フードリンクレポート


<毎日連載>
ダイヤモンドダイニング100店舗達成記念!
“DD6人衆”
⑥ 重田委久子氏
株式会社ダイヤモンドダイニング 広報部 部長

2010.10.17
“100店舗100業態”を2005年1月に掲げた時、ダイヤモンドダイニングはわずか8店舗。07年3月に大証ヘラクレスに上場。08年6月に株式会社サンプールを買収。08年12月に株式会社フードスコープの店舗を買収し、株式会社シークレットテーブルを設立。そして09年5月に居抜き専門の株式会社ゴールデンマジックを設立。破竹の勢いで成長を続け、今年10月29日に本体でついに“100店舗100業態”を達成する。その成功には、松村厚久社長が育てて来た6人の幹部の存在が欠かせない。その“DD6人衆”を1人ずつインタビュー。成功の秘訣を探る。7回シリーズ。レポートは安田正明。


重田委久子氏。ダイヤモンドダイニング本社受付は、アリスの世界。

謙虚で礼儀のある人で信頼できた

 重田氏はダイヤモンドダイニングを有名にした広報のキーパーソン。元銀行員というユニークな経歴。空間デザインに興味を持ち続け、夜間のデザイン学校に通った。銀行を3年間で退職し、空間デザイナーを目指した。

「当時はデザイナーズレストランが流行っており、店を見ればどこがデザインして、どこが運営しているか全て知っていました。ちょっとしたオタクですよね(笑)。空間デザイナーを目指して銀行を辞めましたが、設計事務所には行くつもりはありませんでした。店を作った後、運営して繁盛店にまで持っていく、一通りを見たかったからです。」

「自分で作品を持って雇って下さいと気に入っていた3社に売り込みました。その中の1社、BBAから広報を募集しているのでどうかと勧められ、本社に入れるならデザイナーのとっかかりにもなるかなと入社しました。当時のBBAは、違う店ばかりデザイナーズレストランを20店ほど展開し、毎日媒体に取り上げられるような話題の外食企業でした。」

「そこはプレスだけでも2千人のリストを持ち、私がいた2年間でも700人の名刺が貯まりました。今の財産です。個性的な店ばかりで、メディア露出も凄かった。自分もメディアに言いやすかったです。」

「ダイヤモンドダイニングのDMやホームページなどのグラフィックデザインは1、2店目(『VAMPIRE CAFE』『a.t.cafe』)がBBA出身のデザイナーが作り、3、4店目(『迷宮の国のアリス』『梟の森』)はBBAで請け負っていたので、ダイヤモンドダイニングという会社は知っていました。」

「ダイヤモンドダイニングが4店舗になった時、松村社長が本社を作りました。最初に広報が欲しいと言われました。社長に会った時、すごく謙虚で礼儀のある方でした。銀行で働いた経験から、この人なら間違った道に進まない、大丈夫だと思い飛び込みました。銀座の雑居ビルのペントハウスのような所で社長と2人きりの事務所がスタートです。」


「何やってもいいよ」で、池を作った

「何やってもいいよ、という一言で社長は凄いなと思いました。前の会社では広報をやりながらデザインの提案できるチャンスがありましたが、真っ向から否定されることが多かった。金のかかることで経営からみればごもっともなんですが。」

「『竹取百物語』は一から意見を言わせてもらいました。自分の中で夢が叶いました。ここに池を作りたいとか。前の会社ならダメと言われる所を、松村社長は、ああいいね、と即決してくれた。まだ会社に余裕がない時に許してくれたんです。潔さや信じる力に感動しました。」

「一から店を作って、マスコミに働きかける。自分で作ったので力が入ります。どんどん露出されて、繁盛店まで持っていけので、辛かったけど楽しかったです。」

「今の出店は新橋、浜松町、田町で確実に繁盛する業態が多いので、広報の役割はコンセプトやお店のウリを外向けの言葉に変えることがメイン。但し、マスコミに受けやすいタウンエリアでは、新業態で変わり種、そして見せれる料理をメニューに入れてくれと河内さん(企画開発部長)にリクエストしています。出店数が増えたので、メディアに毎回毎回取り上げてではなく、強弱を付けないと。」

「私は初期から働いていますが、役員でもなく、1プレーヤーなので、上場やM&Aといった会社経営よりも、1つ1つ色んな店を作ったり、店を盛り上げたりすることにやりがいを感じます。ただ不器用なので1つの店を作るのに私は3ヶ月ぐらい欲しいと思うので、河内さんみたいにこのスピード感の中でいろいろなアイデアがでることがすごいなぁと感じてます。私は机の前でじっくり考えるより人としゃべったり、何かを表現する方が自分の性と合っています。表現の仕方一つで、マスコミに取り上げられたりすると感動します。それがモチベーションに繋がります。」

「他社の広報は総務の中にひっそりと片手間でやられている方もいらっしゃります。ダイヤモンドダイニングは広報業務のみ。また100店舗100業態と、あらゆるブランドがあるので、その中で仕事ができるのは恵まれています。既存店でも色々仕掛けを作ってメディアに働きかけています。苦労している店舗にテレビを入れることができると、してやったり感で嬉しい。」

「メディア露出は、大小合わせて年間1000件がここ何年かの目標。毎年達成しています。これからは、メディアの効果も測っていきたい。テレビでは食にクローズアップした番組は少なくなり、クイズ番組が増えています。店を紹介するにしても、激安、食べ放題ばかり。でも食は3大欲求の1つなんでゼロになることはない。雑誌も少なくなってきましたが、少ない中でもそこに取り上げてもらえることを目指しています。」

「100店はあっという間でした。でも、100店で終わりじゃない。その後も会社は続いていきます。通過店という感じ。広報の仕事をいやと思ったことは一度もありません。遅くまでやることに苦ではありません。偶に、人との関係で悩んだりはしますが(笑)。天職です。」

「会社のコンセプトはおもちゃ箱。その中にいても、おもちゃ箱のまんま。色んな引き出しがあって色んなものが出てくるので面白い会社です。」


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年10月5日取材