今はや ~今流行っているお店~
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女ゴコロをつかむサービスでファンを離さない。
「タツヤ・カワゴエ」
(東京・代官山/イタリアン)
第19回 2011年4月27日今流行っている店は、どんな店?なぜ流行っているのか?実際に営業中に店を訪れ検証。「次に流行る店」=“次はや”に対して“今はや”。流行りの店の秘密をレポート!

ランチもディナーも2ヵ月先まで予約で満席という噂は本当か!?そして、その実力は?
複数のTV番組などに出演、いまやマスコミで引っ張りだこの川越達也シェフがオーナーを努める「タツヤ・カワゴエ」。ランチもディナーも2ヵ月先まで予約で満席という噂は聞いていたためダメもとで電話をしてみたところ、ランチで1件キャンセルが出たとのことで予約が取れた。他の日はすべて満席とのこと。繁盛しているのは間違いない。
店は代官山の八幡通り沿いのビルの2階。エントランスは驚くほど狭い。コートを脱ごうとしたところ「席で預かるのですぐお席へ」と言われたのは、そこが店員が料理を運ぶ導線上でもあるためらしい。立ち止まっていると邪魔になるからのようだ。

店は雑居ビルの2F。わりとひっそりとした佇まい
店内は細かく仕切られている。向かって右がキッチンと小スペース(1テーブル程度か)。左は比較的大きな空間になっているようだが、いずれも個室のように仕切られているため中の様子は見えない。私たちが案内されたのは、店の中央に位置するエントランス正面にある扉を開けた個室。約6畳程度の広さにテーブルが4つ、計8席の部屋だ。
まず驚いたのは部屋の暗さ。カーテンは店中に張り巡らされており、照明も絞ってあるためかなり暗い(カーテン利用はビル同士が隣接している立地ゆえか)。とても昼間とは思えないほどだ。天気のよい日だったこともあり、目が暗さに慣れるまでに少々時間がかかってしまった。また、テーブルごとの間隔は普通なのだが、狭い空間で仕切られているせいか、圧迫感を感じるのが残念。狭い空間ゆえ声も反響しやすく、周りの声でサービススタッフの説明する声が聞きづらいのも難点。途中何度も聞き返すはめになった。

まるでディナータイムのような照明。実際にはもっと暗く感じた。
ランチメニューはコースのみ。2500円と4500円で、どちらもおまかせの1メニューのみ。メインも魚か肉かの選択の余地はない。食前の飲み物を案内されるときも、「アルコールとノンアルコール、どちらにするか」とだけ聞かれ、頼まないという選択肢はないように告げるあたりが強気だなと感じた。せっかくなので4500円のコースを注文してみた。

それぞれのメニュー内容の説明は一切なかった。
客層は30代~50代の女性がメイン。ちょっとおしゃれをして豪華ランチを楽しみにきましたという雰囲気の人たちばかりである。ゆったりと過ごしている様子からも、仕事の合間に訪れたという感じではない。
料理は女性を意識している内容といえるだろう。エディブルフラワーなどを使った飾り付けは華やかで目を楽しませてくれる。ポーションは少なめだ。男性は物足りないだろう。

チーズを混ぜたオリーブオイル。くるみとライ麦のパン。

【前菜】海老のフリットと炙ったホタテのカルパッチョ

【温菜】桜鱒、スープ仕立て

【軽めのリゾット】カニとアスパラ、サフランライス
続いて、【軽めのパスタ】蛍烏賊とルッコラのトマトソースパスタ。(冒頭写真)
味はいわゆるイタリアンとは一線を画した味付け。しょうゆの粉がついてくるなど、どことなく和風のあじわいで全体的に甘め。どの皿も同じような味付けの印象を受けたのが残念だ。和風テイストが加味されている分、懐かしい感じがして食べやすいという人もいるかもしれないが、もう少し本場的なパンチがほしいという人もいるだろう。私としては皿ごとの変化がもっとあったほうがいいように感じた。リゾットはアルデンテで美味だったが、パスタは茹ですぎ。太めのパスタを使っていたこともあり、まるでうどんのようだった。
さらに不満点が2つ。1つ目は2500円と4500円で、前菜・リゾット・パスタ・デザートの内容がかぶっていたことだ。4500円にはこれに温菜と主菜がプラスされるのだが、割高感は否めない。もうひとつは、同じ4500円でパスタの量が男性と女性で変えられていたこと(もちろん男性が多い)。心遣いといえばそうかもしれないが、余計なお世話といえば余計なお世話である。食べた後に「足りましたか?」と聞かれたが、そう聞くくらいなら最初に聞くべきなのではないだろうか。

【主菜】豚ひれ肉のカツレツ

【デザート】チョコレートケーキと、サービスでついてきたロールケーキ「シロマキ」

オリジナルティー。ローズヒップ、ハイビスカス、ジンジャーなどをブレンド。季節ごとに変わるそう
食後の飲み物もオリジナルティーのみ。店のイチオシなのかもしれないが、それなりの値段がするコース料理である。コーヒー、紅茶なども選択肢として残してほしいところである。それにこのオリジナルティーも料理同様甘いのである。甘いケーキに甘いお茶で胸やけしそうな気分になった。もっとさっぱりした飲み物で最後を締めたい人は多いのではないだろうか。
このようにところどころ押しつけまがいの強気さが垣間見れるこの店のサービスではあるが、女性のハートを掴むという点ではかなりの配慮が見られる。例えば店員は、キッチンもサービスもすべて男性。しかも今風のイケメン揃いである。そして極めつけはデザートのとき。本来コースに含まれるデザートは1品なのだが(デザートだけは6品中から選べる)、2品のケーキが盛り合わせになって出てきた。
店員いわく、
「本日は川越(シェフ)がご挨拶できなかったので、そのお詫びとしてシェフからのサービスでございます」
とのこと。このセリフを言われた女性客はほぼ全員が「わぁ❤」と嬉しそうな声をあげていた。
シェフ目当てで来店した女性客にとっては、たまらないサービスだろう。シェフに会えなかったとしても期待外れ感をもたせない工夫である。食事の最後にこうしたサプライズをされたことで、よい印象も残るはずだ。さらに帰りは階段下までスタッフがわざわざ見送りに降りてきて、姿が見えなくなるまでずっと頭を下げていた。
人気店だけあって強気の姿勢が随所に垣間見られるが、店内のムードやサービスで酔わせ、女性客のハートをつかむ術に長けているところが印象的な店であった。シェフの人気を自覚した上で、いかにサービスをするか。その工夫こそが女性顧客の心をつかみ、ファンを増やしている理由だろう。
■店舗情報
「タツヤ・カワゴエ」
住所:東京都渋谷区代官山町11-12 日進ヒルズ代官山2F
電話: 03-5489-3632
営業時間 ランチ 12:00~13:30(L.O.)、ディナー 18:00~22:00(L.O.)
定休日:無休
【取材・執筆】MAYUMI 2011年4月21日取材
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