
・シーンを提供する業態を作る
「釣船茶屋ざうお」の本部、ハーバーハウスは養鶏場を持ち、自社ブランドの地鶏の生産を始めた。
「先日、養鶏場に行って自分で鶏を絞めて来ました。次の食材として鶏を考えています。魚と鶏で共通しているのは、美味しさと鮮度がイコールなこと。牛肉は熟成、マグロは冷凍でも美味しい。鶏はブロイラーでもフレッシュだと美味しい。ブランドより鮮度です。鮮度を維持するためには生産者と繋がってなければ出来ない。究極の飲食店とは、鮮度にこだわる店だと思います。」
そして、同社のテーマはシーンを提供すること。
「海のそばに行かなきゃ食べられないものが都会の真ん中で食べられますよ、というのがコンセプト。さうおは釣って食べるというシーンを売っています。同じように、活魚を活かした海外バージョンを考えています。釜山、バリ、ナポリ、ニュージーランドなどの漁港です。海外にも漁港で獲ってきた魚を使った料理店があります。例えば、釜山には生きた魚介がたくさん置いてあって、その場で調理してくれる店がずらりと並んだ通りがあります。一応海鮮を出す韓国料理の店は日本にありますが、日本人から見た釜山の活気が表現されている店はないんじゃないでしょうか。」
「現地にはあるが、日本では知られてないし店もないような雰囲気を日本に持ってきたい。活魚や鮮魚を活かして、現地に行くときっとこうなんだよね、という店を作りたい。生きた車エビを使ってトムヤムクンにしちゃいましょう、とか。でもそんな店は現地にはない。でも、現地の人はこれを食べてるんだろうな、と思わせちゃう(笑)。日本のタイ料理店は王宮を気取って静かでテンションが低い店が多い。実際のバンコクのバッポン通りは凄い熱気です。生きた蟹を使ったカレー屋があったりします。熱気があってハイテンションなタイ料理店を作りたい。ハイテンションなタイ人を採用できるかが問題ですが(笑)。」
それを、“現地より現地な浜シリーズ”と名付けて展開を計画している。鮮度についても究極の議論を重ねている。
「食べる直前にその場で絞めるのが美味しい。でもかわいそうという人もいます。“かわいそう”と“美味しそう”の境目を探っています。鶏でも名前を付けて飼うと“かわいそう”になり、鶏が沢山いると“美味しそう”になる、とか。その辺を真剣に考えて、どういう食材を使うか判断しています。」
チェーンを作ってきたコンサルタント出身ながら、逆に、チェーンにはない魅力を作りたいと言う。
「今はグループで年商10億円。個店の集まりでバイングパワーを持てて、飲食として魅力的なのは30億円くらいと思っています。本格路線を維持して、最終的には老舗の集まりになって30年経っても十分にやっていける会社にしたい。」
高橋氏は慶應卒のコンサルタントという見られ方を嫌い、「僕は単なる魚屋、飲食店経営者です」と言う。色眼鏡で見られたくない。
「経営者がカッコいいのは、僕は馬鹿ですよと言えること。コンサルは馬鹿ですというとお金を貰えない。実は分かっているんだけど、僕は馬鹿だから何も分からないので教えてよ、と言えるのがカッコいいとコンサル時代に思っていました。今は、そのカッコいい風になれているかな(笑)。」
■高橋 誠太郎(たかはし せいたろう)
株式会社スプラウトインベストメント 代表取締役。1974年生まれ。宮城県仙台市出身。慶應大学法学部卒業。株式会社日本エル・シー・エー入社、マーケティング部門、飲食・FC部門にて、在社4年半の修行ののち円満退社。2002年7月、有限会社スプラウト設立、代表取締役に就任。
→株式会社スプラウトインベストメント