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第5回 2003年11月15日
9月に発売した途端、販売計画の3倍を売上げ、
1ケ月たたずに出荷停止になってしまった大ヒット商品がある。
それが、ハーゲンダッツ社の新フレーバー、ミニカップ カスタードプディング。
現在は出荷停止中だが、いよいよ12月1日には再販される。
発売を心待ちしているファンのために、
一足お先に開発秘話をお届けしよう!
カスタードにカラメルがとろりとからまる
ハーゲンダッツ ミニカップ
カスタードプディング
誰にも強い思い入れがある、
カスタードプディング


 カスタードプディングは、玉子と砂糖と牛乳を混ぜて、オーブンで焼くといいう シンプルな生地に、砂糖を焦がしたカラメルがトロリと からまるシンプルなデザート。
 プリンに関しては、誰もが食べたことがあるだけに、思い入れもいろいろなようで、大ヒットしたパステルのなめらかプリンのような濃厚で 柔らかいのものが良いとか、グリコのプッチンプリンのように 固めのものが良いとか、玉子の風味がそのままわかる のもが良いなど、自分は一番コレが好き! という一家言を持つ人は多い。
 それだけに、多くの人に受け入れられる味を作り出すのが大変だった、と語るのは今回のカスタードプディングフレーバーを 開発した、ハーゲンダッツ商品開発部の渡辺 麻理さん。
 このフレーバーを思いついたきっかけを尋ねてみた。

 「新フレーバーを作るには、毎日テストの為に、同じものを食べなくてはならないんですね。
このために、自分も好きで飽きがこないフレーバーにしようと思いました。
 また、フレーバーに関しては ハーゲンダッツ社として、奇をてらったものでは無く、オーセンティックなものを作る、という方針があります。
 そこで、昔ながらのオーブンで焼いたカスタードプディングの味を目指しました。
 お皿にひっくり返すような固さがあり、玉子の風味がしっかりと感じられて カラメルも苦味があるものです。

 バニラアイスクリームと、プリンの 材料って、そもそも似ているのです。
 このために、バニラとカスタード との差別をどのようにつけていくのかを配合をいくつも変えてテストしました。
 単純に、卵黄の量だけを増やしても あまり味が変わらないんですね。
 最終的には、アイスクリーム1個のカラメルとの混ざり具合までチェックするために毎日1〜2個ずつ食べました」

 カスタードプディングは、フランスでは別名 クリーム・ランヴェルゼとも言い、逆さにしたクリームの意味がある。
 これは、最終的にお皿にひっくり返すからその名がついたそうで、フランスでは、どのレストランでも必ずあると 言われる普遍的な人気を持つデザートである。
 プリンの中でも伝統的なこの味を目指したのが開発のスタートだったようだ。
 
 
カスタードプディング商品開発を担当した 渡辺麻理さん
社内よりも厳しいのが消費者の目

 ハーゲンダッツ社では、新商品の発売前に、毎回街頭調査を行うという。
 銀座や渋谷などの20代〜30代を中心に調査を行い、その結果によって味を変えていくこともある。
 社内では評判が良くても、消費者の目の方が厳しいことも しばしばであるらしいが、それはそれで次回の商品開発のヒントにするという。
 今回のカスタードプディングにしても、商品開発部内ではカラメルをもっと焦がして、苦味がある方が良いと考えていたのだが、消費者からはカラメルにほんのりとした 甘味がある方が良いという結果が出たので、そちらの方に変えるなどの変更を行った。
 何度か試作を重ねて、出来上がり再度街頭調査を行った結果、非常に評判が良かったので ハーゲンダッツ社としては、かなり強気の販売計画を立てた。
 ところが、その予想の3倍を売り上げてしまい なんと1ケ月を立たずして出荷停止。

 TV−CMや、交通広告の効果もあり、コンビニに走ったのは、筆者も同様である。
 ところが近所のセブンイレブンでは売り切れ、西友では、たくさんのハーゲンダッツアイスクリームのフレーバーが並んでいたが、カスタードプディングはフリーザーの奥にわずか3個しか残っておらず 慌てて手にしたことがあった。
 カスタード味に、カラメルがトロリとからまった懐かしく新しい味のアイスクリーム。
 これは、バニラ党の方にも評判がよく新フレーバーには興味が無い人でもまた食べたいと思わせるリピート購入も促したようだ。

 現在、商品開発部では2年先の春夏向けの新フレーバーに向けての企画を 行っている。
 開発にあたり、つい先日も開発部5人で都内スイーツクルージングを行ったらしい。
 男女を含む5人で、エリアを決めたカフェなどで異なるものをオーダー、少しづつ食べてみてまた違うお店に行く、といったツアーで1日で5軒回ったそうだ。
 有名店の食べ歩きだけでなく、コンビニスイーツも食べてみるなど常にチェックは欠かさないそうだ。
 次回はどんなフレーバーが発売されるかどうか楽しみである。
 最後に、今後はどんな商品を作っていきたいかを商品開発部の渡辺さんに聞いてみた。

 「実は商品開発部に異動していちから手掛けた商品が、カスタードプディングなんです。
 こんなにヒットしたのは、思いがけなかったのですが今後は、これを越えるような商品をつくっていきたいですね。
 そして、いつかはロングセラーとして愛される定番となる商品を開発していきたい。」
 
取材・執筆 本誌編集長 石田 千代 2003年11月15日

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