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はかりめ
第81回 2005年05月14日

編集部の気になる商品とお店

銀座で燗酒を楽しめるあなご料理店
「あなご 燗酒 はかりめ」

(銀座/和食)

 3月15日、銀座5丁目三原小路に、野村不動産株式会社が地上9階・地下1階の飲食コンプレックスビル「チアーズ銀座」をオープン。銀座のカジュアルとにぎわい感をテーマに、他ではあまり見られないユニークな業態の飲食店を集めたビルの6階に、「あなご 燗酒 はかりめ」はある。
店名にあるように、粋のいい江戸前のあなごと、日本酒の飲み方を8種類もの温度帯で提案しており、他ではなかなか聞くことのない店である。

 店内は栃の木を中心に使用した落ち着いた空間で、カウンターが12席、2名の個室が8室、他に4名の円卓の個室や、うなぎの寝床ならずともあなごの寝床である、細長く最大26名収容可能なお座敷も設ける。

 内装には同店の経営母体である「丸山商事株式会社」のオーナーで、社団法人日本ソムリエ協会認定のシニアソムリエである、丸山進氏のこだわりと遊び心が満載。静かに日本酒を傾けながらゆっくりと和食を楽しめる空間作りの為に、個室といえども木目調で木のぬくもりを出し、圧迫感を感じさせない配慮がある。
 丸い円卓の個室には丸い座布団、四角のテーブルがある個室には四角の座布団を合わせるなど、銀座で食事しなれているお客様を飽きさせない遊び心も散りばめる。またテーブルの上には木製のクリップと紙ナプキンがそれぞれ置かれ、刺身を頂く際に醤油で服を汚すことがないよう、襟元でナプキンを挟むために使用して欲しいという。

 日本酒の提供にはすべて錫製の酒器が使用されている。錫は熱伝導率が高くお燗をすることによって、日本酒をまろやかに柔らかく変化させる。当初、燗の温度はレーザー温度計を使用して測定していたが、現在では錫の特製を完全に理解するスタッフによって、温度計よりも正確な温度で、お客様の口元まで運ばれる。錫はお燗場から上げた後も酒の温度は3℃以上はあがり、お猪口に注ぐと2℃ほど下がる。熱燗は47℃であげて52℃で提供出来るとちょうど50℃となる。これは温度計に頼るより、スタッフの手によって測られるとますます正確となる。「燗の温度には”人肌燗” ”熱燗”など名称があるが、昔の人はよく言ったもので、本当に35℃は人肌の温かさになりますね」とホールマネージャーの中里氏は語る。

 同店は30代後半から50代後半をターゲットとしており、硬派のイメージでこだわりの料理と酒を提供する。なかでもあなご料理は、優れた料理人の手さばきで、「あなごお造り(刺身・湯〆・焼き霜・薄造り)」(1,102円)や「穴子しゃぶ」(1,575円)が楽しめる。捨てるところがないと言われるあなごは、丁寧に下処理された頭を焼いて炙り、70℃〜80℃の日本酒が注がれ1日10頭の限定品で「あなご酒」(1,050円)として提供されるが、ひれ酒よりもコクがあり美味しいと、同店では最も人気のあるドリンクの一つである。

 4月1日からはランチ営業も始め、白煮の穴子と煮付の穴子の2種類が楽しめる「はかりめ丼(紅白)」(1,680円)は人気であり、銀座でショッピングを楽しむ主婦にも好評とのことだ。
 同店の酒のセレクトは先述の丸山氏に依るものが多く、日本酒は約40種も常備されている。なかには手に入りにくい銘酒もあり、世界初の大吟醸燗酒である、福井県黒龍酒造の「九頭龍」は日本酒通を唸らせるにたる逸品である。デリケートな特定名称酒はどうしても「冷や」で飲むほうが好まれるが、それらを燗することによってより美味しく提供できるのは同店のみであろう。
 焼酎は宮崎県黒木本店の酒を中心に揃えており、また日本酒・焼酎・ブランデーを原材料にした梅酒をはじめとする果実酒、シェリーまでも揃えてあるのはさすがである。

 あなごはうなぎに比べ低カロリー高たんぱく質であるなど、健康志向ブームにのるほど昨今注目を集めている食材ではあるが、あえて女性をターゲットではなく、心移りの少ない男性に来ていただきたいと語る中里氏。今後銀座で食事を楽しむ男性が硬派に酒を嗜む場所として、ますます人気が出るであろう。


はかりめ
新鮮な江戸前の穴子ならではの逸品
「穴子しゃぶ」(1,575円)

はかりめ
最大26名収納可能な細長い個室は、
様々なシーンに対応できる。

はかりめ
まっすぐ続く廊下。
個室には雪見障子が使われており
圧迫感を感じさせない。

はかりめ
日本酒を柔らかく変化させる錫で、
ますます美味しく日本酒が愉しめる。

はかりめ
熟練した職人技で、
骨の多いと言われる穴子も
丁寧にさばかれる

取材・執筆 本誌編集部 芳之内由佳 2005年05月14日

「あなご 燗酒 はかりめ」
住所 東京都中央区銀座5-9-5 チアーズ銀座6F
電話 03-6253-7070
営業時間 12:00‾14:30
月〜金 17:30‾23:30
17:00‾23:30
日・祝 17:00‾23:00
定休日 年末年始
客席数 72席
客単価 昼1,200円 
夜6,000円
経営母体 丸山商事株式会社
Web Site http://www.bous.jp/

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