フードリンクレポート


3ヶ月後も続く「キープ」キーワード 5つ。
〜外食キーワード<2010年7〜9月期> 発表〜(3−2)

2010.11.16
フードリンクは独自に外食市場を分析し、次々に新しいムーブメントを提案する「外食キーワード」を4半期毎に発表します。「外食キーワード」とは、世の中全般の動きと、外食市場の動きを見比べ、新たな外食ムーブメントを発掘すること。それらを取り入れる店舗が繁盛店となって、世の中に話題を提供して欲しいとの期待を込めて、今年7〜9月の外食キーワードを発表します。この3ヶ月間に生まれた「ニュー」と、前回発表し3ヶ月後も続く「キープ」キーワード、前回発表したが先行き不透明や制約のある「アウト」、が登場。3回シリーズ。レポートは安田正明。


働く女性、特に30代女性が女子会ブームをリード。

3ヶ月後も続く「キープ」キーワード 5つ

今後も続くキーワード。今、そのトレンドがあるが、3ヶ月後も続くだろうもの。1年間(四半期連続で4回、「ニュー」から含めて「キープ」)に登場したキーワードは定着したとして取り上げません。

1) 女子会

 2010年1〜3月期「ニュー」、4〜7月期「キープ」のキーワード。

 女性の社会での活躍は衰えることなく、ビジネス、趣味など様々な分野にネットワークが広がり、その分野内でのネットワーク作りも盛ん。8月に実施されたネット調査(毎日コミュニケーションズ)で、合コンよりも女子会のほうが楽しいと思うかを尋ねたところ、「はい」が84%と圧倒的で、「いいえ」の16%を大きく上回った。

 ホテル・旅館による「お泊り女子会」商品も出て来くるなど、外食店同士だけでなく、他業種からも競合が増え、メニュー・価格・サービスで差別化を図らなければ女子会を獲得できない。

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2) ツイッター


レインズ・インターナショナル社長 西山知義氏のツイッター。フォロワーは2万人を超える。

 2010年1〜3月期「ニュー」、4〜7月期「キープ」のキーワード。

 9月の日本の総ツイート数は3億60万件で、8月の2億8千万件と比べ4%増となり、1日のツイート数が平均ではじめて1000万件を超えたという。7月は2億7千万件 6月は2億5千万件(NECビッグローブBIGLOBE調べ)。携帯電話に標準装備されるなど、今後も伸び続けると予測される。

 外食でも、経営者・広報・店舗などの様々な立場でアカウントを設けてつぶやき続ける外食企業が着実に増えている。目的は販促の告知、モバイル会員への誘導など。

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第73回フードリンクセミナー「ツイッターで集客!」(2010年2月24日)


3) 中国人観光客


中国の国民カード、銀聯カード。

 2010年1〜3月期「ニュー」、4〜7月期「キープ」のキーワード。

 7月から日本入国ビザの所得制限が緩和され、富裕層から中間層にまで広がり、対象者は160万人から1600万人と10倍に拡大。実際の訪日中国人は2009年で100万6千人だが、今年7月で16万5千人、43%増、8月で17万2千人、58%増。1〜8月で104万人と昨年1年間分を超え、ハイピッチで増えている。

 尖閣諸島での中国漁船と海上保安庁の衝突事故が起きた9月の訪日中国人は13万8千人、39%増とハイピッチは変わらない。10月に転機を迎える恐れはあるが、実際に丸の内、銀座を歩いていても中国人観光客らしき方の数は変わらないように感じられる。

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4) おひとり飲み 


完全に定着した感のある”おひとり飲み”。

 2010年4〜7月期「ニュー」のキーワード。

“おひとりさま”という言葉が流行り、女性が行く店のボーダーが広がり、最近は飲むために1人で店に行く女性も定着してきた。自分らしく1人の時間を楽しみたい、管理職で忙しく日常のストレス発散などがニーズ。

 大阪で「カウンターに座る方の2〜3割は女性1人客」(ワインバー)という店もあり、東京だけでなく、主要都市に広がっていく可能性もある。カフェ&ダイニングのエスエルディーは、長いカウンター席を設けた店舗を銀座に出店した。

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5) アジア進出


行列する上海の「サイゼリヤ」。

 2010年1〜3月期「ニュー」、4〜7月期「キープ」のキーワード。

 中国、シンガポールを中心に、日本とは打って変わって好景気に沸くアジア市場に目を向ける外食企業が増えている。少子・高齢化社会を迎えた日本では外食市場の減少は避けられず、成長のために海外に行く。

 10月の尖閣列島領有問題に絡む反日デモが中国内陸部で行わるなど、中国には不安材料が多い。政情の安定した、香港、台湾、シンガポール、インドネシアへの出店が注目される。

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【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2010年10月29日執筆