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今はや ~今流行っているお店~
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複数の店を“回遊しながら遊べる”大人の飲食街。
「丸の内ハウス」
(東京・丸の内/レストランフロア)

第32回 2011年8月3日

今流行っている店は、どんな店?なぜ流行っているのか?実際に営業中に店を訪れ検証。「次に流行る店」=“次はや”に対して“今はや”。流行りの店の秘密をレポート!


通路に面してカウンター席がある「SAWAMURA」。

あえてスペースを区切らない空間づくり。

 2002年の丸ビル建て替えを皮切りに始まった「丸の内再構築プロジェクト」によって、閑散としたオフィス街から最先端のトレンド発信地へと急速に発展を遂げてきた丸の内。今やおしゃれな飲食店がひしめくこの街で、ひときわ人の集まる一角がある。それが新丸ビル7Fにある「丸の内ハウス」だ。

 「丸の内ハウス」とは、洋和食、欧風料理、スパニッシュイタリアン、カフェダイニング、蕎麦屋、バー、スナックなど、9つの異なる店舗が集結したレストランフロアの総称のこと。7F全体が「丸の内ハウス」なのだ。


まるで一杯飲み屋のように、背もたれのない椅子が並ぶ「ソバキチ」。


スタンディングバーと、通路に沿って席が並ぶ「RIGOLETTO WINE AND BAR」。

 商業施設内の1フロアーがレストランフロアとなっているのはごく普通のことだが、丸の内ハウスは少し雰囲気が違う。それは、あえて店ごとの区切りを曖昧にし、全体でひとつの店であるかのように空間が作られているせいだろう。コンセプトは「ワンフロアのラウンジスペース」「大人が集うゲストハウス」。人々がお店やテラス、共用スペースを自由に行き来し、交流を図る場として作られたそう。そのため、お酒とフードをテイクアウトし、テラスで楽しんだりすることもできる。


どの店も半オープンな状態。人で賑わう様子に誘われ、つい入ってみたくなる。

 店へと移動する通路は、周り廊下のように店を囲むように配置されており、その通路にも、テーブルと椅子が配置され、食事が楽しめるようになっている。店を探す客は、通路を回遊しながらその席で食事を楽しむ人や料理を見て、店の品定めをする。実際、「あれ美味しそう」「この店雰囲気いいね」「あれ飲みたい」などと、様子を見ながらぐるぐると何周も回る客を何組も見かけた。


通路の席で食事を楽しむ客。

 通常、こうしたビル内の飲食街では、店を出たとたん、いわゆるビルの無機質なパブリックスペースが現れ、ほろ酔い気分が冷めてしまうことが多い。しかし「丸の内ハウス」では、店の外に出てもまだ祭りは続く。つい「あの店でもう一杯」という気分になる。まるでお祭りで屋台を渡り歩くように。このような設営は、2軒目、さらには次回の来店へとつなげるための絶好のプレゼンテーションとなっているのではないかと思われる。

3日前にはすべての席が埋まる!

さて、実際に訪れたときの様子をお届けしよう。訪れたのは金曜日の夜。「ものすごく混んでいる」という事前情報はあったものの、飛び込みでなければ入れるだろうと高をくくっていたため、予約の電話を入れたのは前日、木曜の夜。1軒目、即答で「満席です」。2軒目、いちおう予約状況を調べてはくれたが「満席です」。3軒目、即答で「満席です」の答え(!)。 いつ頃席が埋まるのかと聞いてみたところ「3日前くらいにはすべて埋まります」との返答であった。焦って電話した4軒目でやっと席が確保できたが、ここも「最後の2名席」だった。


予約で満席だが、18時半の時点ではガラガラ。

 そうして訪れたのは「自由が丘グリル」。洋食屋である。18時半の予約で来訪したが、なんと予想に反して席はガラガラである。この店だけではなく、満席だと断られた店も埋まっているのは2~3割程度。しかし、飛び込みで来店した客は断られていたので、予約で満席なのは間違いない。何軒も断られた様子の20代くらいの2人組女子が「ここまで来たら諦められない。どこか入れるところ探そう!」とやっきになって店を回っていたのが印象的だった。

 自由が丘グリルの料理は、野菜、魚介、肉のグリル料理がメインのカジュアルな洋食。値段のわりにボリュームもある。天井が高く居心地のいいスペースや、シックなインテリアの大人の空間の中で味わえることを考えれば、お値打ち感たっぷりである。


香ばしい「季節野菜のグリル」(1600円)。


直径20cmほどもあった巨大な「豚のTボーンステーキ」(1600円)。


グラスワインの種類も豊富。生ビール、カクテル、ウィスキー、すべて550円均一。


ボトルワインは40種類以上、ALL2800円のお安さ!

 客層で一番多かったのは女子の2人組。次に4人程度の女子グループ、カップルと続き、女子率は8割といったところ。年齢は30代が6~7割だ。コンサバで小奇麗な服装から察するに、この界隈で働くOLといったところだろう。結局、席がすべて埋まったのは、20時過ぎと遅め。サマータイム導入、NO残業などは、丸の内のOLたちにはあまり当てはまっていないように思われる。


20時すぎに満席となった「自由が丘グリル」。2人組の女性客が多い。


21時頃にはすべての店で満席になっていた。

「昭和な店」も。いろんなお店があるから面白い。

 2軒目に訪れたのは、「来夢来人」。都心のオフィス・商業混合ビル内としては異色の、昭和なテイストあふれるスナックである。


窓に面していない裏路地的な通路にある「来夢来人」。この店はオープン仕様ではなく、あえてのクローズドである。

 ここはタレントのミッツ・マングローブがママを務めることで人気の店。ママの出勤日は基本、水曜と金曜だが、この日はあいにく不在の日だった。


入口に飾られたミッツ・マングローブのポスター。


店内は「ザ・昭和」な雰囲気。

 ミッツが不在ということで、あまり人が入っていないのではという予想は見事に裏切られた。ほぼ満席である。この日は、会社の飲み会らしき10名程度の男女混合グループが1組、男性3人女性1人が1組、女性4人組が3組、女性2人組が2組いた。


女性専用バーだが、男性は女性同伴であれば入店可。

 席と席の間隔は狭く、ぎゅうぎゅう詰めで座らなければならない。隣のテーブルとの間もせまく、奥に座るにはテーブルを動かさなければならないほど。しかし、その密着感がかえって心地いい。客は30代後半~40代後半がほとんどで、まるで同窓会のような、妙な連帯感と同一感に包まれている空気感があるのだ。

 70年代、80年代のカラオケが次から次へとかかる。イントロが流れると、店全体に響く「おーーー!!」という声。歌い手は、中央で立って歌うのが基本。踊りながら歌う人もいる。見知らぬ人が歌っていても、手拍子、合いの手は当たり前。店全体で盛り上がる。まさに古きよき昭和の世界が繰り広げられているのである。


立って歌うのが、この店の流儀。


カラオケは1曲200円(23時以降は300円)。昭和のスナックらしく、曲をリクエストする際に店員に支払うシステムになっている。


カラオケ上位得点者は掲示。常連さんも大喜び。


お通しは、お色気スナックの「よろめき」。おかきと一緒に入っているのはエロカード。全部集めたくなる。

 隣の席に座っていた女性2人組に話しかけてみたところ、丸の内の金融企業で働く40歳と36歳の派遣社員だという。すでに3回目の来店だという40歳女子は、「ここに来るとほっとするんです。だってみんな同じくらいの年齢だから、気を遣わないですむじゃないですか。私たち、しがない派遣ですもん。仕事のストレス溜まってるんで、発散しにくるんです」と話していた。彼女たちにとっては、ここはオアシスなのだ。ちなみにミッツがいるときはどんな様子か聞いてみたところ、ちゃんと席を回って接客をしてくれるそうだ。ただし、ミッツの飲み物は、テーブル持ち。「用意しましたよーと声をかけると、すぐ来てくれる」のだそう。

 料金は、カクテルを2杯、おつまみ2品、チャージ1000円で3500円程度/人。他店に比べるとやや割高だが、特殊な店ということを考慮すれば納得できる料金だろう。前述の女性2人組も「安いと思う」と言っていた。

流行感度の高い場所で「迷い、選ぶ」楽しさ。

 「丸の内ハウス」には、洋和食、欧風料理、スパニッシュイタリアン、カフェダイニング、蕎麦屋、バー、スナックなど、異なるジャンルの店が集まっており、幅広い年齢層が楽しめるようになっているが、全体の客層としては、やはり30代~40代の女性が圧倒的に多い。がっつり食べられるお店から、お酒を楽しむお店、騒げるお店など、傾向の違う店が揃っているがゆえの「たくさんの選択肢の中から選ぶ楽しさ」「迷う楽しさ」は、女性の方が知っているからだろう。

 料金はどの店も良心的。アルコールの量にもよるが、平均で4000~5000円もあれば足りるだろう。立地と雰囲気を考慮すれば、決して高くはない値段だ。気軽にいろいろ楽しめるという点も人気の理由だろう。

 また「丸の内ハウス」では、月替わりでテーマを決めイベントを開催。そのイベントに合わせて、各店でスペシャルメニューが登場する。8月には韓国・テグで行われる世界陸上にちなんで韓国料理が、9月には高野山のイベントを行う関係で精進料理が、11月には山梨のイベントを行い、地域の特色を活かしたメニューが登場する予定だという。


美術展、展示会などのアートな情報も提供。

 さらに、アートに触れる機会を設けてもいる。毎年秋には、食事を楽しみながら無料で芸術を鑑賞できるイベントを大々的に開催しているし、フロアーの中央に位置するフリースペースでは、不定期ではあるが写真やアートの展示などを随時行っており、こちらも無料で楽しめるようになっている。食事に来るついでに流行や芸術に触れられるのも魅力だ。


このときはNYで活躍する写真家の作品が展示されていた。


別の日にはライブラリーに。置いてある雑誌や本を自由に読んでくつろげるスペースとなっていた。


ちなみに今年2月から無料Wi-Fiも完備。昼時にはパソコンを広げて仕事をするサラリーマンの姿を多く見かけた。

 迷い、選ぶ楽しさがある。おしゃれな人たちが集う場所に身を置くことで、感性が磨かれる気がする。訪れるだけで旬な話題、アートやイベントなどの情報に触れることができる。その場にいることで、「旬」がわかる。

 オシャレ感度が高く、可処分所得に余裕のあるOLたちが、夜な夜な「丸の内ハウス」を訪れるのは、そんな理由かもしれない。


■店舗情報
「丸の内ハウス」
東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸ビル7F
11:00~翌4:00
(日曜・祝日・連休最終日は11:00~23:00)
各店ごとに営業時間が異なるため、詳しい営業時間等は各店に問い合わせを。
http://www.marunouchi-house.com/

【取材・執筆】 石村 紀子(いしむら のりこ) 2011年8月2日執筆


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