「Chanko Dining 若」は、66代横綱「若乃花」・花田勝氏がプロデュースする店である。
「花田は単なる名前を貸しているだけではありません。インテリアや料理の他、あらゆるところに花田のアイデアが活かされていますし、忙しいタレント活動と平行して現在でも同店のミーティングには参加しています。1つの事業として真剣に取り組んでいるのです。」と運営会社である株式会社ドリームアークの富士野氏は言う。
平成15年3月のオープン以来、毎日が予約のみのお客様で64席全てが埋まるという繁盛店だ。川原田店長いわく、「12月には1日4回転もしたので、普段の月の1日2回転半は少し物足りなく感じてしまう。」程だ。
元横綱の料理店、しかも店名には「ちゃんこ」が付くことから伝統的な造作を想像しがちだが、写真を見て分かるように非常に洗練されたデザインが施されている。横綱時代の化粧まわしがガラスケースの中にディスプレイされ、VIPルームにはなんと優勝カップまである。黒を基調にしたシックでモダンな店内はスタイリッシュ。そして、「ちゃんこ」ではあるが座敷を用意していないのも含めて全てが花田氏のアイデアだという。
8割のお客様が注文すると言うさっぱりとした味が人気の「塩鍋」(2600円)は、1人前で2人分くらいのボリューム。3〜4人グループには、塩鍋とコクのある味噌鍋で味にコントラストをつけることでより楽しむことができる。
「鍋の調理はお客様の手を煩わすことなく、従業員がお客様の目の前で作り込むというサービスをしております。鍋と言うとどうしても女性が作ることが多くなり、それではせっかくの外食も魅力が半減してしまいます。そのストレスを軽減するために、少なくとも一杯目を取り分け提供しております。6:4で女性のお客様が多いのはこのようなサービスがあるからだと認識しております。」女性には嬉しい心遣いである。
一品料理では、海老クリームマヨネーズ(1580円)、ベトナム風生春巻(1280円)に人気がある。こちらは花田氏も大好物だということだ。
ドリンクでは、焼酎、日本酒の人気銘柄の他はワインも多数取り揃えており、こちらも女性に好評。また、第66代横綱の花田氏にちなんで「66代」と名付けられたオリジナルの麦焼酎と純米吟醸酒もラインナップに加えられている。
そして、サービスについては特に力を入れていると富士野氏は話す。
「「Chanko Dining 若」の名前を傷つけないように、スタッフには厳しく指導をしています。花田の広い交友関係から、やんごとなきお客様がいらっしゃることもありますので、接客レベルを常に高い水準に保つ努力をしています。」名前が売れていることへの苦労もあるようだ。
さて、繁盛店「Chanko Dining 若」は、昨年12月の大阪北新地店のオープンを皮切りに、今年2月に東京渋谷、名古屋栄店、3月には銀座店を続けてオープンさせる。
六本木店は中心地から少し離れた立地で、隠れ家的な利用のされ方をしていたが、あえて観光地の真ん中に出店した大阪道頓堀店が成功したことにより、多店舗展開への手応えを得たという。出店に関しては、メニューをそのまま水平展開することはなく、それぞれ街に合った客層を想定して店作りをしている。渋谷店は六本木店よりはカジュアルに20代後半〜30代を狙う。一方、銀座店はよりシックな路線で客単価も1000円アップの料理とサービスを提供していく。新築ビルへの出店で、デベロッパーから強い希望が出店へと繋がったという。
「花田は、地方巡業などでかなり多くの郷土料理の味を体験していますし、タレント活動をする中でさらに新しい味と出会っている、それが「Chanko Dining
若」に活かされています。美味しいものを知っているが故に、美味しくないものを自分の店で提供することはできないのでしょう。」なるほど、繁盛の秘密は長年の経験によるものなのだ。ちょっと名が売れて飲食店を出すタレントとは訳が違うのである。
渋谷、銀座出店後は、主要都市に出店していくような構想もあるようだ。
「おにいちゃん」の味が全国で楽しめるようになることを期待したい。
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