第102回
2005年09月17日
ここでしか飲めない厳選された日本酒に酔う (東京下北沢/居酒屋) |
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下北沢駅より徒歩1分の路地裏に隠れ家のようにあるのが「てんまみち下北沢」だ。広島や神戸で居酒屋を展開している有限会社酒肴が2000年より運営。オープン当初よりこだわりの日本酒を数多く取り揃え、日本酒マニアや同じ飲食業界で働くプロが勉強にと集まる。 同店では直接酒蔵から仕入れた「拘りの日本酒」のみを提供する。同社代表の大久保氏が直接出向き、信頼関係を築いてきた酒蔵は約70社。毎年2〜3月にかけて40日間の日程で全国各地の酒蔵を廻ることを欠かさない。 「日本酒を突き詰めていくと、普通に流通する酒では満足できなくなってしまったんです。そこで、酒蔵に頼んで無ろ過の生原酒を分けていただくようになりました。さらに、機械ではなく『袋吊』という方法で搾っていただいたトップレベルの日本酒にこだわって提供しています」と同店店長の斉藤氏は話す。 「袋吊」は、酒蔵でも人員総動員のとても手間のかかる作業なので、一朝一夕にまとまる交渉ではない。美味しい酒を提供したいという熱意がなければ酒蔵もなかなか首を縦に振らない。現に、そこまではできないと交渉が決裂することもあるという。 「グループのお客様の中には、どうしても日本酒が飲めない方がいらっしゃいますから、ワインや焼酎も用意はしていますが、焼酎も信頼できる日本酒の酒蔵が造る焼酎しか置いてません」と、自称「お酒マン」の斉藤氏は言い切った後、こう繋ぐ。 社名が「酒」と「肴」と書くように、同店では日本酒と料理を切り離して考えることをしない。定番人気の「お造り盛り合わせ」(1580円)や「天然岩魚」(980円)など、両者それぞれを引き立てるような魚介類を中心にメニュー提案をしている。本わさびを鮫肌と一緒に出し、その場で擦ることで風味を最大限に楽しんでもらっている。 同店では通常営業の他に、さまざまな催を用意しお客様との交流を図っている。不定期で行われる「日本酒を楽しむ会」では、酒蔵より酒蔵や杜氏を店に招き酒を飲みながら直接交流を図れる場を提供する。 |
斉藤氏が注目する「ずいかん」(左)400円
漁港より直送される旬の魚介を本わさびでいただく 「天然岩魚」(980円)。
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取材・執筆 本誌編集長 横田茂 2005年09月17日 |
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