関西では知らない人はいないであろう、大阪屈指のお好み焼きの名店「鶴橋風月」。
現在関東圏には5店舗構えるが、この「鶴橋風月」の新業態として、2005年3月17日にビストロお好み焼きの店「わっはっはっ風月」がオープンした。「鶴橋風月」は株式会社IDEAが経営母体であるが、「わっはっはっ風月」は「鶴橋風月」の関東圏におけるエリアフランチャイザーである株式会社エフ・アンド・エフマネージメントが運営をしている。同社は昨年12月に株式会社リンク・ワンと資本提携をしており、人材面でのサポートを受けるとともに、店舗経営のノウハウを活用し今後の店舗拡大を推進する。
特徴ある「わっはっはっ風月」のネーミングは、大阪出身のグラフィックデザイナー長友啓典氏によるもので、人間は美味しいものを食べると自然と笑みがこぼれるので、そこから「わっはっはっ」に決まったという。
同店は新宿伊勢丹から徒歩1分のビルの地下1階にある。地下への降り口の壁一面には先述の長友氏デザインの赤地に白のロゴが見え、一般的にイメージするお好み焼き店とはまた違うお洒落な雰囲気で誘い込む。店内に入ると左手には焼酎の瓶が高くディスプレイされており、ドリンクに力を入れているのが窺える。19.5坪の店内に座席数はカウンター、テーブル、個室あわせて28席あるが、ゆったりと席は配置されている。
「鶴橋風月」のコース料理店というコンセプトで、主に20代〜30代の女性をターゲットとしており、ビストロ風にお酒を飲みながら、まずはサラダ、そして鉄板焼、お好み焼き、焼そばと順番に楽しむ。夜の客単価は2300円で、現在は20代〜30代のビジネスマンや男女カップルの来店が多い。
同店は女性を意識しているため、店内の煙による臭い対策には様々な配慮が見られる。まず上着はエントランスでお預かりしてクローゼットに格納する。そして「鶴橋風月」のお好み焼きはキャベツが多く、ふんわりと上手に焼くのは素人には難しいのだが、2ヶ月から3ヶ月の練習を経た熟練したスタッフが、カウンターで調理をしてテーブル運ぶというスタイルをとる。女性を意識という部分は小物の演出にも表れ、お好み焼きを食べる時「飲みながら」がコンセプトのビストロお好み焼きの店と言うだけあり、ドリンクはこだわりの焼酎20種類をはじめ、ワイン4種やカクテル11種、チューハイ6種も揃える。このドリンクの充実は「鶴橋風月」など一般的なお好み焼き店では考えられないほどのラインナップである。
現在3種類の梅酒も今後は数を増やしていく方針である。お好み焼き以外の同店の特選メニューには「わっはっはっ特選石板焼き」がある。石板の遠赤外線効果は旨みを逃さず、油を使わない調理方法なので、素材の本来の味を引き出すことが出来る。
石板焼きのメニューは「鹿児島県産黒毛和牛一口ステーキ シチリアの岩塩添え」(1480円)をはじめ、生産者の顔が見える素材で提案されている。ほとんどにわたりその食材にあう塩も同様に提案されている。石板焼はテーブルでお客様が焼きながら食べる形をとっているので、食材の良さを目にしながら焼いて食べる楽しみもある。
人気のお好み焼メニューは「豚玉」(740円)や「豚モダン焼」(890円)を中心に、「今月のわっはっはっ焼き」(1400円)も提供する。「今月のわっはっはっ焼き」は豚、キムチ混ぜが中に入り、表面にはネギがかかり中心に月見と、ボリュームある逸品である。これらのお好み焼きにかける青海苔も四国高知、四万十川の香り豊かな海苔を使い、ここでも素材のこだわりがみられる。
大阪には「お好み焼き定食」といい、お好み焼をおかずとして捉えて、ご飯と一緒に食べる文化がある。反して粉もん大好きの大阪人も、特に年配の方になると、生ビールや焼酎を飲みながらまずは鉄板焼、そして焼きそば、最後にお好み焼きとゆっくり時間をかけて食べる人も多い。
「鶴橋風月」と「わっはっはっ風月」、それぞれ同じお好み焼きを扱いつつも違ったコンセプトで関東圏に挑む。今後の店舗拡大を期待する。
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