第15回 2004年1月31日 | |
世界中の食料品が流通している21世紀。安全と健康が問われ続けているが、そのような中で伝統的な作物が注目されている。近年、飛び抜けた成分が研究・発表され、最も注目されている紫とうもろこしを取材した。 | |
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今年は紫とうもろこしブーム!? 昨年は黒い食品が流行った年だった。「黒酢」や「黒ごま」、「黒豆ココア」に「黒ビール」と様々な黒い食品がメディアをにぎわした1年だった。 「黒酢」・・・麹菌や乳酸菌の作用で琥珀色に熟成した酢。アミノ酸ほか多くの栄養分が含まれている。 「黒ごま」・・・焙煎によって表皮が黒色になったごま。タンパク質、カルシウム、リンなどのミネラル分が豊富。 「黒豆ココア」・・・大豆の一種で、外皮が黒い黒豆を使用。イソフラボンを大量に含んでいる。 「黒ビール」・・・焙煎によって褐色になったモルトを使用。栄養分が多く含まれる。 見ていただければ分かるように、黒い食品は素材としての色だけでなく、焙煎によっても黒系の色は生まれるので、その成分はまちまちであった。つまり、偶然として「黒」がブームになったといえる。 では、今年の流行は何か。それはおそらく、「紅(紫)」である。「赤牛」「赤豚」「赤鶏」など目新しい食肉の話題もあり、「金時人参」「赤葱」「赤しそ」「赤米」と野菜のバラエティも充実している。この流行には共通点があり、「(紅系の)天然色素には優れた成分が含まれている」のだ。中でも優等生の紫とうもろこしは、「黒大豆や赤ワインを越える成分が含まれている」とされ、注目を集めている。 |
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紫とうもろこしをご存知だろうか。その名の通り紫色をしたとうもろこしで、原産国はペルー。日本のスイートコーンのような透き通った甘さはないが、現地のペルーで暮らした方に言わせると「とうもろこし本来の風味がある」というのだ。 ペルーでは様々なとうもろこしが多彩な料理方法で食されている。アンデス山脈では高度により100品種前後のとうもろこしが栽培されていて、中には乾燥させたのちに茹でて食べるとうもろこしもあるそうだ。日本でジャガイモ(男爵・メークイン・きたあかり)やサツマイモが調理方法によって使い分けられるのと同じように、ペルーではとうもろこしの品種によって料理方法をかえている。紫とうもろこしは「ジュース」や「ゼリー」といったデザートの食材として使われてきたが、その飛び抜けた成分から日本のテレビでは健康食品として取り上げられた。 TBS「スパスパ人間学!」でも言われていたが、紅の色素はアントシアニン(ポリフェノールの一種)がたくさん含まれていて、脂肪細胞の増大を抑制、レプチンの働きを助けて肥満を抑える効果がある。紫とうもろこしは南米で伝統的にジュースやゼリーとして食されてきたが、毎日紫とうもろこしのジュースを350ml飲むことによりかなりの割合で発ガン抑制効果があるそうだ(日本食品化学研究振興財団・名古屋市立大学医学部・大雄会医科学研究所の共同研究を参考にしたので、詳細はそちらをご覧いただきたい)。 |
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紫とうもろこしは南米の伝統的な料理に使われているだけでない。濃厚な紫の天然色素は世界中の料理人に重宝され、日本料理にも応用されている。 恵比寿の「グレートアペタイザーズ・ヌエヴォラティノ」(ヨーロッパと南北アメリカのフュージョン料理の店)では紫とうもろこしと麦のリゾットがメニューにあり、鮮やかな色彩がお客様に評判だという。 フレンチレストラン「ブラッセリー・ヴァトゥ(Brasserie Vatout)」の遠藤シェフは以前より紫とうもろこしに注目していて、長年の研究からいくつものレシピを開発してきた。その中から「家庭でもつくれる、おいしいレシピ」を2品教えてもらえた。メイン料理とデザートなので、一食で作ってしまうことができる。 |
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子どものおやつに、チチャモラーダ! 紫とうもろこしのジュースは現地ペルーでチチャモラーダと呼ばれている。このジュースは子どもから大人まで好かれているが、おいしだけでなく、健康に役立つ優等生なのだ。 1.アントシアニン含有量がダントツで多い 2.赤ワインと違ってジュースやゼリーで摂取するので、子どもでも食べられる ではアントシアニンとはどのような効能があるのだろう。 1.「活性酸素」の働きを抑える 2.血液がサラサラになる 3.高血圧の予防 良いこと尽くしの紫とうもろこしだが、唯一の問題点といったら日本ではあまり販売されていないということだろう。インターネットでも販売されているが、最近までは日系ペルー人がたまに買い物をするくらいだったそうだ。ところがテレビに取り上げられたこともあり、年末から今年に入って「紫とうもろこしジュース」を注文する日本人が急増したとのこと。
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2004年1月31日 取材 執筆 山越 龍二 | |||
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