青山・銀座「川のほとりで」、西麻布「AZOOL」などを展開するメッドグループが赤坂に初の寿司業態「にぎりや
伊助」を8月22日にオープンさせた。和・洋問わず創り込んだ空間を楽しむダイニングを得意とする同社だが、2005年に入ってからは青山「惣八」、銀座「九楽々」など素材重視の和食店を出店している。今回の寿司業態の出店は、同社の新たな方向性に対する意欲が伺えるエポックメイキングと言えよう。
同店が位置する赤坂一ツ木通り周辺は、大衆店から高級店まで寿司店が多い激戦区であるが、同社はマーケットが安定している地区ととらえると共に、赤坂五丁目TBS開発計画の2008年竣工を視野に入れて出店に至ったという。
「ターゲットとしていた30〜40代の男性のお客様はもちろんですが、女性グループや女性のお一人様も気軽に来店されますので、赤坂という土地は寿司店に非常に慣れている方が多いと感じています。また、外国人のお客様が多いのも特徴ですね。中でも外資系企業のビジネスマンは、お一人でいらしてカウンターにスッと座られる程です。寿司の楽しみ方をよく知っているのには驚いています」と店長の山口氏は話すが、同店の職人には海外勤務の経験者もおり一部外国語での対応も可能。
寿司店の醍醐味は、ネタと同様にコミュニケーションにありとして、経験豊富な5人の職人がカウンターでサービスをする。
土曜・祝日には近隣ファミリーの利用も多くなっているのは、店内の様子がわかる大きな開口部によるところが大きいと山口氏は分析する。往来の多い一ツ木通りから開口部を通して窺える清潔感があり明るいカジュアルな雰囲気と、ゆったりとしたカウンター、テーブル配置が安心感を持たせ店内へと誘う。同店では1階を禁煙、2階を喫煙席としているが、愛煙家、嫌煙家どちらのお客様にも同様のサービスを提供できるよう、両階にカウンターを設置している。また2階には座敷も用意しており、テーブル席の1階とは異なる利用動機に対応しているのも特徴だ。
ネタに関しては和食業態を拡大展開する同社のメリットを活かして、クオリティー重視の素材をリーズナブルに提供することを実現している。寿司ネタはもとより、サイドメニューに至るまで山口氏による厳しい吟味がされている。「金目鯛の煮付け」(840円)や、鹿児島黒毛和牛にぎり(504円)もオーダーの多い逸品だ。ドリンクでは外国人客も含めて、寿司店ということもあり、やはり日本酒に人気が集まっている。
さて、寿司業態の出店に至ったメッドグループでは今後どのような展開が予定されているのだろうか。「『AZOOL』や『RETOH』といった食空間を演出する方向性はもちろん今後も大切にしていきますが、同時に食の安全や安心という意味では、素材にこれまで以上にこだわるという方向にも力を入れていきます。また、弊社はこれまでは都心での展開でしたが、『にぎりや
伊助』は形を変えて、郊外への出店も視野に入れています」と、同社企画・広報の大島氏は話す。
そして山口氏はつなぐ、「寿司というのは1〜2年の長いスパンで基礎を作って、その上に成り立つような業態です。立ち上げ時の瞬発力や値引きでの集客では続けていくことは難しいので、私たち職人と本部ががっちり手を組み、丁寧に店を作っていくことが必要です」。
客単価4500円、目標月商1200万円でスタートした同店だが、近隣ファミリーやクラブからの出前オーダーもあるなど、反響も良く好調な滑り出しとなっている。
新たなタームへと突入したメッドグループと「にぎりや 伊助」に注目したい。 |
店内が伺える大きな開口部は安心感を与え、
外資系企業のビジネスマンや女性グループでの利用も多い。
「伊助おまかせにぎり」(3990円)
「伊助椀」(882円)
サイドメニューも充実
「鯛みそ風呂吹き大根」(399円)。
カウンターは広く明るい他、
椅子も程よい高さで寛ぐことができる
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2階には座敷も用意し
個室感覚での利用も可能だ
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