第98回
2005年08月20日
看板のないBAR (東京自由ケ丘/バー) |
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自由が丘駅から徒歩3分の線路沿いにある「Bar Une Amaro(バーアンアマーロ)」には看板が無い。アパレル業を営む有限会社アンプランニングが、平成4年2月にオープン。オーナーの意向もあり、駅から少し離れていて隠れ家的な店としてスタートした。 オープン当時はちょうどバブル景気が弾けた後ではあるが、まだそれほど実生活に影を落とすまでではなかった頃。当時の客層は25歳〜35歳の華やかな男女が多かったと、店長の小林氏は話す。 男女比率は6:4で男性が多く、客単価は2500円である。チャージが200円とリーズナブルなのも嬉しい。自由が丘で食事をした後、同店の看板メニューである、フレッシュフルーツを使ったカクテルをデザート感覚で飲むために来店する年配のお客様も多いという。 また同店はフルーツだけでなく、ベジタブルカクテルもいくつか取り揃える。定番カクテルである「ブラッディーメアリー」もトマトジュースではなく、完熟した生トマトで提案する他、夏には「アボガドとヨーグルトのカクテル」(1000円)、グリーンピースのフローズンダイキリ(1000円)がある。 10坪12席の店内は、入り口から奥に向かってまっすぐカウンターが伸びている。木目調のそのカウンターに対比して、青い光に包まれたペインティングが店内の至る所に展示されている。そのペインティングは店の外からも見ることができ、看板のない同店の唯一のシンボルにもなっている。 また店内のディスプレイで目を引くのが、シンプルで力強いイメージのいけ花である。真言宗大覚寺を華道総司所に持つ嵯峨御流の免許を持つ小林氏が活けたもの。6年前よりおもてなしの心を学ぶために始めたと話す。決してでしゃばらないように活けられたそのいけ花は、モダンな店内と見事にマッチしている。 小林氏は10代の頃、大人の世界を知りたいと上京してBARでアルバイトを始めた。十数年たった今、フルーツカクテルを創作して提供したお客様に、美味しく飲んで頂けることがとても嬉しいと話す。また、人に喜んでもらえる仕事をして、お金を得るということに生きている感覚を味わうと付け加える。同店には、看板はなくとも、そんな小林氏の人柄にお客様は集まっている。 |
12席、看板のない自由ケ丘の隠れ家バー。
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取材・執筆 本誌編集部 芳之内由佳 2005年08月20日 |
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