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・北大路では2680円の高級会議弁当が好発進。
「個室会席 北大路」は企業などの接待需要を中心に、料亭並みのクオリティーの料理、接客をリーズナブルに受けられることで店舗数を伸ばしてきた高級和食店。1991年に新橋で1号店を出店して以来、好評に付き現在は系列を含め東京に10店が展開されている。
その「個室会席 北大路」では、今年4月1日より本格的に弁当の分野に参入した。最初は自社サイトで弁当の専用ホームページを立ち上げ、「楽天デリバリー」、「ぐるなびデリバリー」にもホームページを開設した。それら3つの窓口と、各店に配布された弁当のパンフレットで受注している。

北大路の会議弁当の弁当箱と店舗に置いてある弁当のパンフレット。
当初は3月21日よりスタート予定で準備を進めてきたが、東日本大震災のために延期。あまりの景況の悪さに一時は中止も検討された。4月に始めた当初も、中央、千代田、港の都心3区限定であったため注文があまり入らなかった。しかし5月に東京23区全域にエリアを広げると、新宿、渋谷といった副都心での受注が好調、軌道に乗ってきたという。
「個室会席 北大路」の弁当は、役員会向けの会議弁当が主力なだけに、ニーズが集中する都心3区からスタートしたのだが、会議弁当は一度使って満足度が高かった業者が長きにわたりリピートされる傾向があり、新規の切り込みは難しい。その点、新宿や渋谷は新興の企業も多く受注が取りやすかった模様。大震災によって被災し、営業できなくなった弁当業者の代わりに受注できた面もあったそうだ。
楽天は社団法人、財団法人の10~20個の注文が多いのに対して、ぐるなびは製薬会社などの大口の注文が多い傾向があり、サイトによって得意分野が違うが、どちらも役に立っているとのことだ。

北大路赤坂茶寮店内。
調理は240席ある厨房の大きい「赤坂茶寮」で行っており、全て当日の手づくり。「和」(1890円)、「都」(2200円)、「匠」(2680円)と3種類を発売しているが、一番高価な「匠」が最も売れている。個数ベースで「和」7%、「都」37%、「匠」56%のシェアとなっている。プラス100円でペットボトルのお茶も付けられる。

「匠」2680円。

「都」2200円。

「和」1890円。
会席をベースにした会議弁当の具材の数は「和」22品目、「都」30品目、「匠」32品目。初期は「匠」の品目数は38であったが、5月24日の夏メニュー切り替え時に肉などの素材の品質を上げることに注力し、品目を絞った。手まり寿司を新しく採用したのも改善点だ。今後2ヶ月に一度、季節に合わせてメニューを変えていく方針だ。
「お弁当で大切なのはまずは写真の見栄え。次に弁当箱を開けた時のワクワク感です。お客様の反応や意見を聞いて、どんどん改良していきます」と北原尚史支配人。
夜の会席では単価1万円の店だけに、もう少し高級な内容のものはないのかといったリクエストもあり、北原氏は折を見て弁当の価格を見直す可能性も示唆した。
弁当に割ける人員は調理、梱包ともに3人なので、受けられる上限は1日70個まで。一方でまとまった数が出なければメリットがないので、最低注文金額はエリアによって1万円または2万円からとなっている。今も上限一杯の受注が入ることがあるが、年内は平均して50個の受注を目指している。
元々は「八重洲茶寮」がオープンした頃、コンスタントに1日30個ほど弁当を売っていた。そのうち本業のお店の営業が忙しくなってきたので、休止したが、ニーズがあることはわかっていたという。しかし、もう一度きちんとした事業として弁当を始めるにあたって、店舗間を車やバイクでデリバリーしてみて、移動中に形が崩れないかといった細かい検証も行った。
「使っている具材は同じでも、冷めた状態でおいしくいただけるように、調理法、味付けを変えています。例えば煮物はお店で温かいうちに召し上がるのなら薄味で良いが、お弁当では濃い味付けでないとおいしくないです。肉と野菜のバランスも、何度も検証して形にしました」と北原氏。ゆくゆくはデパ地下への進出、ホームパーティーへ職人を派遣する職人出前なども検討して行きたいと意欲を見せる。
まずは、回収する弁当箱で注文先に届けて、ポットに入れたお吸い物を給仕して帰ってくる仕出し弁当を準備中。弁当を届ける目的なら、セキュリティーの厳しい会社でもビルの中に入って、秘書などと名刺交換ができる。名刺がもらえれば、リスト化して本業の営業にもつなげられるというわけだ。
「個室会席 北大路」の弁当事業は、現状の厨房、人員を有効活用することから発展して、お店と並ぶ大きな柱に育つ将来性を秘めている。