神戸三宮の本店を中心に関西で「おもしろお好み焼き鉄板焼屋」9店舗を展開する「花門亭」(かもんてい)が、10店目を東京池袋にオープンする。創業8年、満を持しての関東進出1号店だ。
「だしお好み焼き」
かつお、昆布だしをつけて食すスタイルは、花門亭オリジナル。
黒豚の腹脂で焼く薄焼きの生地はパリパリとした心地さ。その上にキャベツをのせ、さらに具を加える、具には豚の他にイカ、エビ、ホタテ、タコなど海の幸もたっぷり用意。そして上から生地をかけてから、返して押す。すると、パリパリ生地に挟まれた具は、キャベツの水分で蒸されてほっくりとなる。この食感のコントラストが人気、かつお、昆布のだしで味わうと「花門亭」が忘れられなくなる。
代表取締役の坂平浩章氏が「花門亭」をオープンしたのは、阪神大震災から1年後の97年。大学卒業後、空間プロデュースをしながらもレストランバーのオープンを模索していた。震災後は、飲食店というと唯一飲み屋だけが開いている状態、なかなかレストランバーに適した場所は無かった。そんな中、坂平氏のご両親が掘り出し物件を聞きつけてきた。その場所もレストランバー向きではなかったが、目の前の路地も細いながらも抜け道となっており人通り充分。
以前、海の家でお好み焼きを存分に研究した経験も活かせることもあり、思い切って方向転換。「花門亭」が誕生する。
ところが、神戸にはお好み焼きの店が多いので「花門亭」ならではのスペシャリティーが必要だった。店名はおろか、看板にも「お好み焼き」とはうたわなかったので、「何の店?」という評判からスタート。
また、飲み屋街に隣接した立地も考慮した。お腹いっぱい食べたいのなら、自慢のお好み焼きが提供できるが、飲んだ後には少し重い。そこで海の幸を鉄板でさっぱりと提供し、アフター客の需要にも応えた。ただ単に朝までオープンしているだけではなく、さまざまなお客様のニーズに合わせたことで爆発的にお客さんを増やしていったという。
そして、テレビ番組「噂のテンベストショー」(「どっちの料理ショー」の前身)で「だしお好み焼き」が大賞を受賞したことをきっかけに売上げは2.5倍に跳ね上がり、カウンター11席、テーブル2席の小さな店舗では収まりきらなくなるほどの成長を遂げる。
そんな勢いある「花門亭」の東京出店の計画は3年前から進められていた。
東京進出には当然ながら主力となるスタッフが出向き万全の体制でスタートしたい、しかし主力を欠いても地元は安定して運営されていなければならないので、じっくり時間をかけてスタッフを育てた。これから先、FC展開も視野に入れての基礎固めに3年の歳月を費やした。
今回、本社からは坂平氏をはじめ店長、マネージャー、スーパーヴァイザーを含めて6名のメインスタッフが東京で池袋店の立ち上げにかかりっきりであることからは、地元にも信頼のおけるスタッフを十分に揃えることができた自信が伺える。
元空間プロデューサーの坂平氏は、10店全ての基本レイアウトを自ら手掛けている。
内装をはじめとした空間、そして料理、その店をイメージさせやすいファサードとなる店の顔はとても重要だと語る。
物件を探すときには必ず家相を見るという氏は、あらゆるアイディアを駆使してお客さんをスマートに喜ばせる店作りを怠らない。池袋店のエントランスは、通り行く人を吸い込むような階段の上に位置するが入口を入り一つ角を曲がらせると臨場感溢れるキッチンが目に入る仕掛けがある。そして、その奥には贅沢な空間が2フロア分広がっているのだ。東京のわざとはずしてベタなイメージを基本コンセプトにしたお好み焼き店とは料理同様に一味違う店づくりがされている。
ビールはサッポロ。
以前は、直営店ではキリンビール、FC店ではサントリーを扱っていたが東京進出をきっかけに見直しをした。全社と丁寧な話合いの結果、充分なサポート体制を持つサッポロに決めたという。
40坪66席、客単価3000円、月商1500万円を目標にスタートする「花門亭」だが、今までの地にしっかりと足のついた展開に早くも関東でFCの申込みが数件分あるという。
ブレイク必至の企業が東京に進出してきたようだ。 |