今年注目の都市といえば名古屋である。2月17日には「中部国際空港」（通称：セントレア）が開港し、3日間で約26万人もの入場者が詰めかけ大反響。そして、3月25日から愛知万博「愛・地球博」が開催され、半年間で約1500万人もの入場者を予想している。また、トヨタ自動車の純利益が1兆円を突破するなどの話題を含めた、東海地方の景気回復も注目される理由であろう。
食文化においても昨年あたりからにわかに「名古屋料理」流行の兆しが見えていた。東京の居酒屋では「ひつまぶし」などのメニューが多く見られるようになっているし、串かつの「矢場とん」、手羽先の「世界のやまちゃん」の中央進出も記憶に新しい。
そして今、味噌ホルモン焼きの店、「ゴローちゃん」が盛況である。2002年、恵比寿に１号店を出店し、昨年11月に目黒に2号店「目黒のゴローちゃん」がオープン。恵比寿に続けと気炎を上げている。

運営を手掛けるのは、空間計画株式会社。もともと自社運営店であった焼肉業態「すみ七」が、BSEの影響を被ったため業態変更したのが「ゴローちゃん」の始まり。当時の担当者が名古屋出身ということがあり、味噌ホルモンと名古屋名物料理のアイデアが生まれた。オープン後、恵比寿店がほぼマックスの回転となり、目黒店の出店となった。ちなみに店名にもなっている「ゴローちゃんはどこにいるのですか？」という質問には、「弊社代表は野口といいます。で、野口と言えば、、、、」と答えが返ってきた。
同店の主力商品「とんちゃん」というのは、豚ホルモンの味噌焼きをさす。小腸、大腸、直腸をミックスし、岡崎・カクキューの八丁味噌をベースにしたオリジナルの味噌ダレに浸けて提供。一人前294円と値段はリーズナブルだが、七輪を使いお客自ら焼くスタイルなので値段以上の本格感を楽しむことができる。その他にも名古屋の名物料理を多数揃えている。味噌土手煮（368円）、手羽先唐揚（4本・473円）などだが、特にあんかけスパゲティー（630円）などは名古屋出身のお客様に言わせると「東京一」とのことで、それだけを食べに来るお客様もいるという逸品。メニュー開発に当たっては、店長の中島氏が名古屋まで出向き、オリジナルの味付けを研究、東京で再現している。
同店のユニークな点は、80年代というコンセプトにもある。壁に所狭しと貼られたレコードジャケットや、雑誌の切り抜きは全て当時のもの。さらにBGMも当時の歌謡曲を採用している。同店のメインターゲットとなる20代後半から30代には、痒いところに手が届く面白さがあるのではないだろうか。男女問わず楽しまれているのは、構成比が6:4という数字を見ても明らかである。
そして、メニューに大きく「女性にオススメ」と書かれているのが、「純正・たまご酒」。ロックで、そしてオロナミンＣや牛乳で割っても美味しく、さらに美容と健康とスタミナにも良く人気ドリンクの1つ。また、男女問わず、よく飲まれるのがホッピーというのもユニークだ。さらに特筆すべきは、焼酎ブームのおり、各店が本格焼酎を多数揃えアピールする中で、きゅうり割り・レモン割り・梅割用に甲類焼酎をキチンと用意し、メニューにうたっていることだ。ブームに乗り、何でも売るということではなく、飲み方に応じた提案をするとういうこの真摯な姿勢が愛される理由の1つではないだろうか。

各品の価格は安く抑えられているが、数多く用意されたホルモンを次々と食べる楽しさがあるため、客単価は3400円となっている。現在、月商750万円を目標に運営される同店であるが、恵比寿店同様にブレイク必至である。名古屋まで行かずとも、名古屋を満喫できる東京目黒のお店の登場に注目が集まっている。是非、訪れていただきたい。