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・ニュースタイルのメキシカン・レストランに注目。
最近、都内を中心にメキシコ料理店(メキシカンレストラン)が注目の存在となっている。あの新川氏率いるHUGEの「MUCHO -MODERN MEXICANO-(ムーチョ モダンメキシカーノ)」(丸の内・2010年10月オープン)、「Hasienda del cielo(アシエンダ・デル・シエロ)」(代官山・2011年2月オープン)が、その台風の目だ。

店内の中心には、メキシコのシンボルとされるマヤ神話の神・ククルカン(羽を持つ蛇)をモチーフにしたオブジェ(「アシエンダ」)

東京を一望できるテラスにはおしゃれなスカイラウンジ。

メキシコのリゾート地をイメージ。驚くほどゴージャス。
HUGEグループだけでなく、東京で人気のメキシコ料理店を調べてみると、メキシコ料理ファンの支持を受ける老舗レストラン群にまじって「ヴィダロッサ」(東京・四谷)、「ジャンカデリック」(東京・中目黒、赤坂)など、この数年内にオープンしたカジュアルでおしゃれなインテリアのメキシカンレストラン&バーがいくつもある。

従来のメキシカンレストランとはイメージの異なるモダンな外観(東京・四谷「ヴィダロッサ」)
ところで老舗のメキシカンレストランと、最近登場したレストランでは何が違うのか。東京における(つまり全国における)メキシコ料理のパイオニアといえば、1976年オープンの「ラ・カシータ」(代官山)だろう。オーナーシェフの渡辺庸生氏は学生時代にメキシコに魅せられ、本場のメキシコ料理を日本に広めようとレストランをオープンさせたほか、本の執筆、メディア出演、メキシコ料理教室の開催など、啓蒙のために尽力してきたメキシコ料理の第一人者である。

素朴で温かいレンガ作り風の外観が期待を高まらせる外観。(東京・代官山「ラ・カシータ」)

メニューは原語でプレゼンテーション(東京・代官山「ラ・カシータ」)

ビーフタコス、メキシカンライスなど王道メニューがうれしいランチプレート。本場の辛さを味わえるエンチラーダス。値段は900~1000円程度。

また、メキシコ好き、ラテン音楽好きの人々の間で人気の「フォンダ・ドゥ・ラ・マドゥルガータ」も忘れてはならない。1993年オープン、家具類は全てメキシコから輸入、メキシコ人シェフによる本場の味を提供というこだわりぶり、バンドマン(マリアッチ)が各テーブルを回って聞かせる生演奏がウリだ。“ラテン”な雰囲気を味わいたくて訪れる人が多い。この2店に共通しているのは、メキシコの料理や文化に魅せられた人が、本物を日本に広めるために店をオープンしている点だ。本場そのものの雰囲気・味が楽しめる、いわば海外旅行気分を味わえるというところにある。ラテン好き、海外好きの人々がターゲットといえるだろう。

マリア像、レンガのデコレーションなど、現地感たっぷりの雰囲気がうれしいい。(写真は「ラ・カシータ」)
またこういった本場濃度の濃いお店だけでなく、1980年代後半のテックスメックスブームでブリトー、タコス、コロナビールなどが注目を集めたこと、90年代に入ってラテン音楽&ダンスブームが到来したことも忘れてはならない。ラテン音楽ブームの時は、サルサを踊れるラテンバーが大変人気を集めた。コロナビールは前者のブームを機に非常に身近な存在になったといえる。
にぎやかなラテンミュージック、ソンブレロ、サボテン、テキーラなど、典型的なメキシコやテックスメックスのアイテムをトレードマーク的に用いたお店は今でも少なくなく、一部は非常に繁盛している。


東京・四谷にはラテン系飲食店が多い。老舗の「エル・アルボル」(写真上)、ランチスポットとしても人気の「サルサ・カバナ・バール」(写真下)。

メキシカンレストランは外国人客が多い。アメリカ発のテックスメックス料理の幅広い人気がわかる。夕方17時半からこの賑わい!(写真は「サルサ・カバナ・バール」)
このようにして見てみると、従来のメキシコ料理レストランと、現在登場して来ているレストラン群とでは、まず見た目の外観・インテリアが大きく異なることがわかる。実際「アシエンダ・デル・シエロ」「MUCHO」はコンセプトとして“モダンメキシカン”を掲げ、伝統的エッセンスを取り入れながらも従来の路線と違うことを明言している。
深夜営業、テキーラなどのお酒のイメージが非常に強いジャンルだったが、“ランチ営業”“お酒を飲まなくてもいい”“女子ターゲット”といったキーワードも浮かんできている。こういった新しいトレンドについては第2・3回で詳しくお伝えしたい。