「健康」という言葉を辞書で引くと「体や心がすこやかで、悪いところのない・こと(さま)。」に続き、「肉体的・精神的・社会的に調和のとれた良い状態にあること」とある。
私たちが「健康」という言葉を使う時、肉体の健康を言うことの方が多いが、「健康」とは、さらに気持ち的な「イケてる」や「イイ感じ」も含まれた状態のことを言うのだ。人としてバランスが取れていることこそ健康である。
辛く長く、しかも重要な案件を無事に成し遂げ、お客様に喜んでいただいた。
肉体的には多少の疲れはあるものの、精神的な充実感があり、健康と感じる。仕事に打ち込む大人ならばそんな日を経験したことはあるはずだ。
しかし、自分を祝福するために、料理がとびきり美味しいと評判の店に行ったが、美味しい料理どころか、スタッフの対応も悪く気分を害しただけだった。
疲れた肉体に、精神的にも傷ついてしまう。このバランスが崩れた状態は、とても健康とは言えない。これは不健康だ。
「健康的で、美味しいものをお値打ちで提供する」それが、柿安本店が徹底してこだわるところだ。もちろん、今回紹介する「三尺三寸箸」(さんじゃくさんずんばし)にもその信念は貫かれており、店名にも「健康食彩レストラン」とついている。
「もっと食べて欲しいと思っています」、山野副店長はよく通る声で言う。
従来のビュッフェスタイルのレストランでは、利益を考えた末に料理が美味しくないか、できるだけ食べる量を減らせようとしていた。私達が食べ放題の店で味に大満足したことが多いだろうか。ここ「三尺三寸箸」では、お客様に満足していただくために、テーブルサービスまで行っているという。
この日も「紅さつまの炊き込みご飯が炊き上がりました」と、おひつを持ち、大きな声を上げて湯気の上がる美味しそうなご飯をお客様に取り分ける光景が見られた。
料理は、旬の野菜をふんだんに使用した和・洋・中、80種類以上を提供。料金は、昼が大人1800円、夜が2400円、子供が昼1000円、夜1300円。この料金でデザートとドリンク(夜のみソフトドリンク別途)も含めて、好きなものを好きなだけ食べることができる。
幼児も昼500円、夜650円の設定があり家族連れにも喜ばれているというが、このようなきめ細かい配慮が女性のお客様が80%にもなる理由であろう。
また、女性に喜ばれる理由はドリンクにもある。
ヘルシー生ジュース・飲むサラダは、おなかすっきりのための「30品目ビューティーバランス」や疲れ目をリフレッシュさせる「ベリーミックス」、心とカラダのストレス解消に「柚子&アロエ」などの5品目が用意され、定期的にメニューを変更し、健康を支援する。
さて、柿安本店の「三尺三寸箸」は大阪につづいて新宿店が二店目、東京初進出となる。関西と関東、インテリアなどハード部分のコンセプトとは同じなのだろうか?
山野氏は言う、「大阪とは違い、新宿店はよりヘルシー、健康をメインに明るいグリーンを基調にデザインされています。」なるほど、同店が入居する新宿ルミネ7階には、新宿というビル林立のイメージとは全く逆のコンセプト立てがされた純和風やカントリー調の内外装が多い。その中にあって三尺三寸箸は、グリーンを基調にシンプルでスマートな佇まいが目を惹く。
柿安と言えば、「柿安ダイニング」がすでに美味しい総菜店として高い評価と人気があるが、人気メニューをそのままシフトして提供することはしない。三尺三寸箸は独自でメニュー開発を行っている。総菜では、お持ち帰りしてから食されることを考慮するし、三尺三寸箸ではそこであったかいまま美味しく食べられるようにと検討。大阪店、東京店でもメニューは違い、開発には社長自らのチェックも怠ることはない。
11月25日には「ららぽーと甲子園店」をオープン、2005年3月には名古屋春日井店をオープン予定だが、こちらも大阪、新宿とは違った内外装でオープンされる。今後も一店舗として同じ形態はとらずに、その地域のお客様に喜んでもらえる形での内外装とサービスでの店作りがされるという。
午前11時のオープン時には、7階のエレベータのドアが開くと真っ直ぐに同店に向かう女性グループが見られる。迎えるは、100数十人の応募者の中から選ばれて、厳しい研修を受けたスタッフ。丁寧なオペレーションで入店から食事まで非常にスムース。快調な滑り出しのようである。
102席で客単価2600円、月商2600万円の目標をクリアしそうな三尺三寸箸。
心とカラダのバランスを保つために、好きなものだけを美味しく食べさせてくれる場所を全国に展開してくれるだろう。
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