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・キムカツはケータリングで1店舗相当を稼ぐ。
「ミルフィーユカツ」とも呼ばれる独特の重ねカツで、人気の店「キムカツ」。創業は2003年4月。恵比寿に1号店を出店。以降店舗数を増やし、現在は系列の「ゲンカツ」を含め首都圏、仙台、京都、大阪に計9店を擁している。
その「キムカツ」では、店舗または経営するインテグレーション本社で受け付けるルートと、東京都港区中心に配布されているデリバリー専門のカタログ「ファインダイン」を経由する、2つの窓口を使って弁当を販売している。

キムカツ恵比寿店。弁当の製造所でもある。
2、3日前から1週間前に電話にて注文が入るケースが多いが、1日前の予約で対応が可能。多い日には1日に160個くらいの弁当が出る時もあり、1ヶ月に2000個の弁当を販売した月もあった。優に1店舗に相当するほどの売り上げがあり、収益の大きな柱になっている。しかも、キッチンを別に設けるでもなく、既存の店舗、スタッフによって、プラス1店舗分の売り上げを、弁当から作っているのである。
「キムカツ」の弁当はなぜ売れるのか。もちろん、重ねカツの商品そのものがユニークで魅力があるわけだが、それだけが売れる要因ではない。
そこにはやはり売れる秘訣があり、お店のコンセプトに基づいて高級感ある弁当箱を作ったところ、製薬会社のMRが医師に新薬の説明をする発表会に適しているのではないかとの意見が出て、製薬会社に営業したところ採用されたという。
また、カツは時間が経つとどんどん味が落ちていくので、配達の時間を聞いて直前に揚げるようにしている。つまり、できる限り揚げ立てに近い状態で食べられるように努力しており、添加物も入っていない。付け合せの刻みキャベツは夏季には使わず、ポテトやゴボウのサラダに変えている。工場生産ではない手作り感と、重ねカツのインパクトで喜ばれ、順調な受注を続けている。
弁当は恵比寿店で調理されており、1店舗のキッチンで揚げられる200個を1日の上限に定めている。個数は20個より受けており、店長や本社スタッフが、電車、タクシー、社用車などを使って、車で1時間圏内の地域に配達している。電車賃、タクシー代、ガソリン代といった配達にかかる費用は取っていない。もっと少ない個数の場合は、顧客に取りに来てもらう形になる。

テイクアウトにも、キムカツは力を入れている。
製薬会社の他にも、企業内の会議弁当、テレビ番組制作会社がロケの時に出すロケ弁としても人気が高い。
弁当の価格は、レストランで食べる価格と同じく1930円。ただし味噌汁は付いていない。希望があれば別途料金でお茶が付けられ、紙パック120円、ペットボトル150円となっている。
弁当にしては結構な値段だが、旨いものを食べ慣れている大病院の医者や優良企業の幹部をミーティングでもてなすにはそれなりのクオリティーが必要で、一般消費者がコンビニで買う弁当とは一線を画する。
通常130グラムのカツより一回り小さくした、100グラムのカツの弁当もあり、1260円で販売している。カツがもう1個入っている二段重ね弁当は2500円。いわゆる重ねカツではない「厚切り」、「特選」といったメニューも、弁当として出すことが可能だ。ロケ弁では、店頭売りもしている「キムカツさんど」(680円)の需要も高い。
女性でも1人で入れるとんカツ屋を目指し、ジューシーさを保ちながらさっぱり感あるカツをということで開発された、薄切り豚肉を重ね合わせた「キムカツ」は、ポン酢をかけて食することが推奨されており、レストランでは20代後半から30代の女性客が多い。しかし、弁当のニーズは中高年の男性が多く、売れ筋には違いがある。
レストランでは、チーズ、黒胡椒、梅シソのフレーバー入りがよく売れるが、弁当では何も入っていないプレーンが中心。弁当でプレーンが売れるのは、フレーバーによって好みが分かれるリスクを、発注者が回避している理由もある。
元々は、行列ができるため、待たずに食べられるようにと始めた弁当事業。無理をせずできる範囲で続けつつ、プラスアルファの利益を生んでいる。