・新ハッピーアワー、“アフター4”ってどう?
東日本大震災による電力不足問題で、企業も家庭も一律15%程度の節電という目標が設けられている。こうした事態を受け、パナソニックやTOYOTA、森永製菓等、大手メーカーを中心に各企業が就業時間を早める「サマータイム」を導入。もしくは「早帰り」を促進している。9時から17時だった就業時間が、8時から16時に変わっている。そしてこれを機に、“アフター5”から“アフター4”を楽しむサラリーマンが増えているという。そんなサラリーマン達の生の声を聞いてみた。
食事をするより、飲みがメイン!? 夕方はバー系が圧倒的な人気。
至る所で見かける“ハッピーアワー16時~”という看板。
ハッピーアワーでドリンクが全て500円という安さ。
「夕食を食べるには早いので、立ち飲みバーで一杯やって帰ることが増えました。飲みながら軽くつまむ感じです」。(38歳/男性会社員)
「今までよりハッピーアワーをやっている店が増えているので、懐に優しい!同僚と気軽に飲みに行けるようになった」。(48歳/男性会社員)
「クライアントの企業がサマータイムを導入していることで、接待の時間帯が早まることも。ただ早めの時間帯からスタートしている店も少ないので、店探しには苦労しています」。(30代/男性会社員)
“銀座コリドー通り”も明るい時間帯から人が集まる。
男性サラリーマンの意見で目立ったのは、立ち飲みバーや居酒屋に軽く立ち寄ることが多くなったというコメント。ドリンクや食事が安くなる、ハッピーアワーという特典を今までより長く享受できる、という意識が高いようだ。
扉を全開にして、オープンエアにしている店が目につく。
同僚同士で盛り上がる客席がほとんど。
逆に女性の間では、季節的にも心地よい、初夏の夕暮れ時を楽しんでいる人が多かった。
「いつもとは1時間ほど早く終わることで、日が落ちるまでの夕方の時間帯を楽しむことができるのが嬉しい。今の時期なら、オープンテラスなどで過ごしても涼しいので、余計な電力も使わずに店で過ごせると思いました」。(30代/女性会社員)
「仕事が終わっても明るいので嬉しくて、つい飲みに出かけてしまいます」(26歳/女性会社員)
「仕事が終わるタイミングが友人の時間とは異なるので、同僚とご飯を共にすることが外食の8割に。その為、有楽町や銀座など会社の近くで済ませることが多いですね。友人と待ち合わせがある日に仕事が早めに終わることもあり、そんな時はカフェやバーなどひとりで過ごせる店で時間を潰すことも」。(28歳/女性会社員)
16時すぎの汐留の風景。仕事終わりの会社員はまだ見かけない。
女性達の話を聞く限り、夕方の時間帯を楽しもうという気持ちが強く、飲食店は会社近辺を選ぶことが多いようだ。ただ、まだすべての企業がサマータイムを導入している訳ではないため、まわりとの生活のズレを感じている人もいるようだ。そんなズレを感じつつ、仕方がないという消極的な理由で同僚と食事に出かけている人もいた。
「私の会社はサマータイム導入しているのですが、夫の会社はいつも通り終わるのは遅い。夫婦間の帰宅時間に昔より差が出ました。結局、私はつい仕事帰りに同僚とご飯を食べてしまうことも増えて。逆に朝は私の方が早いので、夫とすれ違うことが多くなりましたね」。(30代/女性会社員)
16時の開店時には、人が集まっている様子がない焼肉屋。
また仕事が早く終わることで、こんな意見も多かった。
「飲みに行く回数、酒量が増えたので、体が疲れ気味。ただ4時から飲む気がしないのは正直なところ」。(30代前半/会社員)
「仕事が終わっても自炊する元気がある。時間的な余裕ができた。立ち寄らずにそのまま家に帰ることが増えました」。(20代後半/女性会社員)
「会社からは早めに帰れと言われて、結局自宅に仕事を持ち帰えることもあります。サービス残業が増えただけな気がします」。(20代/男性会社員)
「会社が早く終わってもその分飲みに行ったりすれば、節電に意味がない。サマータイムを導入するよりも、24時間営業や店舗の閉店時間を早くした方がよほど効果的だと思う」。(50代/女性)
サマータイム導入企業、業界がまだ一部だということ、また節電につながるのか疑問だという賛否両論もあり、外食に積極的になる人も限られているのが現状のようだ。一方でまだ始まったばかりのサマータイムを好奇心と共に楽しんでいる人も多い。
そもそも節電対策の延長線上にあるのが、サマータイム営業だ。今後この制度が根づいていったとき、生活は少しずつ変化する。その流れと共に“サマータイム”を導入した飲食店へのニーズが高まるのだろう。