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・「いいね!」ボタンの積極思考が「食べログ」を超える
「ツイッター」を使った集客で昨年脚光を浴びた、豚料理「豚組」3店とバー「壌」2店を経営するグレイス(本社・東京都港区六本木)では、「フェイスブック」に「豚組」、「豚組しゃぶ庵」、「壌 泡組」のファンページを設けている。

「豚組」のファンページ。
また中村仁社長も、個人のページのほかにファンページを作成して、「フェイスブック」ユーザーとの日々の交流を行っている。
中村社長は「ツイッター」にとどまらず「フェイスブック」にも意欲的に取り組んでおり、「ツイッター」ユーザーで「フェイスブック」を最近始めた人、元から両方やっていた人がファンページを訪れている。

中村仁社長。
「フェイスブックにアカウントを持っている人は、ほぼ全員ツイッターのユーザーです。ファンページ開設の告知も、フェイスブックよりツイッターのほうが集まりました」と中村社長。
「ツイッター」にアカウントを持っていて「フェイスブック」に持っていない人は多くても、「フェイスブック」にアカウントを持っていて「ツイッター」に持っていない人は、日本人の場合、まずいないと考えていい。
「フェイスブック」は米国版「ミクシィ」とも言えるもので、会員同士が交流するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の一種。日本ではモバイルのユーザーが入会する「グリー」、「モバゲータウン」もその仲間に数えられる。
「フェイスブック」の世界的なユーザー数は急増しており、6億人を超えると言われる。
もはや米国の人口を大きく上回っており、世界的にユーザーを獲得している。オバマ大統領が大統領選の時「フェイスブック」は「ツイッター」とともに有効に活用されたとされ、昨今のチュニジアやエジプトの革命でもこの両者は大きな役割を果たしていると言われている。
実際「フェイスブック」は「ツイッター」に見た目も似た面がある。自分の書き込みと、友達になった人の書き込みが、ブログのように上から新しい順に、ニュースフィールドと呼ばれる登録後のトップページに表示されるスタイルは、「ツイッター」のタイムラインにそっくりだ。
ニュースフィールドに「今なにしてる?」という近況の問いに答える形で投稿するのも、「ツイッター」の「いまどうしてる?」と同様。ただし、140字の字数制限はなく、ブログ的にノートというページに長文を書いて写真付きで投稿しても構わない。
投稿ボタンの名前が「ツイッター」のツイートに対して、「フェイスブック」ではシェアとなっている。
現状、日本の「フェイスブック」ユーザーは300万人とされる。「ミクシィ」、「グリー」、「モバゲータウン」はそれぞれ2000万人ほどのユーザーがいるので、大差を付けられている。
これは「フェイスブック」が日本の既存のSNSと異なり実名登録が基本であることがネックになっているようだ。しかし「ツイッター」では自分自身のブランディングのため実名登録でつぶやく人も多く、実名でネットで交流する文化が生まれてきたため、日本でもここに来て成長の兆しが見えてきた。
つまり「ツイッター」の普及が「フェイスブック」成長の土台をつくった。
「日本でも実名SNSのニーズはそれなりに増えていくと思います。まだユーザー数が少ないのですぐに効果は期待できませんが、お客様と交流を深めて常連さんを増やすにはいいでしょう。ミクシィは内輪だけの交流になりがちですから、飲食業では限界があるように感じます」と中村氏は評価するが、「フェイスブックにもミクシィのようなお客様を囲い込んでいる感覚があって、押し付けがましさがある。その点ツイッターは絶妙なお客様との距離感は使いやすい」と、「ツイッター」と異なる有効な活用法を研究中だ。
一般的にSNSは「ミクシィ」がそうであるように、元々リアルな交友関係をネットに置き換えたものである。従って基本は、ホームページの掲示板やブログのコメント欄に誹謗中傷を書き込むような、よく知らない人が入ってこないように、会員にならなければページが見れない閉じた体系になっている。
お店はコミュニティをつくって顧客と交流することが可能だ。
それに対して「ツイッター」は会員登録しないと、つぶやきや返信の書き込み、RT(リツイート)はできないが、会員でなくてもつぶやきのツイートを読むことは可能である。非会員に対しても開かれた体系であると言えよう。
「ツイッター」にはコミュニティはなくて、顧客は購読したいお店や店主のツイートを勝手にフォローする。
「フェイスブック」は個人で登録して、「ミクシィ」のコミュニティにあたるグループで交流するところまでは会員のみの閉じた体系の中にあるが、グループとは別にファンページをつくることができる。
ファンページのデザインは個人のページのデザインにまるでそっくりであるが、非会員でも閲覧できるオープンな性格を持っている。ファンページは幾つもつくることができ、企業の公式ファンページも可能である。
外食も「フェイスブック」を使うなら、このファンページの活用こそが全てである。なぜなら、友達じゃない人ともつながれるのがファンページだからだ。商用に向いている。
「フェイスブックの良い点として、いいね!の発明は素晴らしい。これはいいと思った時だけクリックするボタンで、良くなければスルーするだけです。お店のモチベーションという意味では、ポジティブに評価してもらえるのは励みになります。飲食店が食べログの評価を落とすと、すごくストレスになりますが、それがないところがいいです」。
中村社長は「いいね!」ボタンの効用を力説した。英語では「Like!」で表現されるもので、日本語訳の「いいね!」も、ツイッターの「つぶやき」に匹敵するほど絶妙だ。最近は日本のSNSも真似し始めている。
そして、ファンページのメインであるウォールという、ニュースフィールドに相当するページに書き込もうと思えば、「いいね!」を押すのが必須になっている。つまりファンページは、お店にシンパシーを持っている人が集まってくる傾向が非常に強いのだ。
「食べログ」は消費者が食べ歩いた評価が点数になって表示されるが、実際に行ってみると不当に低い評価をされている店があるのも事実だ。嘘か誠か「ライバル店の関係者が低い採点をしたから点数が落ちたのではないか」、といった声もちらほらと聞く。
「イチローが安打数を見て、打率を見ていないのは、打率は調子が悪いと下がりモチベーションに悪影響をもたらすからです。安打数は積み上げていくものですからポジティブに考えられます。この差は大きい」と、中村社長は「いいね!」ボタンと「食べログ」の相違点を、打率と安打数のどちらに重きを置くかの差にたとえた。
また、「フェイスブック」には米国で人気の「フォースクエア」という位置情報連動型SNSと同じく、プレイセズ(Places)なる場所を知らせる機能がある。顧客がお店にチェックインしてファンページにアクセスし、「いいね!」を押してくれると、非常に良好なコミュニケーションが取れる可能性も秘めている。
「フェイスブックでは情報があまり拡散しないです。フェイスブックのファンページでお客様をつかんで、ツイッターで拡散するイメージでしょうか」。中村社長は「フェイスブック」の情報伝播力には期待せず、顧客獲得のツールで使いたい意向。イベントなどの告知はツイッターに任せていく。
中村社長はもう1年ほど前に「フェイスブック」のアカウントを取っており友達数は900人を超えている。友達が増えすぎたので個人のファンページを立ち上げ、こちらの「いいね!」を押した人も130人を超えるまでに増えている。
昨年9月に立ち上げた「豚組」ファンページの「いいね!」を押した人は230人以上。その後開設した「豚組 しゃぶ庵」 ファンページの「いいね!」を押した人も100人に迫っている。
さらに今年1月17日、赤坂のスタンティングバー「壌」が日本酒や焼酎をメインにした店から、スパークリングワインやビールを中心にした「壌
泡組」にリニューアルオープンした際に「壌 泡組」のファンページを立ち上げた。「いいね!」を表明した人も200人を超え、活気あるサイトになっている。

「壌 泡組」 外観。

立て看板。

店内。
「壌 泡組」では公式ブログの前にファンページをリリースし、ホームページ的に使うやり方を行っている。
一般的なホームページの一方的情報発信よりは、「いいね!」があるだけ双方向性が出るといった判断だ。「いいね!」を押した顧客はお店に来て、コメントを入れたり写真を投稿したりできる。

「壌 泡組」のファンページ。
見た感じ活況だが、中村社長はブログの代用にはなるかもしれないが、先述のようにツイッターに比べてお店と顧客といった感じのやり取りになりがちなので、現状に100%納得はしていないそうだ。
「もう少しユーザーが増えないと最適な使い方は見えません。ツイッターと同様すぐに効果が出るものでもないですから、今から使い慣れておくのも大事なことです」。
とは言え中村社長が指摘するように、ファンページの「いいね!」が「食べログ」を凌駕する日が、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。