっていないか、全部の料理ではないが疑問を残したのも事実だ。

 全国的に見るとカレーに新規開発組が多い。というよりも「B-1グランプリ」に出ている全てだ。

 北海道富良野市「富良野オムカレー」、秋田県仙北市「あいがけ神代カレー」、岐阜県郡上市「奥美濃カレーひっちゃく棒」、長崎県大村市「大村あま辛まっ黒!カレー」及び先ほどの「足柄まさカリー 黄金のポット」が、「よこすか海軍カレー」でまちおこしに成果を上げた神奈川県横須賀市に続けと、カレーによるまちおこしに挑戦している。


「富良野オムカレー」。


「あいがけ神代カレー」。


奥美濃カレーひっちゃく棒。ご飯を竹串に練り付け豚バラ肉で巻き、郡上味噌を隠し味にしたカレーをかけている。


「足柄まさカリー 黄金のポット」。富士屋ホテル総料理長監修。


「足柄まさカリー 黄金のポット」ブース。一種の金平入りカレーシチューパン。

 さて、投票結果を見ると、昨年が秋田県横手市での開催であったこともあった余波で、北東北の隣県青森勢の健闘も目だった。


投票所の様子。今回は有力3団体が殿堂入りして投票対象から外れ、新規参入組にチャンスが広がった。

 3位に過去3大会連続で2位を獲得した青森県八戸市「八戸せんべい汁」が入り、全国どこででも通用する味であることを証明した。ここまで地域に関係なく好評なら、次回は殿堂入りでも良いのではないかと思う。個人的には4回も連続で2位、3位に入れば、優勝と同等にみなしてよいと思うのだ。


3年連続2位だった八戸せんべい汁研究所は今回は3位。優勝には届かないが立派な成績。


「八戸せんべい汁」ブース。

 元々「B-1グランプリ」のご当地B級グルメでまちおこしを行い、志を同じくする他の団体と協力し合って盛り上げるという発想は、「八戸せんべい汁」を出展した八戸せんべい汁研究所によって考案されたものだ。八戸から始まったB級グルメご当地食べ歩きの提案は、ここに来て大きなムーブメントになりつつある実感を持った。

 他の青森県勢は、7位に黒石市「黒石つゆやきそば」、8位に十和田市「十和田バラ焼き」が入っており、12月の八戸から新青森への東北新幹線延伸効果に弾みをつけた。

 次に来る料理では、「B-1グランプリ」関係者の中では、コロッケの評価が高い。

 この系統では、埼玉県行田市のおからとポテトのハーモニーを楽しむ「行田ゼリーフライ」が先陣を切っているが、地元の食材を使って静岡県三島市「みしまコロッケ」、岩手県北上市「北上コロッケ」が新規開発されている。特に「みしまコロッケ」は今回9位と上位入賞を果たした。


「行田ゼリーフライ」。


北上コロッケブース。見かけは普通のコロッケだが里芋を使っている。

 また、来年は兵庫県姫路市で第6回大会が開かれるが、姫路おでん普及委員会により生姜醤油につけて食べる「姫路おでん」が出展される。

 となると、おでんが注目されそうで、「静岡おでん」、青森県青森市「青森生姜味噌おでん」などとの食べ比べが話題になるだろう。隣接分野として、山梨県大月市の「大月おつけだんご」も面白い。


「大月おつけだんご」。

 今回の前回との違いで感じたのは、出展者側に美女が増えたことだ。同じ料理を提供するなら若くてかわいい女性のほうが印象がいいと考えてのことだろうか。

 福島県浪江町「なみえ焼そば」は、女子中高生のPR隊「NYTS(ナイツ)」に、AKB48風の衣装やメイド服を着せ、食と萌えで知名度アップを狙った。


メイドも繰り出す「なみえ焼そば」ブース。


「各務原キムチ鍋」を応援する、ミスかかみがはら。

 岐阜県各務原市「各務原キムチ鍋」は、「ミスかかみはら」が笑顔を振りまいていた。
 ご当地B級グルメを宣伝する歌も、「八戸せんべい汁」、「石巻焼きそば」、「なみえ焼そば」などが制作しており、ステージで披露。

 全般にイベントとして泥くささが薄まり、洗練されてきている。


【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年9月25日執筆