地下2階への階段の踊り場に飾られた「黒い提灯」、「江戸時代の闇酒場」というテーマを持つお店が赤坂にある。その名も「黒提灯」。「江戸時代は獣肉を食することが敬遠され、闇酒場は黒提灯を釣り下げ」て密かに獣肉を提供していたという。そう言われると扉を開いて階段を下りている間、何かいけないことをしているような気分になる。
同店は「高い店と安い店の両極端しかなかった」赤坂において客単価3000円と足を運びやすい位置づけにした。「赤提灯(大衆酒場)は入りづらい」けれども1度は大衆酒場に入ってみたい女性にとって「黒提灯」はわかりやすいだけでなく、もともと高級フレンチレストランが出店していたフロアの居抜きなので内装もすっきりとしていて居心地が良いのだ。
お手頃な値段に設定しながらも「地元密着」で「週に1〜2度通っていただきたい」という同店は、なにより素材にこだわっている。平田牧場の三元豚や放し飼いの蔵王土鶏を使っていて、1番人気の「三元豚のばら肉」は紀州の備長炭で炙り、小笠原の自然海塩か山形の田舎味噌、もしくは関ヶ原たまり醤油を使用したタレで食べられる。「おいしいものをシンプルに」「素材を食べていただきたい」という言葉からわかるように、誰もが慣れ親しんだメニューにいくつものこだわりを加味することにより「期待以上の満足感」を与えている。
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地下1階のフロア。カウンターには
焼酎が100種類以上ある |
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このお店は、「ヴァンパイアカフェ」「迷宮の国のアリス」をはじめとして独創的な飲食店を展開してきたダイヤモンドダイニングによる経営だ。現在5店舗を持ち、独創的なコンセプトがそれぞれのウェブサイトにしっかりと反映されいてる。お店のコンセプトに合わせて最適なウェブデザイナーを外部から招き、「リアルな情報をホームページから告知」し、お店を盛り上げている。たとえば以前、東京宝塚劇場にてヴァンパイアに関連した演目があった時期には「ヴァンパイアカフェ」にて観劇者の貸し切りツアーを受け入れるなど、意欲的にコラボレーションに取り組んでいる。
ただし「黒提灯」は今までの「非日常的な空間」を造りだしていた4店舗と違い、「週に1〜2回通っていただく」ことを念頭に置いた、地元密着型のスタイルをとっている。「気取らず、明るく元気に」と口にしたのは久保店長。名刺には「親切第一」とあり、「お客様と言葉を交わす」ことを楽しみにしているそうだ。久保さんは「迷宮の国のアリス」がオープンした時に店長として店を切り盛りし、ダイヤモンドダイニング社長の薫陶を受けた1人。「焼酎の『有泉』は1度飲んでみてください」と言う久保店長、普段はカウンターに立っている。「見かけたときはぜひ声をかけてください」とのこと。
ダイヤモンドダイニングが「ヴァンパイアカフェ」で飲食店経営に取り組み始めてから3年。同社では社長も参加し、まずお店のコンセプトを作り上げているという。常に新しいテイストを提案する同社の今後から目が離せない。
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