79年にNYで始まった、アンケートによるレストランの格付けガイドブック「ザガット・サーべイ」。99年には日本でも発売され、「消費者が自分達の為に選ぶガイドブック」として、大きな話題を呼んだ。 その「ザガット・サーべイ」ニューヨーク版で、19年間連続してイタリアン部門第1位を獲得したレストランが「イル・ムリーノ ニューヨーク」である。その大人気レストランの2号店が日本にオープンしたという噂が噂を呼び、本店を訪れたことのあるという外資系のビジネスマン等が利用するなど、当分の間は予約が取れないとのこと。
インタビューをさせてもらったのは、ダイニングに併設されたラウンジ。ラウンジスペースは本店にはないのだが、ゆっくりくつろげるお店にしたいという目的により併設されたとのこと。配置されたインテリアは、特注で座り心地抜群であるうえ、空間全体をより 洗練させる存在となっている。まさに男の空間。 |
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鷲田支配人にまず料理についてお伺いしてみた。 「イル・ムリーノの料理はとにかくボリュームがあります」と支配人。単品でも他のイタリアンやフレンチレストランの2倍位の量があるので、4人以上で色々オーダーするのが ベストとのこと。食材は究極のものを使用し、その味の特徴は、「ザガット」からも、 「ガッツィー&ガーリッキー」と評される男らしい料理。贅沢で気取らない、ワインで流しこむ…タイプの料理ともいえる。ディナーの平均的な予算は2万円。
「イル・ムリーノ」は様々なシチュエーションで使うことが出来る。 奥まったスペースにダイニング102席があり、その他にバーカウンター7席・ラウンジ46席がある。予約までに時間に余裕があれば、バーカウンターで相手を待ちながら、カクテルや、テタンジェのグラスシャンパンを楽しむことも出来るし、ギネスやバスをゆっくり飲むのもいい。スピリッツやカクテルがたくさんあり、自分だけのカクテルをリクエストしてみてもいい。たった7席しかないカウンター席では、バーテンダーがつきっきりの贅沢な時間も約束されている。
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「イル・ムリ−ノ」は前ページでも紹介した、マーシ兄弟の手によって作り上げられた店である。マーシ兄弟は10代半ばから調理の世界へ入った。ローマを皮切りに、ヨーロッパおよびカナダなど、各国でレストラン修行を重ねた。兄のフェルナンド・マーシの友人のすすめにより、81年にニューヨークに「イル・ムリ−ノ」オープンさせ、故郷の郷土料理と修行をスタートさせた思い出の地ローマの古典的料理を提供したところ、開店3年目で「ザガット・サーべイ」ニューヨーク版のイタリアン部門で第1位となり、またたく間にNYで最も予約の取れない店にまで成長した。その後、19年間連続No.1であるという事実が、その実力を現しているといえよう。 |
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すべてのお客様に、料理だけでなくトータルでご満足いただくことを信条とし、本店は前述「ザガット・サーベイ」03年NY版にて30点満点中24点を獲得している。「東京店もそれに負けないサービスでお客様をお迎え」するそうだ。 東京店では、キッチン、ホールとも充分に研修を受けたスタッフを中心に構成されている。 特にホールスタッフのサービスはテーブルケアにとどまらない。 オーダーした料理が運ばれるまでの間、フリーアペタイザー(パルミジャーノ・レジャーノやブルスケッタ・ズッキーニの前菜・サラミ等)でひと息つける。テーブルの横には新鮮な果物やワインなどをディスプレイコーナーの前にカウンター式のクックステーションが設けられている。料理はサービススタッフがきちんとアテンドしてくれて、クックステーションにてパスタにソースを絡める、料理にソースをかける、デザートを切り分けるなどの仕上げ作業を行い、最高の状態で料理をサーブする。 お客様に「最高の体験だった」と満足してもらう為には手間を惜しまないのが「イル・ムリ−ノ」流のサービスの一つであるとのこと。
メインディッシュの後には絶妙なタイミングでグラッパをサービス。最後は「自宅へ招いた友人が帰る」のを惜しむような、心のこもった言葉が贈られる。 「イル・ムリーノ」は誰か親しい友人をご馳走したい時に選ぶ店なのだ。お店の方々には忙しい中、店の外まで出てきて「来年も良いお年を」と見送ってもらった。嬉しくないはずがない。ここは都会にある別荘なのだ。鷲田総支配人をはじめサービススタッフ全員の笑顔を思い浮かべながら、六本木ヒルズを歩いた。
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2003年12月27日 取材・執筆 山越龍二 | |||||||||||||||||
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