看板も大きくはなく、一見カフェかイタリアンのように見えるお洒落なガラス張りの店内。
ランチにはひっきりなしにスーツを着た会社員が訪れ、夜は、一人客からグループまで幅広いお客様が行列を作るのが、西麻布 五行。
こちらは、福岡から上陸した人気ラーメン店、一風堂の新提案型であり、中華麺酒家と位置づけられている。
「福岡の屋台では、焼鳥やおでんなどをつまんだ後にとんこつラーメンでしめくくる文化があります。
こういった楽しみ方をヒントに、つまみとお酒を楽しんで頂いた後、ラーメンでしめくくる、というコンセプトで2002年6月12日にオープンさせました」
と語るのは、西麻布 五行のスタッフ、哲也さん。
五行の看板メニューは、他の一風堂店舗には無い"焦がし醤油""焦がし味噌"というラーメン。
これは、日本人が大好きな焼きおにぎりにヒントを得て、
焦がした調味料のおいしさをスープに混ぜたもの。
ちなみに、五行のスープは動物系と魚介系をミックスしてもので、ラーメン界では"ニューウエーブ系"にカテゴライズされる。
五行は、1店目を福岡にオープンしており西麻布店は2店舗目にあたる。
博多には、とんこつ以外のラーメンがほとんどないそうだが、関東へ出店した一風堂は他店のラーメンも研究し、「とんこつ以外にもおいしいラーメンはある」と福岡に逆輸入した格好だ。
一風堂が醤油と味噌ラーメンを作るとどうなるか、というコンセプトでメニュー開発を行い、オリジナリティのある一風堂らしい新たなラーメンのスタイルが産み出された。
焦がし麺に使用されているのは、博多のとんこつラーメンのような
細めんでもなく、スタンダードなちぢれ麺とも異なる、ストレートな中太麺。
五行では、店内に製麺機が配置されており、焦がし麺用、塩ラーメン用、つけめん用と全てに異なる麺を採用している。
このスープと麺を求めて、昼夜と行列が並ぶ。
「とてもありがたいことですが、夜に来て頂いたお客様には、お酒とつまみを楽しんで、ゆっくりとして頂きたいのです。ところが、案外飲んだ後にラーメンを食べにくるお客様も多くて行列してしまうんです」
哲也さんは苦笑い。
自慢のつまみは、ラーメンにも使用している
チャーシューを厚めに切り、端がカリッとなるまで焼いた ビールに合う!チャーシュー盛り 600円や豚角煮の温玉かけ 780円など。
ユニークなものは、缶詰を使用したメニュー。
缶詰をそのまま出すのではなく、サバ缶270円は、缶ごと温めて葱を散らし、金銀が織り交ざった懐紙の上に乗せて提供する。
こういったグランドメニューの他、月替わりで7種類のつまみも登場する。
西麻布にある店舗は、気取った店が多く盛り付けがお上品、つまり量が少ないことが多々あるが、西麻布 五行は1品づつのボリュームも満点。
一風堂人気の要因のひとつに、ラーメンがおいしいことはもちろん、他のラーメン店よりセットメニューなどが充実し、安いことが挙げられるが、その精神は西麻布 五行においても健在のようだ。
焼酎、泡盛、日本酒など、お酒のメニューも充実。
ミルクやアールグレイを使用したカクテルなどのオリジナルメニューも多数ラインアップ。
オープン当初より、どんどん増えていったということだ。
また、五行ではサービスティーとしてラーメンと一緒に冷たいアールグレイを出し食後に温かいアールグレイを出す。
ラーメン店でアールグレイという組み合わせも面白い試みだが、これはカフェ風の店内なのでちょっとお洒落な飲み物を出して差別化を図るのと、香り高い紅茶のほのかな渋みがラーメンと合うというのがその理由という。
客層は、ランチ時はスーツを着た会社員、夜は30前後を中心とした女性客も集まる。週末は、ファミリーがランチを食べに来ることも。カウンター席の他、テーブル席、ソファ席も用意されているので、多目的に利用できる。
しめくくりのラーメンはもちろん、豊富なつまみとお酒も試す価値ありだ。 |