
・「三ツ星マート」は2008年11月、八王子で誕生
三ツ星カンパニーの本社はJR中央本線甲府駅から一駅、東京寄りに戻った酒折駅前にある。ひと気の少ない駅を降りると線路伝いに4階建のビルがポツンと立っている。その4階が同社。駅やビルの雰囲気とは全く異なる、モダンな社内に驚かされる。それもそのはず、スタイリッシュなデザインが得意の株式会社オペレーションファクトリーが内装を手掛けた。
「2007年、まだ4店舗しかない時代に1500万円かけて本社を作りました。ウチは人に力を入れているので、社員に僕はこの会社で働いているという意識付けをしたかった。緊張感のある会社にしたかった」と代表の星野氏。

三ツ星カンパニーの本社
星野氏は甲府ワシントンホテルで勤務していた当時、郵政省の簡保保険の販売を行っていた父親と共に2002年11月に始めた、焼き鳥ともつ煮、沖縄料理の店「まんまる」が1号店。駐車場もなければ人も歩いていないロードサイド。15坪で月商90万円から始まった。8年後の今も続き、450万円を売る繁盛店だ。
2006年9月に店舗でアルバイトとして働いていた佐藤英吾氏(現取締役 ブランドディレクター)と竹村稔氏(現取締役 シニアディレクター)の3人で株式会社三ツ星カンパニーを立ち上げた。社名は創設メンバー3人に由来する。
甲府市を中心に沖縄料理、焼鳥、鉄板焼きなど専門店を出店してきたが、都下八王子に60坪・80席蕎麦居酒屋「高田屋」の居抜き物件に出会い、2008年11月に「三ツ星マート」を誕生させた。

11/22開店の「三ツ星マート」甲府桜川店。同業態11店目。
「今までは専門店を小箱でやってきました。利用動機の間口を狭くして、それを好きな人が集まって来る。席数が少ないのですぐ満席。そんな形で繁盛店を作ってきました。でも、八王子の80席を埋めるためには間口を広げなければならない。利用動機を広げて総合居酒屋にせざるを得ない。周りを見渡すと安い店が沢山ありました。価格では競合になってしまう。自社のメニューを見返すと、280円、380円、480円という商品構成が多かった。280円を見ると枝豆とかしょぼいメニューばかり。でも肉や魚があって全部280円にしたらどうか。それだけじゃ弱い。ナショナルチェーンのメニューと同様に、料理100品・ドリンク200品を揃えるとどうか。当時、坐・和民が好きで、そのメニューが全て280円になったらどうかと考えてワクワクしながら業態を作りました。」

「三ツ星マート」はイラストでも特色を出している。そのイラストを描く、社員の田草川慶子さん。
さらにユニークなセルフオーダーターミナル「デリタッチ」(株式会社寺岡精工)と出会う。“しゃべる”ペン型セルフ・オーダリング・ターミナルで無線機能を内蔵し、メニューシートに軽くタッチするとメニューを読み上げ、注文データが送信されるというもの。それを導入すると、お客が面白がって若者の集客に繋がった。

「デリタッチ」でお客が自分で注文する。これが人気。但し、メニュー表のコストは1部約1万円もかかる。
「三ツ星マート」1号店は当初から月商750万円を売り上げた。