神泉交差点という渋谷駅から徒歩15分の立地において繁盛店となった「buchi」(ぶち)。
立飲み業態、そしてカップ酒人気の仕掛け人としてメディアへの露出が今なお続く同店だが、満を持しての2号店には恵比寿が選ばれ、8月24日に「buri」(ぶり)としてオープンした。
同店は「さかな竹若」や、有名パテシエ川村英樹氏を擁する「アテスウェイ吉祥寺」など、都内で飲食店9店を運営する株式会社竹若が経営母体となり、「buchi」を経営する株式会社東美が運営受託という形をとっている。
「『buchi』でお客様に提供している料理やサービスを含めた全ての内容は、多店舗展開には向いてません。できるだけ美味しい料理を食べていただきたい、できるだけ美味しいお酒を楽しく飲んでいただきたいと思って全力で当たった結果、お客様に喜んでいただけたと思っています。
だから、『buchi』と同じレベルのお店を作ることは難しいと思っていました。今回、運営委託という形で2店目を出店したのは、『buchi』でこだわってきた部分を残しながらも、魚介類など和食を得意とする竹若さんとのコラボレーションで良いお店が生まれると感じたということがあります」と、女将の岩倉氏は話す。
その成果はすでに現れており、旬の「さんまの刺身」(600円)をはじめとした魚介類を使ったメニューは、早くも人気だ。そして、串焼にも注力されている。店内中央のカウンター前に焼き場が設置されており、店内に活気を与えている。
同店は恵比寿で最もダイニングが集中する位置にある。和風・洋風、また価格帯においても幅広く飲食店がある激戦区。「buchi」は「buchi」を目指して行く場所であったが、「buri」は逆に通りを流れていく人々を立ち止まらせなければいけない立地である。
「条件は逆のようですが、飲食店というのはやはりその内容が重要なんです。一つ一つ手を抜かずに丁寧に作っていくことが大切。そうすればお客様には喜んでいただけるものです」と岩倉氏はその姿勢を崩すことがない。
「恵比寿は渋谷などから若い人も流れてくるようになったりして、古いものと新しいものが混在する面白い街です。そんな中に出店できたことはとても嬉しい」とつなぐ。
そして「buchi」と同じく同店でもカップ酒を豊富に用意している。店内奥に壁一面を使ってディスプレイされた様子も圧巻だ。
「35種類を用意しています。これだけの数を集めるのは大変なんですが、手当たり次第に仕入れているわけではないんです。今ではサンプルも沢山送っていただくようになりましたが、試飲させていただいてお断りすることもあります。美味しい日本酒を提供することで、また日本酒を飲んでいただくようになることを考えると、私達飲食店というのは蔵元とお客様を結ぶ重要な場所。流行だからと言って沢山売って儲かればいいわけじゃないんです」とソムリエであり、きき酒師でもある岩倉氏は蔵元とその酒へのリスペクトを忘れない。
カップ酒の他にはワインも人気があり、女性グループがボトルでオーダーして楽しむ姿も見る事ができる。
さて定評がある同店のサービスだが、スタッフの育成はどのように行っているのだろうか。岩倉氏はこう話す。
「教育ということではなくて、上に立つ人間が一番働かなくてはいけませんし、そういう姿を見てもらえば自然と伝わることだと思いますよ」。そして最後にこう締めくくる。
「私達は本当に食べることが好きなんです。忙しくてあまり休みはないんですけど、それでも休日には5軒も6軒も食べ歩きます。美味しいものを食べて、美味しいものを提供したい。10年続けられる店作りを目指したいと思っています」。
現在男女比率は4:6、20代後半〜40代後半の肥えた舌を持つ、大人世代を魅了し月商800万円を目標にスタートした「buri」。今後も目が離せない。 |
さまざまなダイニングが集中する恵比寿に
満を持して出店した「buri」
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厳選された35銘柄をそろえたカップ酒
ディスプレイも圧巻だ。
店内中央の焼き場が店全体に活気を与えている。
「雲丹クレソン」(800円)
「さんまの刺身」(600円)
焼酎のほかワインも赤白5銘柄用意し、
さまざまな趣向に対応する
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