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・夏野菜でカラダを冷やす!?
トマト、キュウリ、レタス、茄子、オクラ、大場など、夏が旬の夏野菜には、カラダのほてりを通常の状態に戻し、喉をうるおす作用があると言われている。日本では冷房のなかった時代、カラダを冷やす作用のある食材を食べることで涼をとり、体調を整えていた。夏野菜を使った、「ひんやりメニュー」を探った。

厨房の活気も客側に伝わるような空間演出。(東京・麻布十番「PASTA HOUSE AWkitchen」)
夏野菜と言えば、野菜ブームの火付け役でもあり、予約必死の人気レストラン「PASTA HOUSE AWkitchen」。2004年に“渡邊明の台所”という名前の「PASTA HOUSE AWkitchen」1号店をオープン。その後、野菜を主役にした料理を次々と展開し、現在では「AWkitchen」、「やさい家めい」など人気店舗を経営している。まさに野菜ブームの立役者だ。毎年7月、8月になると、夏野菜を使った冷製パスタ祭りを行っているという。オーナーシェフ渡邊明氏は、自らスタッフとともに全国各地の畑を定期的に巡り、野菜を主役にしたレシピを考案しているほど。常に旬の野菜にこだわり、トマトが美味しい5月、6月には「フルーツトマトとバジリコのカッペリーニ(1,500円)」を提案している。

トマトの旨味が凝縮された「フルーツトマトとバジリコのカッペリーニ(1,500円)」。(東京・麻布十番「PASTA HOUSE AWkitchen」)
パスタが見えないほどフルーツトマトが敷き詰められているのが、「フルーツトマトとバジリコのカッペリーニ」の特徴だ。フレッシュなトマトは甘くジューシー。いつも食べている身近な野菜だが、まったく違うものを食べているような力強い旨味がある。冷麺のように細いパスタ、カッペリーニは軽いソースと相性がよく、冷製パスタには最適だ。さらに大ぶりのバジルの風味がトマトソースと絡み合い、お互いの味と香りを絶妙に引き立て合っている。トマトにはカラダを冷やす作用があるだけでなく、免疫力を高める抗酸化作用も認められている。そんなヘルシーメニューは特に女性の間で大人気だそう。

毎年7月中旬に登場する「冷やしおでん定食」(東京・八重洲「羅かん」)
こちらは夏になると、珍しい「冷やしおでん」の季節限定メニューが登場する「羅かん」。東京駅構内の黒塀横町にある、全国でも珍しい味噌と出汁2種類の味が楽しめるおでん屋だ。「冷やしおでん」は、いわゆる温かい熱々のおでんにありがちな、チクワやガンモ、大根はなく、トマトや茄子、オクラなど茹でた夏野菜が浸してあるヘルシーな一品。さっぱりとした味わいで、これまた女性好み。特に丁寧に湯剥きされたトマトのおでんは絶品だ。暑い季節には縁遠いと思われたおでんが、意外にも夏のメニューとしても成功している。

大きめの緑黄色野菜がゴロゴロ…。(東京・下北沢「チクテカフェ」)
欧風ビストロなどで野菜の冷製メニューの代表格と言えば、「ラタトゥイユ」。ここ下北沢のカフェ「チクテカフェ」では、ランチのメイン料理として夏季限定で登場する。
色鮮やかな夏野菜にクレソンがポイントに添えられた「ララトゥイユ(マフィンとドリンクが付いたセットは、1,360円)」。大ぶりのパプリカ、茄子、かぼちゃ、なぜかウインナーまで入っていて、見た目以上にボリュームがある。トマトの旨味成分がきちんと出ていて、どの野菜もしっかりとした味わいで美味しい。器は和風で、お箸でいただくという、家ご飯のような感覚だ。店の看板商品であるマフィンもセットでいただける。今回はチーズとハムを挟んだ、シンプルな白マフィンを選択。カフェランチでも野菜をしっかり食べられるということで、女性客が絶えない店だ。

大人の隠れ家的な、静かで落ち着いている雰囲気。(東京・下北沢「チクテカフェ」)
店内は打ちっぱなしのコンクリートだが、全体的な照明をかなり落としてあるため、落ち着いた雰囲気だ。温かみのある木製の家具を使っているのも、このゆったりとした空気感を助長している。ペンダントヘッドのランプシェードからの光は、読書灯のように手元だけを照らす。ひとり読書に浸る女性客、台本を読んでいる役者風情の男性客、声のトーンを落とし気味に会話をする夫婦など、ライフスタイルにこだわりを持っていそうな客が集まっている。

カウンターのみの小さな店構え。(東京・八重洲「リーゾ カノビエッタ」)
自然派イタリアンの巨匠、植竹隆政シェフがプロデュースするリゾット専門店「リーゾ カノビエッタ」では毎年、「冷製リゾット」が登場するという。パターやクリームなどの動物性の油、ニンニクや唐辛子を使わないという斬新な手法で注目を集めている。カラダに優しいメニューが常時10種類以上揃う店だ。

一見、サラダのような一品。(東京・八重洲「リーゾ カノビエッタ」)
意表をつく冷製リゾット「カポナータとモッツアレラチーズの冷たいリゾット(1,300円)」だが、その味は確か。カポナータとは、野菜のトマト煮のこと。そこに米を合わせたのが、こちら。リゾットの上にはベビーリーフのサラダがたっぷりと添えられ、見た目にはサラダのよう。皿もキンキンに冷えている。アルデンテに炊きあがったリゾットは、歯応えもしっかりしていて美味しい。中にはモッツアレラチーズがたっぷりと含まれ、さらに粉チーズまでふりかけてある。茄子やトマトも柔らかく、サラダ感覚で食べられるパスタ料理だ。

ランチだけでなく、夜の締めご飯としても大人気の「冷や汁」。(東京・渋谷「魚山亭」)
渋谷駅から徒歩3分。宮益坂にある宮崎料理店では、郷土料理「冷や汁(750円)」がいただける。店内は8席ほどのカウンターと5卓のテーブル席で、カウンターの目の前には美味しそうな湯気のたった筑前煮が置いてあったり、食欲を刺激する演出だ。ランチでは「冷や汁定食(1,200円)」もあり、近くで働くサラリーマンやOLさんで賑わっている。夜はお通しに2種類の小鉢がついてくる。コストパフォーマンスがいいと渋谷で働く人たちだけでなく、冷や汁好きの間では有名な店だ。

ミョウガとキュウリの相性が抜群。(東京・渋谷「魚山亭」)
鉢に入った魚の冷や汁と、青じそ、キュウリ、豆腐をともによくかき混ぜ、温かい麦ご飯にたっぷりとかける。これをお茶漬けのようにかき込むように食べる。とても美味だ。具は豆腐、キュウリ、ごま、白ごま、シソ、ミョウガ、そして青ピーマンが珍しい組み合わせ。さらに白味噌ベースで焼いた魚を混ぜ、深みのある味わいを出している。キュウリの食感とさっぱりとした味がスパイスに。豆腐は塊で入っているため、食べる時に自分で崩す。シソとミョウガの風味もよく、豆腐の味をまろやかにする。麦ご飯は、お替わり自由だ。
「胃がもたれている昼間は必ず来ます。どんなにお腹がいっぱいでも、サラリと食べれてしまうのです」とは、渋谷で働く女性客の声。きっちりと冷えた冷や汁は、食欲のない暑い日には最高だ。
こうして見ると、夏に人気の高いメニューには、必ずと言っていいほど夏野菜が使われているのが分かる。夏になるとカラダに熱がこもり、疲れがとれず、食欲が落ちる。トマトはカラダの塩分を取り除き、疲労を回復、食欲を増進させる。キュウリや茄子、ピーマンはカラダを冷やし、中でもキュウリはこもった熱を尿と一緒に排出し、むくみも取り除く効果もある。農家の人たちが夏バテを知らないのは、これら夏野菜のおかげ。旬の食べ物を提供する、そこに隠されている底力を実感する。