今はや ~今流行っているお店~
*バックナンバーはこちら
醸造所の中にレストランがある!?
「驛の食卓」
(神奈川・桜木町/ビアレストラン)
第28回 2011年7月6日今流行っている店は、どんな店?なぜ流行っているのか?実際に営業中に店を訪れ検証。「次に流行る店」=“次はや”に対して“今はや”。流行りの店の秘密をレポート!

緑の看板とテラスが印象的な外観。
1995年のオープン以来、ビール好きな人たちの間では言わずと知れた店、それが横浜地ビール直営のレストラン「驛(うまや)の食卓」だ。桜木町駅から徒歩5分程度、馬車道や関内からも近いその店は、“横浜の新橋”と言えるような繁華街の中心に位置する。そのため、平日は近くに勤めるサラリーマンで大賑わいだ。

店はオフィス街にあるため、週末は閑散としている。
店に予約の電話を入れたのは、営業時間外だった。だが予想に反し、電話はすぐさまつながり、店員の対応も過不足なく、予約もスムーズ。さらに、予約専用のフリーコールナンバーが用意され、問い合わせ以外の電話が無料だという。ここまでホスピタリティが徹底している居酒屋は珍しい。

地ビールの醸造所が併設されたレストラン1階。
店に入り、まず驚くのは、目の前のカウンターバーの後ろに、大きな醸造所が併設されていることだ。まるで工場見学にでも訪れたかのように、テンションがあがる。ここで自家製の横浜地ビールを醸造しているという。それを2階で頂けるのだから、まさに造ったばかりの新鮮なビールが味わえるのだ。また、横浜は日本で初めてビールが造られた街ということも知り、これから頂く地ビールへの期待が高まる。

窓も大きく、面積も広い店内は、明るくオープンな印象。

土地柄なのか、外国の方も多いという。
その後、2階のレストランフロアに案内される。店内は非常に広く、150席ほど。結婚式の2次会などにもよく使われるらしく、パーティプランやコースメニューも充実している。今回、訪れたのは週末の昼下がり。地元の人たちが来ているのが伺える。
横浜地ビールは、グラス、ジョッキ、ピッチャーから選べる。また常時8種類以上揃うビールが、平日のランチタイムはジョッキで350円から。その他のメニューも平日は500円から。その破格さが、人気の秘密かもしれない。

常時8種類のビールが楽しめるため、男性客が多い。

強めの味わいが特徴の「横浜ラガー(ジョッキ780円)」。

オレンジを使った「フルーツエール(グラス650円)」は限定メニュー。

横浜地ビールの数々の受賞歴が伺える賞状が飾られている。
最初の一杯は「第14期ヨコハマ・グッズ001」で市長賞を受賞したという「横浜ラガー(650円)」。しっかりとした苦味が味わい深く、すっきりとした味わいのビールが多い昨今では珍しいタイプだ。次にオーダーしたのは、季節限定の「PIXIE」を使った「フルーツエール(グラス650円)」。横浜の中央市場でしか取り扱いのないカリフォルニア産のオレンジを使っているのが売り。やわらかな口当たりで、口の中で爽やかな柑橘の香りが広がり、フルーティ。飲み始めたら、さまざまなビールを試したくなるほど種類が豊富。一度ではすべて味わえないほどメニューがあり、また訪れたくなる。ビールが苦手な人には、ビールを使ったカクテルなども用意されているのも魅力だ。

横浜醤油をつけて頂く「鯵のたたき」は絶品。
食事のメニューを見ていると、「本日のオススメは、“鯵のたたき”なんです」と店員の女性の方に話かけられた。そして、「今朝3時に私も海に出てきて、漁師の方々と獲ってきました」と驚きの発言。一気に興味が沸き、心を掴まれる。「漁師の方7〜8人と、定置網を使って獲ってきたんです。見るからにぷりぷりっとした鯵で、本当に美味しいと思います」。そんな新鮮な魚、しかも目の前の線の細い女性が朝から獲って来たと聞き、思わず注文してしまった。テーブルに料理がくる毎に、食材について説明してくれるのは嬉しい。

元祖トマトケチャップ「清水屋」を復刻して使用したオムライス。
その他にオーダーしたのは、「オムライス」。明治29年創業し、日本で初めてトマトケチャップを造ったという「清水屋」のケチャップを復刻して作られたという。いわゆるデミグラスソースなどとは違い、トマトの味と甘味が強く、ケチャップだけを食べても美味しい。そこに厚くて、ふわふわの卵の生地が合わさる。懐かしい味に包まれながら、ホッとする味わいだ。

手造りトマトソースが絶妙。「マルゲリータ(1,000円)」

ランチセットになった、「サーモンのマリネ」

同じくセットの「スープ」。
「マルゲリータ」のピザは、自家製のドライトマトを作った、薄い生地が特徴の一品。ビールとの相性は抜群だ。ランチメニューには、メインメニューの他に、前菜の「サーモンのマリネ」にスープ、ドリンク、デザートが付くため、最後には「桜桃のゼリー」と「抹茶のパウンドケーキ」がセットになったプレートが出される。すべてセットでパスタコース960円、ご飯コース1,050円と圧倒的に安い。

こぼれ話が書かれたコラム欄の多いメニュー。
地産地消をコンセプトにしている通り、その他のメニューもどれも地の食材を使ったものばかり。三浦半島、湘南、横浜を中心に神奈川の食材がふんだんに使われ、さらに調味料に至っても横浜に製造所があるものが多い。毎日、生産者のもとへスタッフが直接赴き、食材を譲ってもらっているという。すべてメニューに記載されているため、ただ食事を選ぶだけでなく、食材や調味料の歴史やこぼれ話に触れるだけでも楽しめる。また、1階にあるテラスは、「驛テラス」と称し、毎週火曜日11時〜17時まで、野菜の直売所となる。横浜近郊の野菜を中心に、LED菜園で栽培された完全無農薬野菜などを生産者の元から直接届く。昼市では24時間以内に収穫されたもの、夕市では朝取りの新鮮な野菜を提供。店のコンセプトにある地産地消は、こうした地元の人たちとの触れ合いを通じて、地域の活性化へと形を変えているようだ。

うちわを用意されるなど、ホスピタリティは満点。


レジの近くでは、神奈川産の調味料や横浜の地ビールを販売。
この日は節電のため、冷房を弱めていると説明され、「うちわ」も渡された。入った瞬間は少し暑いと感じたが、30分もすれば一番心地よい空調。また、「横浜ビールメンバーズクラブ(YBMC)」というレストラン会員の制度を設け、1万円の入会費で2万円分の優待券が配布されたり、毎来店時にワンドリンクをサービスされたり、記念日にビールギフト券が届くなど、継続的な客足を掴むためのサービスも充実している。

「横浜ビールメンバーズクラブ(YBMC)」という会員制度のチラシ。
店名である「驛(うまや)」とは、今でいう「駅」のこと。旧横浜駅である桜木町は日本で初めて鉄道が敷かれた駅であり、文明開化の明治期には、横浜で生産されたビールが積み出された場所でもあったという。
地元神奈川で頑張る生産者の方々とともにメニューを開発し、店を運営している。店構えやメニュー作り、さらには接客に至るまで、経営者の熱い心意気が伝わるように演出。横浜、神奈川の「食文化」を知ることができ、今まで知らなかった地ビールとも出会える。また価格帯が圧倒的に安いことも追い風となり、近隣で働くサラリーマンの心を昼も夜も鷲掴みにしている。
“一度は行ってみたい”と思わせ、知らない人には“こんな面白い店がある”と説明できる圧倒的な個性もある。貴重な体験ができる一軒として、今後も注目を集めそうだ。
■店舗情報
「驛の食卓」
住所:神奈川県横浜市中区住吉町6-68-1横浜関内地所ビル1・2階
電話:045-641-9901
営業時間:11:30〜22:00(日・祝日〜20:00)
定休日:無休(年末年始除く)
【取材・執筆】 桜生 マリコ(さき まりこ) 2011年7月4日執筆
【関連記事】
国産クラフトビールが牽引する、ビアバー開店ブームラッシュ!〜ビアバーブーム到来か?〜(3−1)(2011年2月8日)
昨年は1万人が来店した、ヱビスビールのビヤガーデン「YEBISU BAR The GARDEN」が今年も霞が関に5/9オープン。(2011年4月20日)
稲本&神谷コンビでリニューアル。
「横浜モアーズ」飲食フロア「The MOST」9/3に先行オープン!岡田 伸浩氏 株式会社 横浜岡田屋 代表取締役社長(2008年8月27日)


