*バックナンバー
・ぐるなびは店の事情に合わせ繁盛させるデリバリーを提案。
ぐるなびでは、外食産業全般が近年伸び悩む中、飲食店の収入源多様化の提案を行っており、熱意のある外食のオーナー、店長、営業マンを支援して、レストランの通常営業にプラスアルファの売り上げをオンできるデリバリー、外販の構築に力を入れている。
「消費者はピザ、寿司のデリバリーに飽きています。それにロケ弁や会議弁当にしても、工場生産のものにない、レストランの手作りの味が喜ばれています。チャンスですよ」とアピールするのは、ぐるなび企画開発本部EC事業グループ・デリバリーチームリーダーの小沢圭太氏。
「ぐるなびデリバリー」では、始めてから1年ほどで300店ほどの飲食店が加入。社内ベンチャーとして今後の成長性が期待されている。ぐるなびの営業が見てデリバリーして面白いと思ったメニューを、お店に対して積極的に商品化の提案を行っている。お店とタッグを組んで、どういった内容にするか、包材はどうするか、試行錯誤を重ねながら商品化していくことが可能だ。

ぐるなびデリバリー、ロケ弁特集。
配送もぐるなびが提携しているバイク便業者を使うことができ、大量受注の際には軽四輪の手配もできる。料金は月額5000円で、10%の成果報酬を取り、それにプラス包材の値段で、飲食店はデリバリーに参入できる。
飲食店はお届けエリア、最低受注金額、代金引換・クレジット払い可などの支払い方法、いつまでに予約しないといけないかを設定することができる。お届けエリアは現状では東京23区と大阪市内が中心で、周辺エリアまで。ロケ弁、会議弁当、接待弁当の受注は2日前まで、ケータリングは3~4日前までを原則としている。
ぐるなびでは、レストランの味をそのまま弁当で食べられることを顧客にアピールしているが、日持ちの良い料理を選ぶことをポイントの1つとしている。サラダの場合はそれを店の売りとしている時にはあえて止めてはいないが、スープのデリバリーを行っていない。
弁当を作って数時間経つとご飯がべちょべちょになってしまうなど、弁当箱の状況が予期せぬ形で劣化するケースもあるので、検証を重ねて商品化する。
「無添加、手作りなどといったこだわりのあるものは歓迎です。たとえば無添加なら日持ちしないので、本日中に召し上がってくださいと注意書きをしておけばいいです。ハンバーグ弁当なら、手作りのハンバーグは売りになるでしょう。レストランの個性を弁当の中でいかに表現するかが重要です」と、小沢氏は強調した。
レストランとの違いは、弁当には弁当箱が必要なことだが、ロケ弁の場合はほぼ毎日テレビ局などから受注があり、単価が1000円以下のことが多く、包材はこだわらなくていいケースが多い。ただし出演者向けの場合は2000~3000円と高いケースも多い。
一方で法人をターゲットにした会議弁当、接待弁当は、見栄えのよさが重要。個人が店頭で買い求めるワンコインの弁当ならばボリュームが大事だが、1000~2500円、時には3000円、4000円の商品も動く法人需要では、ボリュームは必要なく彩り鮮やかでないといけない。
このあたりは今まで本特集で述べてきたとおりである。
小沢氏によれば「法人向けはランチミーティングが中心になりますが、秘書が会社の役員たちや来客者にお茶、おしぼりを振舞うのは結構面倒な仕事なのです。ペットボトルでもティーバックでもいいからお茶が付けられる、紙のおしぼりが付けられるといった細かいサービスもポイントです」と、ユーザーの立場に立った心配りの重要性も指摘した。
ぐるなびでは「ぐるなび こちら秘書室!」という、会議弁当を注文する立場にある会社の秘書たちを会員化したサイトがあり、飲食店と秘書たちの懇親会も行われている。この仕組みを使って、普段は直接会う機会がない秘書たちに、飲食店がアピールできる場も設けられている。
どうすれば売り上げをアップできるかというノウハウの面では、セミナーの「ぐるなび大学」で学んでいくことが可能だ。
ケータリングの場合は専用サイト「ぐるなびケータリング」があるが、10~20人の会社の部署で開く打ち上げのような中人数パーティーが多いという。おいしくご飯を食べてもらうために、たとえば炊飯ジャーを導入するような試みも考えていくそうだ。

ぐるなびケータリング
レストランなら顧客の顔の表情や食べ残しを見れば反応がわかるが、デリバリーの場合はそれができないのが難しいところ。「そこをサポートしていくのが、自分たちの役割だ」と小沢氏は力を込めた。
また、お取り寄せグルメサイト「ぐるなび食市場」では、カレーのようなレストランメニューを冷凍して通販する取り組みも行っている。個人店で通販を始めようにも、容器からしてなかなかメーカーに相手をしてもらえないが、ぐるなびでは包材、パウチの機械といった通販に必要な環境整備を一括で提案できるメニューがあり、参入障壁を下げている。
メニューを冷凍するノウハウや何を冷凍するかというメニュー選びについては、お店のほうで研究してもらうことになるが、ゼロから始めて月々80万円を通販で売る上げる店もあるとのことだ。
ぐるなびとタッグを組んでデリバリー弁当を開発した例として、目白の石焼・タジン鍋の店「炉庵」がある。

炉庵

炉庵外観
昨年11月に弁当を始めて以来、店の常連のみならず中央区、千代田区、港区のような従来の顧客でない場所にある企業からの受注が好調で、1日平均30食がランチを中心に出るという。

炉庵の弁当ラインナップ
既にデリバリーだけで1店舗分に相当する売り上げがあり、夜の居酒屋需要と合わせて、1店で2店分の稼ぎのある店になっている。
店主は金融機関でファイナンシャルプランナーをしていたが、新しいビジネスにチャレンジしたくて、7年前に夫が始めた和食居酒屋でランチを営業し始めた。しかし席数が14席とそれだけではスペースに限界があることから、ビジネスの面白みがないと悩んでいたところ、ちょうどぐるなびからの提案があって、攻めの営業ができるデリバリーに着目したとのことだ。
弁当は550円から1850円まであり、米はあきたこまち、煮物はダシから手作りなど、すべてにおいて料理にこだわりがあり、食べておいしいことからリピーターも多く連日注文がひっきりなしだ。店の特徴を生かした和牛石焼ステーキも弁当で提供されている。
以上見てきたように、震災によって売り上げが落ちた店であっても、元々提供していた料理に魅力があるならば、撤退を考える前にロケ弁、会議弁当のような弁当、ケータリングなどのデリバリー、外販で巻き返すことも可能である。
体力がまだ残っているうちに、真剣に検討してみてはどうだろうか。